今月の主題 「理解のための32題」 |
問題 1 頻脈性不整脈の機序について,正しい組み合わせはどれか。(1)発作性上室性頻拍はリエントリを機序とする代表的な頻拍である。(2)頻拍が持続性の場合はその機序としてリエントリを疑う。 (3)warm-up現象とcool-down現象を認めるときはリエントリ性頻拍を疑う。 (4)多源性心房頻拍はリエントリ性であることが多い。 (5)心房細動はリエントリ性であることが多い。 A:(1),(2),(3)
問題 2 わが国における心臓突然死に関して正しいものはどれか。(1)わが国の院外心肺停止の発生患者はおおよそ30分に1人の割合で発症していると考えられている。(2)初回心電図が無脈性電気活動(PEA)や心静止である確率は,目撃者がいると高くなる。 (3)ウツタイン様式とは国際的な救急医療活動の用語や定義を統一させたものである。 (4)2005年現在,救急救命士の包括指示として心室細動(VF)や無脈性心室頻拍(VT)に対する電気的除細動は医師の指示なく直ちに行うことができる。 (5)わが国の報告では,初回心電図でVF/無脈性VTのほうがPEAや心静止に比べその予後は良いといわれている。 A:(1),(2),(3)
問題 3 危険性の高い不整脈疾患について正しい組み合わせはどれか。(1)偽性心室頻拍は心室細動に移行することはない。(2)心室頻拍の危険性は基礎心疾患の有無により異なる。 (3)心室性期外収縮の数が多いほど突然死の危険性が高い。 (4)torsades de pointesはQT延長時に出現することが多い。 A:(1),(2),(3)
問題 4 不整脈緊急治療に関する記述のうち,正しい組合せはどれか。(1)心室細動をみたときは,一刻も早くリドカインを投与すべきである。(2)心不全や低血圧を伴う心室頻拍にはR波に同期しない直流通電を行う。 (3)心房細動が緊急治療の適応となることはない。 (4)Kent束を順行伝導する心房細動にIa群抗不整脈薬は有効である。 (5)Mobitz型II度房室ブロックは症状がなくても緊急対応が必要である。 A:(1),(2)
問題 5 不整脈の重症度を決定する要因はどれか。A:不整脈の頻度
問題 6 次のうち正しい組み合わせはどれか?(1)抗不整脈薬投与によりQT時間延長から失神をきたす場合がある。(2)徐脈頻脈症候群では動悸停止後にめまいや眼前暗黒感を伴うことがある。 (3)完全房室ブロックではcannon soundを聴取する。 (4)心房粗動は迷走神経緊張手技で停止することが多い。 (5)Adams-Stokes発作ではしばしば前兆を伴う。 A:(1),(2),(3)
問題 7 高カリウム血症で認められる心電図所見はどれか。(1)T波の増高(2)QRS幅の延長 (3)P波の減高 (4)U波の増高 A:(1),(2),(3)
問題 8 無症候性の症例に認められた下記の不整脈のなかで,早急の処置が必要でないものはどれか。(1)洞徐脈(心拍数40回/分)(2)慢性化した右脚ブロック (3)特発性の非持続性心室頻拍(最大10連発) (4)心機能が良好な症例の心室性期外収縮 A:(1),(2),(3)
問題 9 18歳の女性。失神,突然死の家族歴,既往歴はない。職場の健診で心電図異常を指摘され,運動負荷を行い,Bruce stageIIで図1に示す心電図所見が得られた。どのような対応をとるべきか。正しい組み合わせはどれか。(1)ここで負荷を終了し,また来年検査をするよう勧める。(2)さらに負荷を行い,不整脈の増減を観察する。 (3)イソプロテレノールを負荷する。 (4)カテーテルアブレーションを勧める。 (5)リドカインの内服を開始する。 A:(1),(2)
問題 10 ホルター心電図に関して正しいのはどれか。(1)技術の進歩により,心室期外収縮と心房期外収縮の自動解析の精度は同等となった。(2)陳旧性心筋梗塞患者では心機能にかかわらず心室性不整脈による突然死のリスクが高くホルター心電図の適応となる。 (3)抗不整脈薬投与後の24時間の心室期外収縮数が50%減少した場合に有効であると評価できる。 (4)心拍変動解析指標は心不全患者では予後の予測因子となる。 A:(1),(2),(3)
問題 11 運動時の心室性期外収縮について正しいのはどれか。A:健常人では突然死の指標となる。
問題 12 不整脈の検査法に関する下記の記述で正しいものはどれか。(1)RR間隔変動の周波数解析ではHF成分の大きさは心臓迷走神経活動の指標として使われている。(2)T-wave alternans(TWA)は心筋細胞活動電位の脱分極過程と関連する。 (3)心筋梗塞後の心臓突然死に対するTWA検査の特徴は感度と陽性的中率が高いことである。 (4)体表面QRS波よりも遅れた微小な電位を加算平均することにより,late potential(LP)が記録される。 (5)LP,TWA,HRV(心拍変動解析)などの検査結果は基礎心疾患により臨床的な意義が異なる。 A:(1),(2),(3)
