今月の主題 「理解のための題」 |
問題 1 インフルエンザについて,正しい組み合わせはどれか。(1) アマンタジンはインフルエンザのA型とB型の両方に有効である。(2) ザナミビルは吸入薬,オセルタミビルは経口薬として用いる抗インフルエンザウイルス薬である。 (3) 抗インフルエンザウイルス薬は発症48時間以内の使用での有用性が期待できる。 (4) 高齢者にインフルエンザワクチンを接種することで100%近い発症阻止効果が期待できる。 (5) アマンタジンは耐性ウイルスのできにくい抗ウイルス薬である。 A:(1),(2)
問題 2 かぜ症候群に対する抗菌薬使用について,正しい組み合わせはどれか。(1) かぜ症候群はウイルスと細菌の混合感染が多いので,抗菌薬を用いるべきである。(2) 小児はウイルスや病原細菌のキャリアであるから,積極的に抗菌薬を用いる。 (3) 高齢者は肺炎になりやすいのでかぜ症候群でも抗薬薬を最初から用いたほうが良い。 (4) 急性上気道感染症の抗菌薬使用は短期間で行う。 A:(1),(2),(3)
問題 3 市中肺炎の原因菌でマクロライド系薬が有効なものについて,正しい組み合わせはどれか。(1) ペニシリン耐性肺炎球菌(2) 肺炎桿菌 (3) MRSA (4) 肺炎クラミジア (5) マイコプラズマ A:(1),(2)
問題 4 院内肺炎について,正しい組み合わせはどれか。(1) 院内肺炎は入院後24時間以内に発症した肺炎のことである。(2) 重症の院内肺炎であっても,耐性菌の増加を防ぐため単剤で治療するべきである。 (3) 晩期VAP(ventilator-associated pneumonia)では薬剤耐性菌が原因菌であることが多い。 (4) MRSAが院内肺炎の原因菌である場合,グリコペプチド系抗菌薬を使用する。 (5) レジオネラは市中肺炎の原因菌であり,院内肺炎の原因菌となることはない。 A:(1),(2)
問題 5 脳梗塞のため寝たきりの患者が,食後に激しい咳と喘鳴を主訴に受診しました。この場合,直ちに行う検査として正しいものはどれか。(1) 頭部CT(2) 気管支鏡 (3) 心電図 (4) 血液ガス分析 A:(1),(2),(3)
問題 6 初回標準治療の薬剤の組み合わせとして正しいものはどれか。(1) INH(イソニアジド)300mg(2) RFP(リファンピシン)450mg (3) EB(エタンブトール)750mg (4) PZA(ピラジナミド)1.2g A:(1),(2),(3)
問題 7 肺MAC症の診断と治療において正しい組み合わせはどれか。(1) 培養菌の感受性結果から薬剤とその組み合わせを選択する。(2) クラリスロマイシンを含んだ化学療法が有用である。 (3) 中年女性での中葉舌区を中心とした肺MAC症が増加している。 (4) 結核化学療法と同じくINH(イソニアジド),RFP(リファンピシン),PZA(ピラジナミド)が主軸薬剤である。 (5) 結核菌用の感受性検査は治療薬剤選択の参考にならない。 A:(1),(2),(3)
問題 8 慢性気道感染症の急性増悪時のエンピリック治療に適した抗菌薬はどれか。(1) ペネム系抗菌薬(2) ニューキノロン (3) 第3世代セフェム系抗菌薬 (4) ニューマクロライド A:(2),(4)
問題 9 ステロイド長期内服によって生じる肺炎について正しいものを選べ。A:主に液性免疫不全によって生じる。B:原因微生物がはっきりと判明した時点で,治療を開始する。 C:肺炎を合併するリスクはステロイド投与量のみに関係しており,投与期間は関係ない。 D:抗菌薬のみで効果が乏しい場合には,ST合剤や抗真菌薬の併用も考慮する。 E:ニューモシスチスや結核に対する予防投与は副作用が出現する可能性が大きいので,通常行わない。 問題 10 肺アスペルギルス症の治療に関して,正しい組み合わせはどれか。(1) まずは内科的に抗真菌薬による治療を優先し,外科治療はなるべく遅らせる。(2) AMPH(アムホテリシンB)は強い抗真菌活性を有する経口薬である。 (3) 5-FC(フルシトシン)やITCZ(イトラコナゾール)などアゾール系薬剤は薬物相互作用を有し注意を要する。 (4) VRCZ(ボリコナゾール)は注射剤から内服へのスイッチ療法が可能である。 (5) MCFG(ミカファンギン)は1,3-β-Dグルカンの合成を阻害することで抗真菌作用を示す。 A:(1),(2)
