今月の主題 「理解のための37題」 |
問題 1 画像診断のdigital化がもたらす影響について,正しくないのはどれか。(1)画像情報を速やかに閲覧できるようになり,診断の効率が上がる。(2)実質的な遠隔診断が可能になる。 (3)専門家との病診連携が円滑になる。 (4)自由自在に患者の画像を閲覧・解析でき,研究発表がスムーズに行える。 A:(1),(2),(3)
問題 2 PACS(picture archiving and communication system)導入のメリットについて,正しい組み合わせはどれか。(1)電子カルテに用いられるWEB画像は,オリジナル画像と比較してクオリティが落ちることがある。(2)モニター診断では,同時に多数の画像を観察することが困難であり,消化管造影検査の読影にあまり適さない。 (3)モニター診断では,読影の際にROI(region of interest;関心領域)の設定を行ったり,CTのwindow levelを替えたりできることがメリットの一つである。 (4)PACSによるフィルムレス運用は,現像機が不要ではあるが,コンピュータシステム導入のための初期コストは高価である。 A:(1),(2),(3)
問題 3 次のうち,正しいものの組み合わせはどれか。(1)DICOMのファイルには,患者名や検査日時が記録されている。(2)シャーカステンと比較して,モニタは暗いので,部屋の明るさを暗くして読影する必要がある。 (3)モニターで画像を読影する場合は,表示画素数は2,000×2,000以上が必要である。 (4)画像を非可逆圧縮しても,誤診する心配はない。 (5)画像診断を行う場合には,モニターの性能を定期的にチェックするべきである。 A:(1),(2),(3)
問題 4 遠隔診断について,正しい組み合わせはどれか。(1)放射線科専門医のいない病院でも,放射線科専門医の作成した画像診断レポートを受け取ることができる。(2)緊急の場合でも,画像診断に関して専門的な意見を求めることができる。 (3)画像上どこに所見があるかモニターを見ながら相談できる。 (4)次にどのような検査が必要であるかを相談することも可能である。 A:(1),(2),(3)
問題 5 CT,MRI装置の最近の発展について,正しいものを3つ選べ。(1)多列検出器型CT(MDCT)は,等方向性画像データを高速に撮影できる。(2)MRIのパラレルイメージングは,マルチコイルを利用して撮影時間を短縮する。 (3)MRIのSN比は静磁場強度に反比例する。 (4)CT,MRI画像の標準的なサイズは,0.1MB/枚程度である。 (5)functional MRI(fMRI)には,静磁場強度が大きいMRI装置が有利である。 A:(1),(2),(3)
問題 6 PET装置について,正しい組み合わせはどれか。(1)PETでは,ある時間内に2つの検出器に入射した消滅放射線を計測する。(2)三次元収集は,二次元収集に比べ感度が高い。 (3)三次元収集は,二次元収集に比べ散乱線成分が少ない。 (4)シンチレータの蛍光減衰時間が長いと,偶発同時計数が少なくなる。 (5)CTを用いた吸収補正は,外部線源によるトランスミッションスキャンによる吸収補正と比べ,高い信号対雑音比を得ることができる。 A:(1),(2),(3)
問題 7 次のうち,正しいものの組み合わせを選べ。(1)頸動脈病変の診断には,カラーフローイメージング(断層図)とドプラ効果による血流の検討が有用である。(2)経食道超音波検査法は塞栓源の検索として,心臓ばかりでなく大動脈病変の診断にも用いられる。 (3)超音波検査は頸動脈プラーク(plaque)の性状や潰瘍形成の診断に用いられる。 (4)超音波は骨を通さないので,頭蓋内血管の検査は不可能である。 A:(1),(2),(3)
問題 8 急性期病院に必要なものはどれか。(1)病診連携のシステム(2)チーム医療 (3)高度先進医療 (4)老人保健施設 A:(1),(2),(3)
問題 9 次のうち,正しい組み合わせはどれか。(1)DPCでは,1つの疾患に1つの診断群分類が決められている。(2)DPCでは,画像検査はすべて包括評価される。 (3)DPCでは,在院日数が短縮され,画像検査は外来へシフトする傾向がある。 (4)DPCでの粗診粗療を防ぐには,クリティカルパスを導入することが一つの方法である。 (5)脳梗塞重症例では入院初日にCTを撮像すると,翌日のCT検査は不要である。 A:(1),(2)