問題 13 不整脈の薬物負荷試験について,正しい組み合わせはどれか。(1)II度以上の潜在性房室ブロックの誘発に硫酸アトロピンやIa群抗不整脈薬が用いられる。(2)硫酸アトロピンにより房室ブロックが改善した場合はペースメーカー治療の適応となる。 (3)I群抗不整脈薬の投与により,Brugada症候群に特有のcoved型ST上昇が出現もしくは著明になることがある。 (4)Brugada症候群のI群抗不整脈薬負荷は,外来で安全に行うことができるため診断に有用である。 A:(1),(2),(3)
問題 14 心臓電気生理学的検査(EPS)を行ううえで正しいのはどれか。(1)原因不明の失神発作を繰り返す例にEPSを行う。(2)II度房室ブロックの症例で,ブロック部位がHis束内であれば無症状であってもペースメーカ植込みを考慮する。 (3)プログラム刺激で誘発されない不整脈はカテーテルアブレーションの適応とはならない。 (4)心室細動などの致死性不整脈は危険なのでEPSの適応外である。 (5)冠状静脈洞に留置したカテーテルでの電位記録は左心房電位を反映している。 A:(1),(2),(3)
問題 15 抗不整脈薬投与中にtorsades de pointesを出現させやすくする因子はどれか。(1)不整脈薬投与前のQT延長(2)マクロライド系抗生物質の併用 (3)女性 (4)低カリウム血症 A:(1),(2),(3)
問題 16 β遮断薬に関して,正しい組み合わせはどれか。(1)昼に発作の多い心房細動の予防にβ遮断薬が有効である。(2)気管支喘息の増悪はβ1選択性のβ遮断薬で認められる副作用である。 (3)高齢者や徐脈傾向の患者には内因性交感神経刺激作用(ISA)を有するβ遮断薬が使いやすい。 (4)先天性QT延長症候群の患者で植込み型除細動器(ICD)植込み後にはβ遮断薬投与は必要ない。 A:(1),(2),(3)
問題 17 発作性上室性頻拍の急性期に,有効性が高い薬剤はどれか。(1)β遮断薬(2)Ca拮抗薬 (3)ジゴキシン (4)ATP (5)Naチャネル遮断薬 A:(1),(2),(3)
問題 18 心房細動の治療について,正しい記載はどれか。(1)ジギタリスは迷走神経緊張亢進を介して房室結節の伝導を抑制し,心拍数調節効果を現す。(2)重症心不全例の心房細動の心拍数調節には,ジギタリスが第一選択となる。 (3)基礎心疾患のない心房細動の心拍数調節には,Ca拮抗薬,β遮断薬が第一選択となる。 (4)Ca拮抗薬,β遮断薬は陰性変力作用を有するため,心不全や低血圧の発生に注意が必要である。 (5)WPW症候群の心房細動では,ジギタリスやCa拮抗薬は,副伝導路を介する伝導を促進するため禁忌である。 A:(1),(2),(3)
問題 19 以下のうち正しい組み合わせはどれか(1)糖尿病は心房細動を有する患者の脳塞栓症のリスクファクターである。(2)左心耳は血栓の好発部位である。 (3)キニジンはワルファリンの効果を増強させる。 (4)75歳以上の患者では,リスクファクターがなければ抗凝固療法の必要はない。 A:(1),(2),(3)
問題 20 抗不整脈薬の使用において以下のうち正しいものはどれか。(1)抗不整脈薬は,肝機能,腎機能に十分注意して使用しなくてはならない。(2)高齢者の不整脈症例では原因となる全身性疾患が存在することが多いために,できるだけ早く薬物治療を開始する必要がある。 (3)肝機能障害時の抗不整脈薬治療では,肝酵素(AST,ALT)の値を指標として投与量を調節する。 (4)高齢者で血清クレアチニン値が正常であれば,常用量の抗不整脈薬の投与が勧められる。 (5)妊婦への抗不整脈薬の使用においては,妊娠初期10週までの期間は催奇形性のある薬物の使用は避ける。 A:(1),(2)
問題 21 ペースメーカの適応はどれか。(1)頻脈性心房細動に対する房室接合部のアブレーション後(2)左脚ブロックを伴う第1度房室ブロック (3)心室細動 (4)抗不整脈薬による多形性心室頻拍 (5)完全房室ブロック A:(1),(2)
問題 22 カテーテルアブレーションについて正しい組み合わせはどれか。(1)His束電位がカテーテルアブレーション施行部位に記録される場合でも安全に施行可能である。(2)房室結節を回路に含む上室性頻拍の大部分は,カテーテルアブレーションによる根治成績はきわめて高い。 (3)特発性心室頻拍の大部分はカテーテルアブレーションによる根治成績が高く,良い適応となる。 (4)心臓疾患に合併する心室頻拍の頻拍回路が心外膜に存在すると考えられる場合でも心内膜側からの高周波通電でほぼ根治可能である。 (5)心室細動に対してもカテーテルアブレーションが積極的に施行されており,心不全の合併する心室細動に対しても根治可能である A:(1),(2),(3)
