●アレルギー膠原病科×呼吸器内科 合同カンファレンス 第8回 器質化肺炎と腎機能障害で紹介された高齢男性の"関節リウマチ" 岡田正人(聖路加国際病院アレルギー膠原病科(成人・小児))
後期研修医(アレルギー膠原病科) 今回の患者さんは,関節リウマチにて前医で治療を受けていた72歳男性です.既往歴には22歳で肺結核にて保存的治療,10年前からの嗄声があります.2年半前から指趾関節の腫脹と疼痛が出現し,朝のこわばりも伴っていたため,近医で関節リウマチと診断され,プレドニゾロン3 mgとブシラミン100 mgにて治療されていました.治療開始から6カ月後には喀血のエピソードがあり,気管支鏡を施行されましたが,病理検査,各種培養検査では確定診断には至らなかったとのことです.この時の胸部画像を取り寄せましたので,解説をお願いしてもよろしいでしょうか.
空洞を伴う多発性の腫瘤影ということでは,たしかに肺膿瘍,肺真菌症,びまん性細気管支肺胞上皮癌や転移性肺腫瘍などが鑑別に挙がりますので,気管支鏡検査での精査は必要だったと思います.結局,前医では診断が確定しなかったということでしょうか. 後期研修医(アレルギー膠原病科) はい,喀血は治まっていたので経過観察されていたようですが,その2カ月後の胸部CTでは新たな陰影の出現と以前の陰影の消退,いわゆる移動性の浸潤影を認め,関節リウマチに伴う器質化肺炎(organizing pneumonia:OP)として,プレドニゾロンを30 mgに増量し治療されています. 後期研修医(呼吸器内科) 最近,関節リウマチの診断時に胸部CTでOPパターンを呈する患者さんを紹介していただくことがありましたが,経気管支鏡生検(TBLB)や気管支肺胞洗浄(BAL)★1でOPとしての確定診断と感染症の除外などを行いました. 呼吸器内科医 OPの原因として,抗リウマチ薬開始後の間質性肺炎では薬剤性肺障害も考えられます.しかし,今回使用された薬剤性肺障害でOPパターンを呈することは非典型的ですので,今回の症例では感染や関節リウマチによるOPと考えたのだと思います.いずれにせよ画像所見のみでOPと確定診断するのはなかなか困難です.前医では組織学的検索はされていますか. 後期研修医(アレルギー膠原病科) いえ,2カ月前に気管支鏡をしたところだったので,再度の内視鏡検査は患者さんの受け入れがあまりよくなく,画像所見で判断し治療に踏み切ったようです. ★1:気管支鏡検査で使われる検査の名称について (つづきは本誌をご覧ください) |