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今月の主題

「理解のための27題」



問題01

正常末梢肺のHRCT像で描出可能な肺構造を1つ選べ。

A:肺胞管
B:肺リンパ管
C:終末細気管支
D:気管支血管周囲間質
E:終末細気管支伴走肺動脈


問題02

次のCT所見で,誤っているものはどれか。一つ選べ。

A:血行性転移結節はランダム分布を示す。
B:広義間質性パターンを示すものにサルコイドーシスが挙げられる。
C:すりガラス影は,肺胞壁の肥厚を疑わせる所見である。
D:肺腺癌は複数の肺動静脈を収束性に巻き込むことが特徴である。
E:肺門部気管支血管周囲間質の連続性の増加は悪性腫瘍の進展を疑う。


問題03

原発性肺野型肺癌に関する記述で正しいのはどれか。1つ選べ。

A:胸部CTで2cm以下の限局性スリガラス影のみを認める場合は,野口type Bの細気管支肺胞上皮癌(BAC)を疑う。
B:野口type CのBACに対し,手術療法を行った場合の5年生存率は100%である。
C:肺野型扁平上皮癌の胸部CT像は,腺癌と特徴が異なるため鑑別は容易である。
D:既存の肺疾患が背景にある場合でも,肺野型肺癌では特徴的な胸部CT像を呈する。
E:胸部CTではTSCTやHRCTを併せて撮影することにより,結節影の特徴をより明瞭に把握することができる。


問題04

転移性肺癌の画像所見で誤っているものはどれか。2つ選べ。

A:転移性肺癌は一般的には多発性で両側肺野に認められることが多い。
B:好発部位としては下肺野に多く,末梢肺野よりも肺門部に認められることが多い。
C:甲状腺癌の肺転移の場合,びまん性肺疾患との鑑別が必要となることがある。
D:転移性肺腫瘍の空洞形成の頻度は比較的少ないが,原発巣としては頭頸部の腺癌で認められることが多い。
E:大腸癌の肺転移では,孤立性の転移を示すことがある。


問題05

肺良性腫瘍について正しいのはどれか。2つ選べ。

A:肺良性腫瘍で最も頻度が高いのは硬化性血管腫である。
B:炎症性偽腫瘍は何らかの普通でない炎症に対する反応が原因と考えられている。
C:硬化性血管腫は中年以降の男性に多く発生する。
D:過誤腫において,CT上,80%程度に石灰化が認められる。
E:硬化性血管腫は上皮性の良性腫瘍と考えられている。


問題06

肺胞性肺炎の胸部X線所見について誤っているものはどれか。2つ選べ。

A:肺葉全体に拡がると大葉性肺炎になる。
B:肺炎球菌性肺炎で認められる。
C:インフルエンザ桿菌性肺炎で認められる。
D:区域性の拡がりを呈する。
E:air bronchogramが認められる。


問題07

非定型病原体による肺炎に関する記述で正しいのはどれか。1つ選べ。

A:マイコプラズマの感染の場は線毛を有する上皮である。
B:レジオネラ肺炎は区域性分布のパターンを呈する。
C:クラミドフィラ肺炎は肺胞まで病変が及ぶことは稀である。
D:マイコプラズマ肺炎で肺胞性陰影を呈した際には,ステロイドホルモンは禁忌である。
E:レジオネラ肺炎では気管支の炎症が著明である。


問題08

結核の診断に関する記述で正しいものはどれか。1つ選べ。

A:肺結核のX線所見の基本は均等影である。
B:HRCTでの「木の芽様構造」は比較的肺結核に特異的な所見である。
C:外来でガフキー陰性が確認できれば一般病棟の大部屋に入れても心配ない。
D:不明熱患者の胸部X線写真が正常であれば粟粒結核は否定できる。
E:ガフキー陽性者は感染性結核であるから,即日隔離入院としなければならない。


問題09

肺の日和見感染症の画像検査に関する記述で正しいのはどれか。1つ選べ。

A:浸潤影を認めた場合はウイルス感染を疑う。
B:症状を有するニューモシスチス肺炎では,ほぼ全例で胸部単純X線により異常が指摘できる。
C:肺日和見感染症は特徴的なCT所見で診断が容易なことが多い。
D:CTで小葉中心や気道に沿うような粒状影は粟粒結核の特徴である。
E:肺アスペルギルス症は空洞などの基礎疾患を有する部位に好発する。