問題 11 肺炎球菌ワクチンについて正しい組み合わせはどれか。(1) 既知の莢膜抗原84血清型すべてを含む84価ワクチンである。(2) 2歳未満では抗体が十分に産生されないため,接種対象ではない。 (3) 65歳以上の高齢者や,それ以下でも慢性疾患などリスクを有す人たちに接種が勧められる。 (4) 原則的に3年ごとに追加接種して免疫を維持していく必要がある。 (5) インフルエンザワクチンと同様,日本でも公費助成制度が整備された。 A:(1),(2)
問題 12 喘息の発作時,早期にステロイド薬点滴静脈注射を必要とする場合はどれか。(1) 会話困難な発作(2) 過去1年に入院歴がある (3) 苦しいが横になれる発作 (4) アスピリン喘息 (5) ネオフィリンの経口薬を内服中の患者 A:(1),(2)
問題 13 吸入ステロイドの副作用はどれか。(1) 嗄声(2) 口腔・咽頭カンジダ症 (3) 白内障・緑内障 (4) 骨粗鬆症 (5) 副腎機能抑制 A:(1),(2),(3)
問題 14 COPDの管理・治療について,正しい組み合わせはどれか。(1) COPDの治療は,重症度別に行う。(2) 軽症のCOPDにもインフルエンザワクチンの接種は推奨されている。 (3) 禁煙のためには,ニコチン製剤を使ってもよい。 (4) COPDには,吸入ステロイドが第一選択薬である。 (5) 肺機能の改善がなければ,薬剤の効果はないと判断する。 A:(1),(2),(3)
問題 15 交感神経刺激薬について誤っているのはどれか。A:交感神経刺激薬は気管支平滑筋細胞内のcAMP濃度を低下させる。B:短時間作用型交感神経刺激薬は喘息治療のリリーバーに位置づけされる。 C:交感神経刺激薬はMDI(定量噴霧式吸入器)による吸入を第一選択に考慮すべきである。 D:短時間作用型交感神経刺激薬は吸入ステロイドなどの抗炎症薬と併用する。 E:長期間作用型β2 刺激薬(LABA)はCOPDの長期管理にも有用である。 問題 16 テオフィリン薬につき,正しいのはどれか。A:アミノフィリン100mgはテオフィリン80mgに相当する。B:テオフィリン薬とβ2 刺激薬を併用しても相加効果はないので意味がない。 C:テオフィリン徐放製剤は成人では600mg/日を基準とする。 D:血中濃度は20μg/mlを目標とする。 E:COPDの増悪時はまずテオフィリン薬を用いる。 問題 17 抗コリン薬について正しいのはどれか。(1) COPDのStage IIから使用(2) ニコチン様受容体機能抑制 (3) 白内障を合併する例では禁忌 (4) 喘息で長期管理薬として使用 (5) 他の気管支拡張薬との併用効果 A:(1),(2)
問題 18 吸入ステロイドについて,正しい組み合わせはどれか。(1) GINA2002ではステップ1にも吸入ステロイドを薦めている。(2) ステップ2以上の重症度では吸入ステロイドが長期管理薬の第一選択薬である。 (3) GINA2002ではステップ3,ステップ4に対して吸入ステロイドとLABAの併用を薦めている。 (4) COPDで吸入ステロイドを薦める理由は%FEV1.0 が50%未満のCOPD症例の増悪回数を減らすからである。 (5) COPDではIII,IV期のすべての患者に吸入ステロイドが薦められる。 A:(1),(2),(3)
問題 19 抗アレルギー薬について正しいものを選びなさい。(1) 多くの抗アレルギー薬は数日以内に効果が認められる。(2) ロイコトリエン拮抗薬は気道炎症抑制効果があり,吸入ステロイド薬の減量効果もある。 (3) トロンボキサンA2 阻害薬・拮抗薬では血小板凝集能抑制作用のある薬剤との併用に注意を要する。 (4) JGL2003改訂版ではDSCGは成人,小児ともに長期管理薬としてステップ1~ステップ4まで使用が推奨されている。 (5) メディエーター遊離抑制薬はアスピリン喘息に有用とされている。 A:(1),(2)
問題 20 気管支喘息の減感作療法について正しい組み合わせはどれか。(1) アレルゲンエキスの低濃度の注射から始める。(2) 副作用としてアナフィラキシーショックがある。 (3) 小児喘息では適応がない。 (4) 真菌のカンジダやアスペルギルスの減感作療法は有用である。 (5) 1年間継続すれば中止しても再発することは少ない。 A:(1),(2)