問題 10 次のうち,正しいものの組み合わせはどれか。(1)FPD(フラットパネルディテクター)はデータ量が多すぎて,血管造影には不向きである。(2)嚥下造影検査では通常,血管造影剤を使用する。 (3)CR(computed radiology)はデジタル化が容易だが即時性に欠けるのが欠点である。 (4)通常の頭部単純撮影では視束管は描出されない。 (5)単純X線撮影の撮影条件はkVp(キロボルト)とmA(ミリアンペア)で表される。 A:(1),(2)
問題 11 CT検査について,正しいものはどれか。(1)MDCT(multi-detector row CT)とは多数の管球と多数列の検出器を組み合わせた装置であり,検査時間の大幅な短縮が可能である。(2)CTによるヘリカル撮影では頭尾方向に連続した検査データが得られる。 (3)MDCTでは薄いスライスを合成して画像を作成するため,頭蓋骨による骨アーチファクト(ノイズ)が大幅に軽減できる。 (4)CT angiographyにより造影を行う際は,造影剤が十分間質に行きわたるまで待ってから撮影を始めるほうが良い画像が得られる。 (5)MDCTでは迅速な検査と大幅な被曝軽減が可能なため,単純写真の代用として全身スキャンが可能である。 A:(1),(2)
問題 12 MRIについて,正しい組み合わせはどれか。(1)MRIは空間分解能には優れているが,濃度分解能には優れていない。(2)わずかながら放射線被曝がある。 (3)超急性期の脳梗塞の診断には,拡散強調画像が有用である。 (4)気管支喘息では,Gd造影剤は原則禁忌である。 (5)MRIでは造影剤を使用せずに,血管撮影が可能である。 A:(1),(2),(3)
問題 13 functional MRIについて正しい組み合わせはどれか。(1)functional MRIは脳波や脳磁図と同等の時間分解能・空間分解能を有する。(2)functional MRIの検査中の患者の体動は解析ソフトでほぼ完全に補正できる。 (3)functional MRIでは,運動や感覚の認知などの課題遂行に伴う神経細胞群の興奮を一次的に反映している。 (4)functional MRIはblood oxygen level dependent(BOLD)効果をその測定原理とし,血中ヘモグロビンの磁化率の差によるMRI信号の差を検出している。 A:(1),(2),(3)
問題 14 拡散テンソルtractographyに関連する説明で正しいものはどれか。(1)水の拡散の方向に基づく白質路の推定を行っている。(2)白質の存在により,水の拡散に方向性が生じる。 (3)拡散テンソル解析では一辺3mmほどのボクセルに対し,1つの楕円体で近似する。 (4)拡散テンソルtractographyで描かれているlineの1本は,実際の白質線維の1本に相当する。 A:(1),(2),(3)
問題 15 神経超音波検査について,正しい組み合わせはどれか。(1)内頸動脈の収縮期最高血流速度(PSV)が200cm/秒以上では,血栓内膜除去術の適応となるNASCET法70%以上の狭窄があると診断できる。(2)両側総頸動脈の拡張末期血流速度の比を求めると,ある程度頭蓋内基幹動脈の情報も得られる。 (3)頸動脈エコーによる動脈硬化性病変評価のガイドライン(案)では,IMTが2.0mm以上をプラークと定義している。 (4)塞栓源検索を主目的とする経食道心エコー検査は,循環器系検査であり,脳卒中診療にあたる医師が手出しすべきではない。 (5)経頭蓋ドプラにより流血中の微小栓子が検出できるようになっている。 A:(1),(2),(3)
問題 16 Xe-CTについて,正しい組み合わせはどれか。(1)Xeは脂肪への溶解性よりも水への溶解性のほうが高い非拡散性トレーサーである。(2)Xeは原子量の小さな単原子分子であり,低いX線質量吸収係数を有することから,組織中の濃度をCT値の変化から知ることができる。 (3)Xe-CTは脳血流量を定性的にしか測定できず,基底核・白質など脳深部の血流評価が困難で,空間分解能や解剖学的部位との対応が必ずしも良好ではない。 (4)Xe-CTは装置が比較的安価で,CTがあればどの施設でも施行可能な診療報酬収載された検査法であり,救急患者からさまざまな脳神経外科・神経内科的疾患患者への応用が利くことから,今後ともますますの発展が期待される。 A:(1),(2),(3)