問題10

以下の特発性間質性肺炎の病理像について,間違っているものはどれか。1つ選べ。

A:特発性肺線維症→ UIP
B:非特異性間質性肺炎→ NSIP
C:急性間質性肺炎→ AIP
D:特発性器質化肺炎→ OP
E:剥離性間質性肺炎 → DIP


問題11

特発性肺線維症について間違っているものはどれか。2つ選べ。

A:特発性間質性肺炎のなかで最も頻度が高い疾患である。
B:50歳以上に多い疾患である。
C:平均生存期間は1年である。
D:HRCT上,蜂巣肺(honeycomb lung)は特徴的である。
E:診断には病理組織所見が必須である。


問題12

急性間質性肺炎(AIP)について正しいものはどれか。2つ選べ。

A:急性呼吸不全にて発症し,予後不良な疾患である。
B:特発性間質性肺炎7疾患のうち最も頻度の高い疾患である。
C:胸部CTではびまん性のground-glass attenuationおよびair-space consolidationの混在であり,構造改変を伴わないことが特徴である。
D:しばしばステロイドパルス療法が有効である。
E:病理学的にはびまん性肺胞傷害(DAD)を呈する。


問題13

特発性間質性肺炎に関する記述で正しいものはどれか。2つ選べ。

A:HRCTにて蜂巣肺が認められれば,IPFである。
B:HRCTにて蜂巣肺が認められなければ,IPFを否定できる。
C:HRCTにてNSIPと確定診断することは困難である。
D:HRCTにてCOPと好酸球性肺炎の鑑別は可能である。
E:NSIPとCOPは亜急性の経過で,治療反応性は良い。


問題14

膠原病に伴う間質性肺炎について,正しいものを2つ選べ。

A:皮膚筋炎に伴う間質性肺炎は,ステロイド薬への治療反応性は良好である。
B:多発性筋炎・皮膚筋炎に伴う間質性肺炎の病理組織学的分類は,非特異性間質性肺炎(NSIP)パターンが多い。
C:典型的皮疹を認めるが,筋症状に乏しい皮膚筋炎に伴う間質性肺炎は難治性となる場合が多い。
D:全身性強皮症に伴う間質性肺炎は,予後に影響しない。
E:全身性強皮症に伴う間質性肺炎に対するシクロホスファミドの投与は無効である。


問題15

肺好酸球性肉芽腫,過敏性肺臓炎のCT画像について,誤っているものはどれか。1つ選べ。

A:肺好酸球性肉芽腫では,進行するにつれて,小結節影主体から嚢胞性陰影主体へと変化がみられることが多い。
B:肺好酸球性肉芽腫の病変分布は上中肺野優位である。
C:急性過敏性肺臓炎では,小葉中心性の小粒状影,すりガラス状影が特徴的である。
D:慢性過敏性肺臓炎では,HRCT画像にて特発性間質性肺炎との鑑別が容易である。
E:慢性過敏性肺臓炎では,非可逆的な線維化病変である蜂巣肺がみられる場合がある。


問題16

Wegener肉芽腫症に関する記述で正しいのはどれか。1つ選べ。

A:上気道,肺,腎臓すべての病変がそろわないとWegener肉芽腫症と診断できない。
B:治療はプレドニゾロン単独で開始する。
C:胸部CT所見では,単発性結節影が最も多い所見である。
D:p-ANCAは活動性Wegener肉芽腫症の80%に陽性である。
E:最近の治療で高率に寛解が期待できるようになった。


問題17

サルコイドーシスに関する記述で正しいのはどれか。2つ選べ。

A:発熱,肺門リンパ節腫大(BHL),結節性紅斑,関節炎で発症する病型は予後が良い。
B:胸部X線病期は,通常Ⅰ期からⅣ期へと順に進行する。
C:気管支肺胞洗浄液(BALF)のリンパ球数は長期予後の良い指標である。
D:BHLのみで無症状の場合であっても,ステロイド治療の適応がある。
E:日本人症例の特徴は,眼病変,心病変の頻度が高いことである。


問題18

大陰影を伴う珪肺について誤っているのはどれか。1つ選べ。

A:粉塵曝露から離れれば進行は食い止められる。
B:混合性換気障害がある。
C:肺門や縦隔リンパ節の石灰化を伴う。
D:肺癌を合併する頻度が高い。
E:結核を合併する頻度が高い。


問題19

アスベスト関連疾患について,正しい記述はどれか。1つ選べ。

A:癌化するため胸膜プラークは切除する。
B:悪性胸膜中皮腫では血小板数が増加する。
C:胸膜プラークはアスベスト曝露後5年以内に形成される。
D:胸膜プラークは臓側胸膜に多い。
E:中皮腫患者数は減少傾向にある。


