今月の主題「理解のための26題」問題01次に挙げる疾患のうち,有痛性の口内炎(oral ulcer)を特徴とするものはどれか。1つ選べ。A:Sjögren症候群
問題02以下の文章で,誤っているものはどれか。1つ選べ。A:パルボウイルスは,大人では多発関節炎の原因として重要である。
問題03系統的レビュー(review of systems:ROS)に関する記述で正しいのはどれか。1つ選べ。A:身体診察の際にROSの問診を行ってはならない。
問題04膠原病を疑う症状について誤っているのはどれか。1つ選べ。A:大動脈炎症候群,側頭動脈炎では上肢跛行がみられることがある。
問題05次の文章のうち,正しいものを1つ選べ。A:SLEにおける貧血の原因は自己免疫性溶血性貧血のことが最も多い。
問題06リウマチ膠原病疾患の診断について誤っているものはどれか。1つ選べ。A:パルボウイルスB19感染でもSLE,RAに似た症状を呈することがあるが,成人では小児でみられる皮疹はみられないことが多い。
問題07膠原病の手指の病変について,正しいものはどれか。1つ選べ。A:手指の持続する腫脹は,MCTDまたはSScの初期を疑う.
問題0830歳の女性。約2週間前に発熱と頬部に発赤,四肢に斑丘疹が出現する。数日後,手指の小関節に痛みを伴った腫れがみられ,昨日まで続き,心配になり,来院する。既往歴に特記すべきことなし。現在まで予防注射はすべて受けており,風疹のワクチンは5年前に受けている。身体所見:体温は正常。皮疹,関節炎所見はなし。耳介後部に小リンパ節腫脹がある。肝臓,脾臓触知せず。検査成績:白血球数 6,700/mm3で分画は正常。ヘモグロビン 12.8/dl,赤沈 21mm/時,抗核抗体1:40(40以下),リウマトイド因子;陰性,GPT 22IU/ml。次の血清検査のうち,どの検査がこの症例の診断を確定する可能性が高いか。1つ選べ。 A:風疹IgM抗体
問題09次のうち正しいものを1つ選べ。A:全身性エリテマトーデス(SLE),成人Still病,血管炎症候群では間歇熱が多い。
問題10自己抗体あるいは膠原病について,間違っているのはどれか。1つ選べ。A:抗核抗体は,正常人でも陽性になる。
問題11次のうち正しいものを1つ選べ。A:ANCAの測定法には,間接蛍光抗体法を利用した方法とELISA法を利用した方法があり,後者はANCAのスクリーニング法としてより適切である。
問題1240歳,女性。1カ月前から持続する両手関節の疼痛を主訴に来院した。朝のこわばりは2時間。身体所見では,両手関節の圧痛,右手関節の腫脹,右膝関節の圧痛を認めたが,ほかの関節に明らかな炎症所見はなかった。皮下結節なし。両手・手指・膝X線は異常所見なし。赤沈1時間値は30mm,CRPは2.0mg/dlであった。この症例について,正しいのはどれか。1つ選べ。 A:リウマトイド因子(RF)が陽性の場合,アメリカリウマチ学会の1987年改訂RA分類基準(1987年ACR基準)において,関節リウマチ(RA)の診断が確定する。
問題13関節リウマチの骨X線写真でみられる変化として,不適切なものどれか。2つ選べ。A:関節周囲の骨密度低下
問題1430歳,女性。4年前にSLEと診断され,プレドニゾロン最大45mg/日で加療を受けたことがある。現在は7.5mg/日まで減量され,疾患活動性は低い。抗リン脂質抗体(ループスアンチコアグラント・β2GPI依存性抗カルジオリピン抗体)の存在は指摘されていない。今回妊娠(初回)し,第28週前後まで経過順調であった。その後胎児の発育遅滞あり,同時に肝酵素の上昇傾向・血小板減少を認めたため,血小板輸血施行後,第32週で帝王切開が行われた。術後1日目,2日目と血小板数は低下傾向が続き,術後2日目より発熱。同時期より患者の意識状態はやや朦朧としている。同日より低酸素血症が出現し,酸素鼻カニュラ 2l/分での吸入を必要とした。指尖は白く,冷感著明でSpO2のモニタリングができない。次のうち,適切なものはどれか。2つ選べ。 A:HELLP症候群の遷延,TTPの発症,劇症型抗リン脂質抗体症候群(CAPS)の発症などが鑑別に挙げられる。
