HOME雑 誌medicina誌面サンプル 44巻11号(2007年11月号) > 連載●外来研修医教育への招待
●外来研修医教育への招待

第11回

外来研修医教育における看護師のかかわり

高見澤 巧(佐久総合病院 総合診療科 看護師)


 前回までは,外来研修医教育の考え方や実際について,医師(指導医)がその経験を中心にお話してきました.外来での研修医教育は,「外来診療を行えるようになる」という研修の目的からすると,その指導の中心はやはり医師となります.しかし,研修医の外来研修にとって,実は,一緒に外来で働いている看護師やコメディカルスタッフ,事務職などが果たす役割は非常に大きなものではないでしょうか.今回は,そのなかでも,研修医と接する機会が多く,また,研修医の成長に大きく影響すると感じている看護師の役割について,外来看護主任の高見澤さんに,「外来研修医教育における看護師のかかわり」と題して話題を提供してもらいました.

(名古屋大学附属病院 川尻宏昭)


 佐久総合病院において,研修医教育を看護師が本格的に意識し始めたのは,2003年,外来看護師の体制が変化した(総合診療科および夜間の救急外来における看護師の専任化が行われた)頃からだと思います.この年は,その翌年度から新医師臨床研修制度が導入されるということも重なり,今後,毎年決まった数の初期研修医が入職し,看護師も初期研修医教育にかかわっていくことが求められるだろうと意識した年でした.

■看護師が医師を育てる?

 そのような変化があるといっても,看護師が研修医(研修医といえども医師は医師)を教育するということは,はっきり言って難しいだろうなと感じていました.もちろん今までも,研修医とともに仕事をしてきた歴史はありました.おそらく,こちらが意識しなくても,なんとなく研修医を育てるということにかかわってきたのかもしれません.しかし,「いったい看護師である私たちが,何を教育すればよいのか?」といった戸惑い,「研修医から見て,看護師に教育されるってどう感じるのだろう?」といった職種間の壁に対する意識などがあり,看護師が研修医教育に積極的にかかわることの難しさが当初から懸念されていました.

 しかし,そのような問題もあるなかで,この数年間,研修医の教育にかかわってきて,看護師にしかできないこと,あるいは看護師だからできることもあるのではと今感じています.看護師は患者さんに一番近い立場(患者さんの立場)に立った存在であるべきだと思っています.この点で,指導医とは違った(指導医にはできない)視点から,時には患者さんの訴えを代弁するなど,看護師が感じた情報を研修医に伝えることができると認識しています.私たちは,その役割を看護師教育のなかから確立してきました.研修医教育に積極的にかかわりだした当初は,「教育」というスタンスが取れず,あくまでも「アドバイス」的なものになってしまいましたが,それでも看護師が患者さんの立場に立つという役割を果たし続けること,そこから何かを発信することにより,研修医が成長していく過程で,私たち看護師が少なからぬ教育的効果を与えることができるのではないかと確信しています.

■実際のかかわり

 実際,どうかかわっているかを,少しご説明したいと思います.

(つづきは本誌をご覧ください)


高見澤 巧
1990年JA長野厚生連佐久総合病院看護専門学校卒業,同年佐久総合病院集中治療室配属.2001年4月総合診療科へ異動,研修医教育にかかわりはじめ,現在に至る.