問題 17 MR灌流画像(灌流強調画像)がCT灌流画像に比し優れているのはどれか。(1)即時性(2)定量性 (3)低侵襲 (4)広範囲撮影 (5)空間分解能 A:(1),(2)
問題 18 脳血管造影に関して,正しいものはどれか。(1)脳血管造影は脳血管障害検査の第一選択である。(2)脳血管造影は血管狭窄率評価の正確性においてMRAに劣る。 (3)脳血管造影の神経系合併症の頻度は0.1%未満である。 (4)アテローム血栓性梗塞の脳血管造影所見では側副血行路が発達していることが多い。 A:(1),(2),(3)
問題 19 CTAと3D angiographyについて,正しい組み合わせはどれか。(1)CTAは侵襲性の高い検査である。(2)CTAは撮像範囲が広い。 (3)CTAは脳動脈瘤の精査に有用である。 (4)3D angiographyは侵襲性の高い検査である。 (5)3D angiographyでは血行動態はわからない。 A:(1),(2),(3)
問題 20 意識障害について,正しいものはどれか。(1)急激な発症のせん妄がみられた場合は痴呆ではなく,意識障害と診断される。(2)意識障害例で,来院時の画像検査の第一選択は頭部MRIである。 (3)出血性脳血管障害では,頭部MRIのほうがCTに比較して診断しやすい。 (4)拡散強調画像は。撮像時間は約5分と短く,意識障害例にも安全に行える。 (5)意識障害例への対応では,画像診断のみならず多方面から総合的に診断する必要がある。 A:(1),(2),(3)
問題 21 頭部CTに比べて,超急性期の虚血性病変の描出に優れているものはどれか。(1)MRIT1強調画像(2)99mTc-HMPAO SPECT (3)MRI灌流画像 (4)MRI拡散強調画像 (5)MRIT2*強調画像 A:(1),(2),(3)
問題 22 失語・構音障害について,正しい組み合わせはどれか。(1)構音障害を主訴とするラクナ梗塞がある。(2)舌が障害されるとラ行の発語が困難になる。 (3)右半球の障害で失語が起きる場合は,左利きである。 (4)脳梁膨大部と左後頭葉を含む脳梗塞では,字は読めるが書字できなくなる。 (5)失語症が先行する痴呆症は前頭側頭型である。 A:(1),(2),(3)
問題 23 次のうち,正しい組み合わせはどれか。(1)ドイツ語のKrampfと英語のconvulsionはほぼ同義語である。(2)脳腫瘍によるてんかん発作は,glioblastomaが最も頻度が高い。 (3)皮質形成異常のなかにはDNT(胚芽異形成性神経上皮腫)のように腫瘍性のものも含まれている。 (4)MTS(内側側頭硬化)の病理所見の主体は脱髄である。 A:(1),(2),(3)
問題 24 海綿静脈洞の病変で障害される脳神経の正しい組み合わせはどれか。(1)動眼神経(2)外転神経 (3)三叉神経第1枝 (4)視神経 A:(1),(2),(3)
問題 25 次のうち,正しい組み合わせはどれか。(1)脳幹および小脳梗塞の検出には,MRI拡散強調画像が有用である。(2)前下小脳動脈の虚血では,末梢前庭性のめまいをきたすことがある。 (3)Wallenberg症候群は椎骨動脈の閉塞で起こることが多い。 (4)小脳橋角部腫瘍は回転性めまいで発症することが多い。 A:(1),(2),(3)
問題 26 頭痛の画像診断について,正しい組み合わせはどれか。(1)くも膜下出血では,CTにて明らかな出血所見がみられない場合もある。(2)ウイルス性脳炎急性期の診断には,MRI T1強調画像が最も有用である。 (3)CTやMRIなどの画像検査で異常がみられなければ,二次性頭痛は否定できる。 (4)突然発症の頭痛でなければ,緊急に画像検査を行う必要はない。 (5)脳腫瘍の診断には,単純CTよりも造影CTが有用である。 A:(1),(2)
問題 27 頭部外傷の画像診断の進め方で,正しい組み合わせはどれか。(1)頭部単純X線は通常2方向(正面・側面)行う。(2)頭部CTで出血性病変がなければ,頭部外傷は否定できる。 (3)急性期はしばしば損傷が数時間で悪化するので,フォローCTが必要である。 (4)Towne撮影は後頭蓋窩の骨折の検査として行う。 (5)頭部MRI検査はびまん性軸索損傷の診断に有用である。 A:(1),(2),(3)
