助産管理 第5版

もっと見る

①助産管理に関する知識を幅広く収載
助産管理の基本的な考え方から法律や業務管理の実際までをわかりやすく1冊にまとめてあります。
②最新の動きにも対応
昨今の流れである院内助産や助産外来などの運営についても、新たに項目を設け詳しく取り上げています。
③業務管理について施設ごとに記載
病院から助産所まで施設ごとに業務管理について記載しています。とくに助産所については章を設け丁寧に記載されています。

*「助産学講座」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 助産学講座 10
編集 我部山 キヨ子 / 毛利 多恵子
執筆 山本 智美 / 水流 聡子 / 山崎 由美子 / 杉本 充弘 / 和田 仁孝 / 中西 淑美 / 八木橋 香津代 / 村田 佐登美 / 石川 紀子 / 毛利 多恵子 / 江藤 宏美
発行 2016年02月判型:B5頁:212
ISBN 978-4-260-02175-3
定価 3,520円 (本体3,200円+税)
  • 販売終了

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 序文
  • 目次

開く



助産師をめぐる動向
 近年,わが国においては産科医不足や出産取り扱い施設の閉鎖など,母子を取り巻く厳しい状況が報告されている。家族規模の縮小化と養育機能の低下,離婚の増加など,母子・親子関係の根幹が揺らぎ,妊娠・育児を支える家族機能も急速に弱体化しつつある。また,晩婚化・晩産化・少子化が進行し高度生殖補助医療は日常の医療として定着する一方で,ハイリスク妊娠や妊産褥婦の重症ケースが増え,医療の高度化・複雑化が進行している。育児不安・子どもの虐待など育児をめぐる問題も多様化・深刻化し,児童虐待相談件数の高どまり,若者の性・生活・社会環境の変化から派生する性感染症・薬物依存・栄養障害,在日外国人の母子保健,女性へのドメスティック・バイオレンスやリプロダクティブ・ヘルス/ライツ,受精卵のES細胞や胎児組織の再生・移植医療への応用など,母子や性と生殖に関する多くの課題が山積している。
 このような多種多様なニーズおよび急速な変化に対応するべく,助産師業務も変革をしてきた。国際助産師連盟(ICM)は具体的なケアとして正常出産をより生理的な状態として推進すること,母子の合併症の発見,医療あるいはその他の適切な支援の利用,救急処置の実施から,女性の健康,性と生殖に関する健康,育児まで,女性とその家族・地域をも含めた生涯にわたるリプロダクティブ・ヘルス/ライツへの支援を明瞭に打ち出した(ブリスベン大会,2005年)。また,ICMは助産師教育の世界基準(2010年)で,ダイレクトエントリーの助産師教育課程の最低期間を3年間,看護の基礎教育修了者/医療従事者に関する教育課程の最短期間を18か月間とした。
 わが国においては,2007年には看護職の権限拡大(助産師の場合,会陰切開など)が政府の規制改革会議第2次答申案で出された。2008年には助産師の教育の充実や助産師の資質の向上をはかること(厚生労働省報告書),2010年には助産師教育の内容や質の保証のあり方(文部科学省)が検討された。臨床現場においても,助産師の権限拡大を受けて,産科医不足や妊産褥婦のニーズの多様化・複雑化に対応するために,助産外来や院内助産などが全国に広がってきた。
 助産師教育の充実をはかるために,保健師助産師看護師法の一部改正(2010年4月施行)が行われ,保健師・助産師の教育年限が6か月から1年以上となった。さらに,保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正により,助産師教育の単位数総計は23単位から28単位に増加した(2011年4月)。指定規則の改正に伴い,助産師に要求される実践能力として,(1)助産師における倫理的課題に対応する能力,(2)マタニティケア能力,(3)性と生殖のケア能力,(4)専門的自律能力が示され,今後より強化されるべき助産師の役割と機能も具体的に挙げられている。

