今月の主題
「理解のための23題」
問題1
関節リウマチ(RA)新分類基準について正しいものを1つ選べ.
A:診察にて少なくとも一つの関節の圧痛が必要である.
B:乾癬患者が多関節炎を発症しRA分類基準を満たしたので乾癬とRAの合併と診断をした.
C:手指のDIP関節が5カ所腫脹していたので関節所見の項目は3点となる.
D:罹病期間の項目では,初診日からさかのぼって患者の自己申告による関節症状が6週間以上あれば含めてよい.
E:炎症反応が陰性であるのでRAは除外できる.
問題2
関節リウマチの骨X線写真で見られる変化として不適切なものはどれか.2つ選べ.
A:関節周囲の骨密度低下
B:骨棘
C:Marginal erosion
D:軟骨下骨の骨硬化像
E:MCP尺側偏位
問題3
次のうち最も適当なものを1つ選べ.
A:抗CCP抗体は初期の関節リウマチの診断には役立たない.
B:MMP-3は関節リウマチの診断のうえで最も特異度の高い検査である.
C:Sjögren症候群による高γグロブリン血症ではESRが遅延する.
D:リウマトイド因子や抗核抗体の低値陽性例は健常人にもみられる.
E:HIV感染はスクリーニング検査を1回施行し,陰性ならば完全に否定できる.
問題4
日常診察でRAの疾患活動性をモニターするのに有用な評価法につき,正しいものを1つ選べ.
A:SF-36を用いて評価する.
B:DAS28,SDAI,CDAIを用いて評価する.
C:ACRコアセットを用いて評価する.
D:リウマトイド因子を定量する.
E:抗CCP抗体を定量する.
問題5
関節リウマチ治療について,次の文章のうち誤っているものを1つ選べ.
A:Treating RA to Targetとは医師と患者が治療目標を設定し,目標にむけて治療を行うという概念である.
B:発症早期の関節リウマチは寛解を目標にし,長期罹患患者では低疾患活動性の維持を目標とする.
C:予後不良因子のある場合は,第1段階の治療として経口DMARDsとTNF阻害薬の併用を開始するべきである.
D:NSAIDsには症状を抑えるリリーバーとしての役割があるが,骨びらんや関節破壊を抑制する効果はない.
E:炎症性の関節疾患の診断がつかない場合でも早期にリウマチ専門医にコンサルテーションしたほうがよい.
問題6
下記のうち最も罹患率の高いのはどれか.1つ選べ.
A:Sjögren症候群
B:全身性エリテマトーデス
C:Wegener肉芽腫症
D:混合性結合組織病
E:皮膚筋炎および多発性筋炎
問題7
次のうち全身性エリテマトーデス(SLE)に関する記述で正しいものはどれか.1つ選べ.
A:SLEの口内炎は深い有痛性の潰瘍である.
B:抗核抗体は病勢の把握に有用である.
C:SLEの関節炎も長期間罹患後には骨びらんを生じることが多い.
D:免疫抑制薬の使用は重症の場合のみとし,なるべくステロイド中心の治療とする.
E:パルボウイルスB19感染症はSLE様の症状を起こし特異抗体が陽性となることもある.
問題8
50歳,女性.2年ほど前から不眠,易疲労感,胸焼け,食思不振を認めた.1年前から不安,焦燥感が強まり,その頃より眼乾燥感,口腔内乾燥感,6カ月前より全身にわたる多関節痛を認め近医受診したところ,リウマトイド因子,抗核抗体陽性を指摘され,紹介受診.
身体所見:齲歯治療痕多数,右示指PIP関節に発赤を伴う腫脹を認めるも変形なし.
検査所見:抗核抗体1,280倍,抗SS-A抗体8倍,リウマトイド因子120単位/ml,ガムテスト:5 ml/10分,口唇腺組織:3 focus/4 mm2,耳下腺管造影:apple-tree様所見(+),Schirmer試験:左-1 mm/5分,右-3 mm/5分.
この患者で処方を避けることが望ましい薬剤はどれか.
A:COX2阻害薬
B:三環系抗うつ薬
C:ヒアルロン酸点眼
D:H2受容体拮抗薬
E:塩酸セビメリン
問題9
皮膚筋炎・多発性筋炎に関して誤っているのはどれか.1つ選べ.
A:筋炎は四肢近位筋の障害が主だが,頸部屈筋群や咽頭筋の障害も比較的高頻度で見られる.
B:肋間筋や心筋の障害は稀である.
C:皮膚筋炎では,筋炎に先んじて皮膚所見が出現することがある.
D:抗Jo-1抗体は,本疾患の診断における感度が高い.
E:合併する間質性肺炎が予後規定因子となる場合もある.
問題10
成人発症Still病に関する記載で正しいものはどれか.1つ選べ.
A:リウマトイド因子が陽性であることが多い.
B:リウマトイド疹は発熱時に認められることが多い.
C:遠位指節間関節の滑膜炎が特徴である.
D:急性期では白血球数は低下する.
E:急性期の第一選択薬はメトトレキサートである.
問題11
Behçet(ベーチェット)病について正しいのはどれか.2つ選べ.
A:本邦ではHLA-B 51は患者の90%に陽性である.
B:完全型が近年増多している.
C:喫煙は,慢性進行型の神経病変の危険因子である.