問題 23 ICD(植込み型除細動器)の適応について,正しい組み合わせはどれか。(1)陳旧性心筋梗塞症に伴う心機能低下があり,心室細動による心肺蘇生の既往がある患者。(2)Brugada型心電図所見を有し,自然停止する多形成心室頻拍が確認された患者。 (3)原因不明の失神発作があり,拡張型心筋症に伴う心機能低下とホルター心電図で非持続性心室頻拍が認められた患者で,電気生理学検査で持続性心室頻拍が誘発され,薬剤で抑制されない患者。 (4)冠れん縮性狭心症の診断があり,心電図モニターでST上昇と同時に心室細動が確認された患者。 A:(1),(2),(3)
問題 24 AED(自動体外式除細動器)の記述のなかで正しいものはどれか。(1)AEDはすべての心停止に対して有効である。(2)意識のない傷病者を発見したときは直ちに装着する。 (3)小児(1~8歳)の不整脈に対する解析精度は低いので使用してはならない。 (4)傷病者の胸壁が濡れているときにはタオルなどで拭いた後にパッドを装着する。 A:(1),(2),(3)
問題 25 期外収縮の治療について正しい組み合わせはどれか。(1)健常人にみられる期外収縮の予後は良好であるが症状が,強い時には治療を要する。(2)Ib群抗不整脈薬は心機能抑制が少なく,心房性期外収縮に対して比較的安全に投与できる。 (3)III群抗不整脈薬は心機能抑制が強い。 (4)陳旧性心筋梗塞例の期外収縮に対するIc群抗不整脈薬の投与は予後を悪化させる。 (5)心房細動を引き起こす心房性期外収縮は治療が必要である。 A:(1),(2),(3)
問題 26 持続性心房細動の除細動の適応について,正しい組み合わせはどれか。(1)平均心拍数が140/分で,ショックを有する心房細動(2)心拍数が90/分で,発症後24時間の心房細動 (3)発症後3日で,左心耳内血栓がない心房細動 (4)持続が5年経過した心房細動 (5)左房径が6cmの持続性心房細動 A:(1),(2),(3)
問題 27 抗不整脈薬の中止について正しい組み合わせはどれか(1)僧帽弁置換術後2日目に新たに心房細動が発生した場合は,抗不整脈薬を投与し続けるべきである。(2)心室性期外収縮に対して数十年間にわたり抗不整脈薬を投与されている患者は,その投与を中止すべきでない。 (3)不整脈発生の頻度が上昇すると,症状は逆に軽減して抗不整脈薬を中止できることがある。 (4)発作性心房細動が慢性心房細動に移行した際は,抗不整脈薬の中止を考えるべきである。 (5) 急性心筋梗塞患者に対する経皮的冠動脈インターベンション中に致死的な心室頻拍が生じた場合,その後の抗不整脈薬投与継続は必須である。 A:(1),(2)
問題 28 催不整脈作用について正しい組み合わせはどれか。(1)薬剤濃度異常高値(中毒)による不整脈は含まれない。(2)複数薬剤の相互作用による不整脈は含まれない。 (3)治療前から確認されている不整脈の再発は含まれない。 (4)代謝臓器(肝・腎)障害は高リスク因子である。 (5)不整脈発生時は,拮抗作用のある抗不整脈薬を使用する。 A:(1),(2)
問題 29 生活指導と不整脈について正しい組み合わせはどれか。(1)睡眠時無呼吸症候群では,一過性の低酸素血症が不整脈を誘発する。(2)適量の飲酒には不整脈抑制効果がある。 (3)長年の喫煙歴があっても禁煙の不整脈抑制効果が期待できる。 (4)心不全を合併した持続性心室頻拍症例は運動療法の適応になる。 (5)適度な運動は心不全患者の副交感神経機能を低下させる。 A:(1),(2),(3)
問題 30 ペースメーカ・ICDについて,正しい組み合わせはどれか。(1)断線などリードトラブルは植込み後5年以上経って頻発するようになる。(2)刺激出力は通常の電気生理検査と同じように閾値の2倍に設定する。 (3)リード抵抗値が低下している場合はリード被膜損傷や漏電を疑う。 (4)ICDを植え込んでいても6カ月以上発作がなければ,普通自動車の運転は許可される可能性がある。 (5)IH調理器および全自動麻雀卓は変動磁界を発生し,デバイス設定に影響を及ぼす可能性がある。 A:(1),(2),(3)
問題 31 次の中で緊急を要する不整脈はどれか?(1)WPW症候群に合併した頻拍性心房細動(2)1:1伝導の心房粗動 (3)完全房室ブロック (4)慢性心房細動 A:(1),(2),(3)
問題 32 心臓性急死について正しいものはどれか(1)急性心筋梗塞では病院到着前死亡が相当数存在することが知られている。(2)先天性QT延長症候群やBurgada症候群は高齢期に心臓性急死をきたすことを特徴とする。 (3)植込み型除細動器(ICD)の適応は二次予防が主である。 (4)電気生理検査のリスク予知の有用性はあらゆる病態で確立されている。 A:(1),(2),(3)
(解答は本誌掲載)
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