●アレルギー膠原病科×呼吸器内科 合同カンファレンス 第7回 肺CTで説明できない労作時呼吸困難 岡田正人(聖路加国際病院アレルギー膠原病科(成人・小児))
呼吸器内科医 胸部単純X線写真(図2)では両側下肺野で全体的に肺野濃度が上昇している印象がありますが,乳房の影響もあり,明らかな異常陰影として指摘することは難しいですね.胸部CT(図3)では下肺野優位に両側背側,胸膜下に分布する非区域性のすりガラス影を認めます.蜂巣肺はありません.fibrotic-NSIPパターンで,典型的な強皮症による肺病変と言えると思います.強皮症での肺病変の治療はどうしますか. 後期研修医(呼吸器内科) 唯一,プラセボと有意差を示したrandomized controlled trial(RCT)としては2006年のNEJM1)に掲載されている経口シクロホスファミドですが,差はわずかで,投与量が多くなるため長期的な悪性腫瘍発生のリスクなどもあり,またシクロホスファミド中止後の経過観察では結局有意差は数年でなくなっていますので積極的には勧めません. 呼吸器内科医 ではこの患者さんでは,どうしますか. 後期研修医(呼吸器内科) KL-6も高く活動性もありそうですが呼吸障害もそれほど重篤ではありませんし,より副作用の少ない治療法を考えます.スタディの大きさから統計的な有意差は得られませんでしたが,効果の期待できるシクロホスファミドの間欠静注療法で寛解導入し,アザチオプリンで維持する方法が選択肢となることも多いと思います.しかし,残念ながらどれも保険適応はありません. (つづきは本誌をご覧ください) |