D:副睾丸炎は疾患特異性が高い.
E:難治性ぶどう膜炎にリツキシマブが治療に用いられる.
問題12
関節リウマチが全身の臓器病変を合併するように,血清陰性脊椎関節症(SNSA)でも特徴的な臓器障害をきたしspondylitis syndromeと呼称される.以下のうちSNSAに合併する病態にあてはまらないものはどれか.1つ選べ.
A:眼―ぶどう膜炎
B:心臓―大動脈弁閉鎖不全症+房室ブロック
C:肺―細気管支炎
D:皮膚―乾癬,膿漏性角化症
E:尿路生殖器―尿道炎,前立腺炎
問題13
若年性特発性関節炎(JIA)に関して正しいものを1つ選べ.
A:JIAとは16歳未満で発症した関節リウマチ(RA)のことである.
B:全身型のJIAに生物学的製剤を使用する際の第一選択薬はTNF阻害薬である.
C:マクロファージ活性化症候群や虹彩炎はJIAの合併症として重要である.
D:関節型のJIAと診断したら,ブシラミンの内服を開始する.
E:ステロイド薬の関節注射は小児例では適応がない.
問題14
次のうち正しいのはどれか.1つ選べ.
A:更年期とは50~59歳のエストロゲンが減少する時期のことである.
B:卵巣機能の評価として血中のE2値は参考になる.
C:エストロゲン減少により,骨密度低下や脂質代謝異常が現れる.
D:更年期障害の治療では,子宮の有無で薬物療法が異なることはない.
E:骨粗鬆症の画像的特徴は骨びらんである.
問題15
線維筋痛症についての記載で正しいものはどれか.1つ選べ.
A:線維筋痛症には,小児発症の報告はない.
B:線維筋痛症は,中年以降の男性に多い.
C:線維筋痛症の診断には,3カ月以上継続する体の広範囲の疼痛が必須である.
D:線維筋痛症の治療には,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が第1選択薬である.
E:線維筋痛症では,アキレス腱の付着部炎の合併が多く,メトトレキサートの内服やTNF-α阻害薬の投与対象である.
問題16
erosive hand OAの症例として典型的な組み合わせはどれか.1つ選べ.
A:20代,女性,X線にてPIP関節,MP関節のerosionあり,家族歴あり
B:50代,女性,X線にてPIP関節,MP関節のerosionあり,家族歴あり
C:70代,男性 X線にてPIP関節,MP関節のerosionあり,家族歴なし
D:60代,女性,X線にてDIP関節,PIP関節のerosionあり,家族歴あり
E:50代,男性,X線にてDIP関節,PIP関節のerosionあり,家族歴あり
問題17
正しいものを1つ選べ.
A:リウマチ性筋痛症の好発年齢は30歳台である.
B:若年発症の関節リウマチではリウマチ性筋痛症の症状を呈する.
C:リウマチ性筋痛症の治療はプレドニゾロン1日15 mgを開始し,1カ月に5 mgずつ漸減する.
D:側頭動脈炎を疑ったら,まず側頭動脈のMRAを行い,必要なら側頭動脈生検を施行する.
E:上記はすべて誤りである.
問題18
45歳の女性でピロリン酸カルシウム(CPPD)沈着症が判明した.どのような基礎疾患を疑う必要があるか.1つ選べ.
A:副甲状腺機能亢進症
B:高リン酸血症
C:クッシング病
D:高マグネシウム血症
E:関節リウマチ
問題19
ANCA関連血管炎に関して正しいのはどれか.2つ選べ.
A:Wegener肉芽腫症ではリウマトイド因子は20~30%で陽性となる.
B:Wegener肉芽腫症では抗CCP抗体は約5%で陽性となる.
C:Five factor scoreは予後の推定に有用であり,治療法の選択に用いられる.
D:全身性・活動性のWegener肉芽腫症でANCA陽性となるのは70%である.
E:Churg-Strauss症候群では好酸球増多を認めない.
問題20
急性関節炎の患者で関節液を採取したところ,関節液白血球分画はリンパ球が大多数を占めていた.次のうち,鑑別すべき疾患を2つ選べ.
A:結核性関節炎
B:パルボウイルスB19関節炎
C:痛風性関節炎
D:偽痛風
E:リンパ腫性関節炎
問題21
以下のうち化膿性関節炎の危険因子とはあまり考えなくてよいものは何か.1つ選べ.
A:関節リウマチ
B:高齢
C:喫煙
D:人工関節
E:アルコール多飲
問題22
30歳女性,保育士.来院2週間前に感冒症状あり来院1週間前から左右対称性のMCP・手関節の腫脹・疼痛が出現した.近医受診し,リウマトイド因子(RF)陽性にて紹介となった.来院時身体診察では,両側下腿に非特異的な皮疹があり,血液検査では,軽度の肝機能異常を認めた.診断に最も有用な検査はどれか.1つ選べ.
A:RFの再検
B:抗CCP抗体
C:抗核抗体(ANA)
D:パルボB19 IgM
E:MMP-3
問題23
二次性骨粗鬆症の原因となる疾患はどれか.1つ選べ.
A:甲状腺機能低下症
B:甲状腺機能亢進症
C:副甲状腺機能低下症
D:アディソン病
E:インスリノーマ
(解答は本誌掲載) |