
大好評『診断力強化トレーニング』(以下、第1巻)とその第2弾『診断力強化トレーニング2』(以下、第2巻)の特徴のひとつが、各症例に付けられたタイトルの面白さ。普通の症例集とは違い、患者の年齢も主訴も疾患名も示さないけれど、思わず目を引く変わったタイトルが並びます。2冊の全166症例の中から、特に人気を集めたタイトルトップ10※1と、そのタネ明かしを発表します!! |
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1位 赤ズキンは狼だった!
疾患名 |
深在性ループス |
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タネ明かし |
赤くてズキズキ痛む皮下病変はlupus(=狼)だったという、どんでん返し。
(執筆:酒見英太,第1巻 p30) |
2位 空から来た海の男
疾患名 |
Vibrio vulnificus 感染症による壊死性蜂巣炎 |
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タネ明かし |
全身状態悪化のため、ヘリコプターで搬送されてきた養殖業の男性(肝障害あり)。肝硬変患者、海水曝露、海産物の摂取ではV. vulnificus を念頭に。
(執筆:石丸裕康,第1巻 p168) |
3位 Pisaの斜頭
疾患名 |
塩酸ドネペジルによるジストニア(Pisa 症候群) |
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タネ明かし |
抗精神病薬の副作用であるPisa症候群では、ジストニア(痙性斜頸)がみられる。
(執筆:橋本典諭・郡 義明・八田和大,第2巻 p29) |
3位 バナナはおやつに含まれますか?
疾患名 |
腸炎エルシニアによる回盲部炎 |
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タネ明かし |
「焼肉は生ものには含まれない」という患者の解釈から、初診時に食事歴を正確に得られなかった症例。遠足の時に「バナナはおやつに含まれるのか?」と確認する行為と似ている。食事歴は「生もの」ではなく、より具体的に問診することが大事。
(執筆:佐田竜一・辻村 朗・郡 義明,第2巻 p122) |
5位ベリーベリー・ショート疾患名
ビタミンB1欠乏症タネ明かし
短腸症候群による吸収不良症候群の症例。浮腫、乏尿、歩行困難で入院。very very shortな腸管により起きたビタミンB1欠乏=脚気(beriberi)だった。 (執筆:石丸裕康・東 光久・郡 義明,第1巻 p57) |
5位ウイルス on …?疾患名
Wilson病タネ明かし
肝臓に何らかのウイルスが乗っかったか、ウイルス感染が関節痛をひきおこしたかと思ったら、ウィルソン病だった。 (執筆:酒見英太,第1巻 p173) |
5位胃外にいない疾患名
蛋白漏出性胃腸症タネ明かし
問題は胃外にあると思ったら、意外と胃内にいました(H.pyroli )。 (執筆:小山 弘,第2巻 p58) |
8位軟らかくなると固くなるものなあに?疾患名
低酸素症後パーキンソン症候群タネ明かし
低酸素後に淡蒼球軟化をきたしパーキンソン症状(固縮)を認めた症例。「軟らかく(軟化)なると固く(固縮)なるものなあに?」⇒淡蒼球! (執筆:高岸勝繁・上田剛士・植西憲達,第2巻 p41) |
9位肴が象徴疾患名
腸管アニサキス症タネ明かし
酒の「肴」に摂取した「サバ(魚)」がアニサキス症の診断を「象徴」しているが、病変は胃ではなく「小腸」だった。 (執筆:上田剛士・富成伸次郎・酒見英太,第1巻 p46) |
9位11年後の逮捕疾患名
肥厚性硬膜炎(おそらく特発性)タネ明かし
発症11年後に初めて三叉神経痛の真犯人はarrest(逮捕)され、治療により痛みはarrest(停止)した。 (執筆:酒見英太,第2巻 p79) |
執筆者に聞きました 「私のタイトルのつけ方」
![]() 酒見英太先生 |
タイトルをつける時には、①簡潔である(くどくない)こと、②語呂がよい(耳にやさしい)こと、③症例を象徴する要素が含まれている(聞いただけで何の症例だったかが思い出せる)こと、を重視しています。今後もウィットとエスプリに富んだタイトルを目指したいと思います。 | ![]() 高岸勝繁先生 |
題名を考える時に意識しているのは、「短く」「わかりやすく」かつ、ネタばらし後に「なるほど」「面白い」と思わせられるように、という点です。そこで一番最初にいつも考えるのは下ネタです。大体ボツになりますが、これ※2はボツにならずにそのまま通った稀有な例だと思ってください。いや、ほんとすいませんでした。 ※2:8位「軟らかくなると固くなるものなあに?」 |
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