改訂の趣旨
 改正された保健師助産師看護師学校養成所指定規則の基本的枠組みを踏襲しつつ,EBMをふまえた基礎的内容と発展的内容を押さえるように,この度,改訂第5版を企画した。そのねらいは,助産学教育の水準を向上させ,助産学の発展・確立に寄与することである。具体的には助産師をめぐる動向で記述したような状況にも対応できる助産師を養成することを目ざすことにある。なお,本講座は第一義には助産師学生の基礎教育テキストであり,助産師国家試験出題基準の内容についても網羅したものとなっている。
 2013年5月,「保健師助産師看護師国家試験出題基準平成26年版」が公表された。本巻(助産管理)と密接に関連するのは「助産管理」の項目である。今回は法律面において「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律〈DV防止法〉」などの小項目が追加されたため,本巻の第2章に新たに項目を設けた。また,大項目「3.病院・診療所の管理・運営」では,小項目に「院内助産・院内助産所」が追加されたことから,これに対応した項目を第4章に新設した。これは昨今の分娩機関の情勢から当然ともいえる。
 執筆者は各領域の最前線で先進的教育や活動を行っている専門家に依頼した。記載形式は読者が理解しやすいように図表を多く取り入れ,見やすさ・使いやすさを工夫している。助産師学生の教科書としてのみならず,臨床や地域で活躍する助産師の皆様の指導書として,本書を広く活用していただければと,せつに願っている。
 なお,本講座は,我妻堯・前原澄子編集による初版を1991年に発行して以来,今回の改訂で第5版を重ねるにいたった。ここに改めて本講座にかかわってこられた編著者各位に深謝したい。

 2016年1月
 編者ら

開く

第1章 助産管理の基本
 A 管理の基本概念とプロセス
  1 管理とマネジメント
  2 マネジメントプロセスとPDCAサイクル
  3 組織とマネジメント
  4 マネジメントに必要な資源
  5 マネジメントに活用できる考え方と理論
 B 助産管理の概念
  1 助産管理とは
  2 助産ケアのマネジメント
  3 助産サービスのマネジメント
  4 助産サービスの評価
 C 助産と医療経済
  1 医療保険制度と助産業務
  2 助産業務の診療報酬
  3 分娩費用
第2章 関連法規と助産師の義務・責任
 A 関連法規
  1 医療法
  2 保健師助産師看護師法
  3 医師法
  4 母子保健法
  5 母体保護法
  6 児童福祉法
  7 地域保健法
  8 戸籍法
  9 刑法
  10 民法
  11 労働法,就業規則
  12 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律
  13 性同一性障害の性別の取扱いの特例に関する法律
  14 児童虐待の防止等に関する法律
  15 少子化社会対策基本法
  16 次世代育成支援対策推進法
  17 災害救助法
  18 男女共同参画社会基本法
 B 助産師の法的責任と義務
  1 応召
  2 証明書の交付
  3 助産録の記載
  4 届出
  5 守秘義務
第3章 周産期管理システムとリスクマネジメント
 A 周産期管理システム
  1 新生児集中治療室(NICU)
  2 周産期搬送システム
  3 オープンシステム
 B 周産期の医療事故とリスクマネジメント
  1 周産期医療事故
  2 助産業務におけるリスクマネジメント
第4章 病産院における助産業務管理
 A 助産業務管理の過程
  1 助産管理と助産業務管理
  2 看護組織の目標管理制度
  3 業務の査定
  4 目標管理の実践プロセス
  5 業務計画の策定
  6 業務の評価
  7 管理目標の設定
 B 助産業務管理の方法
  1 組織管理
  2 書類管理
  3 財務管理
  4 業務の質管理
 C 産科棟の管理
  1 看護体制
  2 労務管理
  3 診療情報の提示と開示
  4 継続的な援助システム
  5 快適な出産環境:産科棟・外来のアメニティ
 D 院内助産・院内助産院の管理
  1 院内助産システムの定義
  2 院内助産院の業務管理
  3 院内助産院の体制
  4 院内での連携
 E 外来の助産管理
  1 産科外来
  2 助産外来
  3 母乳外来
  4 専門外来と助産業務管理
第5章 助産所における助産業務管理
 A 助産所とは
  1 助産所の建物(ハードシステム)
  2 助産所の業務(ソフトシステム)
 B 助産所の管理に関する法規
  1 助産所の定義
  2 助産所の管理者とその義務
  3 助産所の構造と設備
  4 助産所の広告
  5 助産所に対する監督
 C 助産所の管理・運営
  1 助産所管理の基本
  2 助産所の安全の確保
  3 医療機関との連携
 D 助産所の経営
  1 経営
  2 医療貸付制度
  3 母子の社会保険制度

索引

タグキーワード

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。