問題 21 間質性肺炎について,正しい組み合わせはどれか。(1) 特発性間質性肺炎と特発性肺線維症(IPF)は同一疾患名である。(2) 特発性肺線維症(IPF)の病理組織像は通常型間質性肺炎(UIP)である。 (3) 本邦で頻度の一番高いのは非特異性間質性肺炎(NSIP)である。 (4) ステロイド薬はcellular NSIPや特発性器質化肺炎(COP)には有効である。 A:(1),(2),(3)
問題 22 過敏性肺炎について,正しい組み合わせはどれか。(1) 慢性鳥飼病は鳥飼育者だけに発症する。(2) 慢性過敏性肺炎は再燃症状軽減型と潜在性発症型に分類される。 (3) 慢性過敏性肺炎に対するステロイド薬は抗原回避の有無にかかわらず有効である。 (4) 急性過敏性肺炎の短期間での評価ではステロイド薬は有効である。 A:(1),(2),(3)
問題 23 肺サルコイドーシスの治療において正しいものはどれか。(1) BHLだけの所見であってもACEが高値のものは治療適応となる。(2) 肺野粒状陰影,綿花状陰影の出現は自然に改善する可能性が低いので,治療開始の1つの指標となる。 (3) 肺野の陰影が悪化しても,%VCの80%以下の低下,1秒率の70%以下の低下,PaO2 の低下がみられないものは治療開始の適応にならない。 (4) 肺野の気管支血管束に沿った陰影が増加して自覚症状の悪化がみられれば治療開始の適応である。 (5) サルコイドーシス治療開始の適応を決めることは一般的には難しく,迷う場合には経験の豊富な医師のセカンドオピニオンを求めるのがよい。 A:(1),(2)
問題 24 急性肺塞栓症が強く疑われる症例の第1回目の血液学的検査で必須なものはどれか。(1) APTT(2) 出血時間 (3) フィブリノーゲン (4) アンチトロンビン(AT)-III (5) D-dimer A:(1),(2),(3)
問題 25 咳嗽について正しい組み合わせはどれか。(1) 咳喘息には気管支拡張薬が有効である。(2) アトピー咳嗽には抗ヒスタミン薬は無効である。 (3) 胃食道逆流は慢性咳嗽の原因にならない。 (4) 慢性咳嗽はすべて湿性咳嗽である。 (5) 慢性咳嗽の診断には咳受容体感受性や気道過敏性の検査が有用である。 A:(1),(2)
問題 26 去痰薬について,下記の組み合わせで正しいものはどれか。(1) 去痰薬は,粘液溶解薬である。(2) 去痰薬は,いくつも併用してはならない。 (3) 去痰薬は,補助療法である。 (4) 漢方薬にも,去痰作用を有するものがある。 (5) 去痰薬は,気道クリーニング作用がある。 A:(1),(2).(3)
問題 27 次に中で誤っているものを選べ。A:かぜ症候群の後から乾性咳嗽を主訴とした70歳女性が来院した。麦門冬湯を1週間処方し,有効であった。B:かぜ症候群の後から,食欲不振,全身倦怠感が続いている75歳男性が来院した。葛根湯を1週間処方し,有効であった。 C: 50歳女性が,咽喉頭異常感を主訴に来院した。半夏厚朴湯を2週間処方し改善がみられた。 D:30歳女性の花粉症患者に小青竜湯を1カ月処方した。 E:50歳,重症喘息で,ステロイド薬内服中の女性に柴朴湯を6カ月内服させたところ,症状が安定し,ステロイド薬を減量できた。 問題 28 酸素療法について正しい組み合わせはどれか。(1) PaO2 60Torr以下,PaCO2 40Torr以下をI型呼吸不全,PaCO2 50Torrを超えるものをII型呼吸不全と呼ぶ。(2) PaO2 60Torr以下(SpO2 90%以下)で酸素含有量は急激に低下する。 (3) 患者の換気量によって吸入酸素濃度は変化する。 (4) 慢性呼吸不全の在宅酸素療法適応はPaO2 55Torr以下が絶対的適応であり,PaO2 60Torr以下で睡眠時または運動負荷時に著しい低酸素血症をきたすものである。 (5) 慢性呼吸不全の急性増悪ではCO2 ナルコーシスが危険であるので,低酸素血症を認めても,酸素の投与を控える。 A:(1),(2)。(3)
問題 29 終末期呼吸困難での対応で注意すべき点は何か。(1) 肺胞低換気(2) 信頼関係 (3) living will (4) 下肢運動トレーニング A:(1),(2),(3)
(解答は本誌掲載)
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