問題15関節リウマチの治療で用いられる薬剤を以下に示す。このなかで疾患修飾性抗リウマチ薬(disease modifying anti-rheumatic drugs:DMARDs)でない薬剤はどれか。2つ選べ。A:メトトレキサート
問題16RAの現時点での疾患活動性を定量できる指標はどれか。1つ選べ。A:SF-36
問題17関節リウマチの治療において,正しいものはどれか。1つ選べ。A:リウマチ因子陰性では関節リウマチの確定診断とならないため,NSAIDの処方で注意深く経過観察をする。
問題18リウマチ性多発筋痛症と関節リウマチとの鑑別上,最も有用な血液検査項目はどれか。1つ選べ。A:赤沈
問題19成人Still病に関する記載として,誤っているものはどれか。1つ選べ。A:関節炎が慢性化した場合,手根骨の骨性強直をきたすことが多い。
問題20SLEの増悪発作を示唆する可能性が低い所見は,次のうちどれか。1つ選べ。A:蝶形紅斑の出現
問題21症例:59歳,女性。入院までの経過:40歳時に腰痛を主訴に近医受診,両側腎結石と診断され加療された。51歳時に甲状腺腫大を指摘され,TSH 6.39μU/ml,fT4 40.75ng/dlより橋本病と診断され,加療開始された。2007年5月頃より右臍上15cm幅(Th6~8領域)で帯状の錯知覚を自覚,続いて右下肢の痙性不全麻痺,左体幹~下肢(Th8以下)の表在覚鈍麻が認められ,入院となった。 ・入院時検査所見:血液ガス所見;pH 7.27,PCO228.6,PO294.3,HCO312.8,BE-12.6。血算;WBC 3,000/μl,RBC 395×104/μl,Hb 12.3g/dl,Hct 36.9%,Plt 21.7×104/μl。生化学;TP 8.0g/dl,Alb 4.0g/dl,ALT 14IU/l,AST 8IU/l,BUN 17.9mg/dl,Cre 0.86mg/dl,Na 143mEq/l,K 3.2mEq/l,CL 113mEq/l,Ca 8.6mg/dl,IP 3.9mg/dl,UA 4.8mg/dl,Glu 92mg/dl,CRP 0.3mg/dl。尿所見;pH 7.5,蛋白(-),糖(-),ケトン(-),潜血(-),RBC 2~5個/視野,WBC 11~20個/視野,円柱なし。髄液:無色透明,細胞数6個,TP 57mg/dl,Glu 53mg/dl,Alb 32.5mg/dl,IgG 143.9μg/ml ・入院時現症:身長 154cm,体重 45Kg,体温 36.6℃,血圧 118/76mmHg。頸部;リンパ節腫脹なし,甲状腺軽度腫大。口腔内;義歯(10年前より)。皮膚;皮疹なし,心・肺・腹部;所見なし。 ・神経所見:CNSII-XII;異常なし。運動;MMT(R,L),大腿四頭筋(4,5),Hamstrings(4,5)。感覚:左右Th6~8の錯知覚,左体幹Th8以下の表在覚低下。深部知覚:異常なし,膀胱直腸障害なし。DTR;PTR & ACR右側亢進,Babinski右のみ陽性。 本疾患に最もよく認められる自己抗体は何か,正しいものを2つ選べ。 A:リウマトイド因子
問題22神経Behçet病について,誤っているものはどれか,2つ選べ。A:Behçet病の約10%に出現する。
問題23皮膚筋炎・多発性筋炎に関して誤っているのはどれか。1つ選べ。A:筋炎は四肢近位筋の障害が主だが,頸部屈筋群や咽頭筋の障害も比較的高頻度でみられる。
問題24全身性強皮症に合併する臓器障害で,可能性の低いものはどれか。1つ選べ。A:間質性肺炎
問題25高安病(大動脈炎症候群)について,誤っているものを1つ選べ。A:日本では,若年女性が罹患する割合が高い。
問題26抗好中球細胞質抗体が高頻度で陽性となるものはどれか。2つ選べ。A:結節性多発動脈炎
(解答は本誌掲載)
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