問題20

急性好酸球性肺炎として誤っているものはどれか。1つ選べ。

A:急性発症として重篤な低酸素血症をきたし人工呼吸管理となる例が多い。
B:喫煙開始直後の若年者に発症する例がある。
C:治療薬としてステロイドの反応は不十分であり,他の免疫抑制剤を必要とする。
D:胸部CT所見はスリガラス状を呈する濃度上昇域に小葉間隔壁の肥厚像が目立つ。
E:気管支肺胞洗浄液では著明な好酸球増多がみられる。


問題21

リンパ脈管筋腫症(LAM)について誤っているものを1つ選べ。

A:LAMは肺のみならず,後腹膜,骨盤腔などのリンパ節にも病変を形成する。
B:CT画像所見としては,正常肺野と薄壁で境される類円形の嚢胞が散在し,典型例では結節影,粒状影を認める。
C:初期例では,単純写真で異常を指摘できないケースが多い。
D:進行例では,高分解能CT(HRCT)を用いても重症肺気腫との鑑別は困難となる。
E:LAMの進行は個人差が大きく,HRCT画像,生理機能指標,病理像など総合的な病態評価が必要である。


問題22

肺胞蛋白症について正しいのはどれか。一つ選べ。

A:胸部高分解能CT(HRCT)でcrazy-paving appearanceを認める場合,肺胞蛋白症と確定診断してよい。
B:特発性肺胞蛋白症患者の約40%で血清中の抗GM-CSF抗体が陽性となる。
C:肺胞蛋白症の90%以上は特発性肺胞蛋白症である。
D:肺胞蛋白症患者のHRCTでは,下肺野背側の蜂巣肺を特異的に認める。
E:特発性肺胞蛋白症は画像所見の拡がりが軽微でも呼吸困難がきわめて強い。


問題23

画像所見について,誤っているものはどれか。1つ選べ。

A:COPD(肺気腫優位群)の胸部単純平面像では,滴状心を認めることが多い。
B:COPD(肺気腫優位群)の胸部単純平面像では,肺野末梢血管の狭小化が認められる。
C:COPD(肺気腫優位群)のCT画像では,病変に相当する低吸収領域の周囲に皮膜をもつことが特徴である。
D:気管支喘息のCT画像における気道壁の肥厚は罹病期間と関連がある。
E:気管支喘息のCT画像における肺野のモザイクパターンは,呼気において明瞭に認められる。


問題24

びまん性汎細気管支炎(DPB)の臨床的特徴に関する記述で,誤っているものはどれか。2つ選べ。

A:慢性の咳・痰,労作時の息切れを呈する。
B:慢性副鼻腔炎の合併は稀である。
C:呼吸機能では拡散能低下を認める。
D:胸部X線写真で肺の過膨張が認められる。
E:高分解能CT(HRCT)で,小葉中心性の粒状影,気管支拡張所見を認める。


問題25

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)に関する記述で,誤っているものはどれか。1つ選べ。

A:ABPAでは,中枢気管支内の粘液栓子で,分岐状の腫瘤影や浸潤影がみられやすい。
B:ABPAは肺門部肺癌と鑑別を要する陰影を呈することがある。
C:ABPAでは時に移動性浸潤影を呈することがある。
D:ABPAでは中枢性気管支拡張所見は非常に特徴的とされる。
E:ABPAの末期の胸部CT像としては,アスペルギルスによる菌球と不整な気腔を伴う空洞が特徴的である。


問題26

肺底動脈大動脈起始症の記述につき,誤っているものを1つ選べ。

A:肺底動脈大動脈起始症は,肺葉内肺分画症を分類したPryceの分類のI型に属する。
B:肺底動脈大動脈起始症は,ほとんど左側に発生する。
C:肺底動脈大動脈起始症の治療法は,異常動脈と肺底動脈の吻合術である。
D:肺底動脈大動脈起始症に気管支の分岐異常はみられない。
E:肺底動脈大動脈起始症の異常血管は下行大動脈から分枝する。


問題27

急性肺血栓塞栓症の画像診断に関する記述で正しいのはどれか。1つ選べ。

A:胸部X線で肺門部肺動脈陰影の著しい拡大を認める。
B:造影CTで右室肥大が目立つ。
C:造影CTで血栓による陰影欠損が認められない場合は診断が否定できる。
D:肺梗塞の合併がない場合には,胸部造影CTで末梢領域の異常所見は認めない。
E:造影CTで下肢まで撮像するほうがよい。


(解答は本誌掲載)