問題 28 次のうち,誤った記述はどれか。(1)孤発性Creutzfeldt-Jakob病早期のMRI診断では,拡散強調画像が最も有用である。(2)高齢発症のAlzheimer病では,頭頂葉の萎縮のみを認める例が多い。 (3)Lewy小体型痴呆では,Alzheimer病で保たれる中心前回の血流が低下する。 (4)進行性核上性麻痺では,MRI矢状断で“ハチドリ様”の形態を呈する。 (5)ヘルペスウイルス脳炎では,MRIで大脳辺縁系の病巣を認めることが多い。 A:(1),(2)
問題 29 脳梗塞急性期における画像診断について,正しいものはどれか。(1)MRIなしで血栓溶解療法を施行してはいけない。(2)MRI拡散強調画像で異常がなければ梗塞は否定される。 (3)バイタルサインが悪化してきたが,MRI検査を続行した。 (4)梗塞巣はMRI拡散強調画像で高信号病変として描出される。 A:(1),(2),(3)
問題 30 脳出血のCT所見で誤りを選べ。(1)血腫周辺の低吸収域はヘモジデリンを表す。(2)血腫は経過を通じて高吸収域を示す。 (3)CT scanでは,MRIに比べて海綿状血管腫の診断が容易である。 (4)発症後3週目の造影CTでは,リング状の造影効果を認める。 (5)慢性期では,スリット状の低吸収域となる。 A:(1),(2),(3)
問題 31 症状からくも膜下出血が疑われるが,CTで異常がない場合に次に行うべきMRI検査の撮像方法はどれか。1つ選べ。A:拡散強調像B:灌流強調像 C:FLAIR像 D:T1強調像 E:T2強調像 問題 32 脳腫瘍を疑ったときに行う画像検査について,正しい組み合わせはどれか。(1)まず頭部単純X線CTを撮影し,低吸収域や高吸収域がなければ画像検査は終了してよい。(2)脳腫瘍は腫瘤を形成するので,X線CTやMRIで腫瘤が認められない場合には脳腫瘍は除外できる。 (3)脳腫瘍の血管は血液脳関門を有しないので,X線CTやMRIで造影剤を投与すると腫瘍が造影されて明瞭化することが多い。 (4)脳膿瘍はX線CTやMRIで造影剤を投与すると輪状の増強効果を示し,脳腫瘍に類似した画像となる。 (5)脳膿瘍の内部はMRIの拡散強調像で著明な高信号を示すため,膠芽腫や転移性脳腫瘍と鑑別可能である。 A:(1),(2),(3)
問題 33 転移性脊椎腫瘍の原発巣で多いものはどれか。(1)食道癌(2)乳 癌 (3)肺 癌 (4)膀胱癌 (5)子宮癌 A:(1),(2)
問題 34 脳炎の記載で,正しいものはどれか。(1)MRI拡散強調像では,膿瘍の中心は高信号になる。(2)MRI画像で血管支配に一致した病巣があり,脳梗塞の合併が疑われた場合,アスペルギルス髄膜脳炎を疑う。 (3)画像上,血管周囲腔に病変の首座がある場合は真菌感染を疑う。 (4)単純ヘルペス脳炎(急性期)における123I-IMPでのSPECTでは,低集積像になる。 A:(1),(2),(3)
問題 35 脱髄疾患に関する記載で,正しいものの組み合わせはどれか。(1)人種間で発症に差があり,黒人に最も多い。(2)中枢神経の髄鞘形成細胞は乏突起膠細胞である。 (3)多発性硬化症の治療にはインターフェロンを用いる。 (4)Sjögren症候群と鑑別が困難な症例がある。 (5)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)では,Gd-DTPAでの造影病変を認めるのが特徴である。 A:(1),(2),(3)
問題 36 Parkinson病でみられる正しい画像所見はどれか。(1)MRIで,中脳被蓋部の萎縮が特徴的である。(2)MIBG心筋シンチグラフィで,心筋への取込みが著明に低下する。 (3)FDOPA/PETで,両側性に線条体への取込みが低下する。 (4)SPECTで,早期から前頭葉の血流が低下する。 A:(1),(2)
問題 37 次の代謝性疾患に関する記述に関し,正しいものはどれか。(1)慢性アルコール中毒患者で眼球運動障害と意識障害がみられた場合,まず40%ブドウ糖を投与する。(2)Wernicke脳症では,頭部MRI T2強調画像で,乳頭体,視床背内側核,中脳水道周囲の灰白質に高信号域を認める。 (3)羽ばたき振戦があるにもかかわらず肝硬変を認めない場合,門脈-大循環性脳症を疑う。 (4)慢性肝機能障害患者の頭部MRIで認められる,淡蒼球のT1強調画像高信号域は,マンガンの蓄積を反映している。 (5)糖尿病性舞踏病では,頭部MRI T2強調画像で対側の被殻に高信号域を認める。 A:(1),(2),(3)
(解答は本誌掲載)
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