HOME雑 誌medicina誌面サンプル 47巻8号(2010年8月号) > 連載●アレルギー膠原病科×呼吸器内科 合同カンファレンス

●アレルギー膠原病科×呼吸器内科 合同カンファレンス


第5回

結節性紅斑とTNF阻害薬は偶然か?

岡田正人(聖路加国際病院アレルギー膠原病科(成人・小児))
仁多寅彦(聖路加国際病院呼吸器内科)


(写真は本誌をご覧ください)
図1 入院時胸部単純X線写真
図2 入院時胸部CT写真

後期研修医(アレルギー膠原病科) 今回の症例は12年前に関節リウマチと診断された70歳の女性です.4カ月前に当科外来受診されています.治療はメトトレキサート週8 mgとプレドニゾロン5 mg/日を10年ほど前から続けているということでした.骨粗鬆症もありましたので,ステロイドの減量を考えましたが,手首とMCP関節(中手指節関節)に腫脹がありCRPも軽度上昇しているため抗リウマチ薬の強化が必要と考え,TNF阻害薬の併用,ブシラミンの併用などの説明を行い,結局は3カ月前にブシラミン100 mg/日を追加しました.今回入院の5日前より37℃台の微熱があり,3日前から乾性咳嗽が出現しました.外来受診時に軽度の労作時呼吸困難,乾性咳嗽があり,呼吸数は16/分,パルスオキシメータによるSpO2 95%でしたが,聴診にて両側下肺に捻髪音を認め,同日入院となりました(表1).胸部画像の解説をお願いします.

表1 入院時検査所見
(写真は本誌をご覧ください)

 

呼吸器内科医 胸部単純X線写真(図1)では,両肺野に網状影,淡いすりガラス影が広がっており,3カ月前には認められなかったので今回の呼吸器症状に伴って出現したと考えられます.胸部CT(図2)では,両側の非区域性のすりガラス影を認めます.気管支の壁の肥厚と拡張が軽度みられますが,これはもともとの関節リウマチによる影響もあると思います.

 これまでの臨床経過と画像所見から,鑑別診断はどうですか.

後期研修医(アレルギー膠原病科) ステロイドとメトトレキサートを使用していたので感染症のリスクは通常より高いと考えています.あと,リウマチによる肺病変の増悪,薬剤性肺炎が鑑別として重要だと思います.

呼吸器内科医 感染症,リウマチによる肺病変,薬剤性肺炎ということですね.

(つづきは本誌をご覧ください)