臨床放射線医学 第9版
本書の特長
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●画像診断や放射線治療といった放射線医学の分野は、日々刻々と進歩しています。検査や治療は多岐にわたり、これらを患者が安心して受けられるよう看護を行うためには、看護師にも十分な放射線医学に関する知識が必要となります。
●第9版では看護学領域の著者が新たに加わり、最新の放射線医学にかかわる看護師に求められる役割を反映して、内容を書き改めました。
●「第1部:画像診断」「第2部:放射線治療」「第3部:放射線防護」の3部構成とし、各検査や治療ごとに基礎的知識や原理を十分に、かつわかりやすく学べるものとしています。
●基礎教育で使用するテキストであるという位置づけをふまえ、「第1部:画像診断」では各章の導入として冒頭で各検査の特徴などを概説したあとに、検査の実際や画像の見方を説きおこすようにしています。
●近年、CTやMRI画像などでカラー画像が増えてきています。カラーのイラストやカラー写真を多用して、視覚的で理解しやすい紙面となるよう努めています。
*「系統看護学講座」は2018年版より新デザインとなりました。
*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | 系統看護学講座-別巻 |
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著 | 青木 学 / 氏田 万寿夫 / 内山 眞幸 / 太田 智行 / 尾尻 博也 / 兼平 千裕 / 貞岡 俊一 / 関谷 透 / 高島 尚美 / 中田 典生 / 西岡 真樹子 / 福田 国彦 / 望月 留加 |
発行 | 2016年01月判型:B5頁:288 |
ISBN | 978-4-260-02178-4 |
定価 | 2,420円 (本体2,200円+税) |
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序文
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はしがき
初版の序
放射線医学は基礎放射線医学と臨床放射線医学からなり,臨床放射線医学は従来,X線診断学・核医学・放射線治療学をその鼎〈かなえ〉としてきた。しかし,近年はX線診断・核医学診断に加え,X線CTや超音波診断が目ざましい発展を示し,診療の第一線に欠くことのできない手段として広く普及するにいたった。そのため,これら体内情報を画像として描出し,診断に利用する臨床分野を画像診断学と総称し,体系化する動きが定着しつつある。
一方,放射線治療においては,放射線腫瘍学というさらに広い視野からこれを位置づけ,各治療法の併用による総合的な腫瘍治療が展開されている。すなわち,症例に応じて外科療法・化学療法・ホルモン療法・免疫療法などを適宜選択し,各治療法の特徴をいかした効果的な併用療法によって,著しい治療成績の向上がもたらされている。
本書はこのような現在の放射線診療の動向に即して編集され,系統的に放射線看護を学習しようとする人たちを対象に執筆されたものである。
しかしなかには,画像診断の知識などは,医師の診療には必須であっても,看護婦には不必要なものではないかと考える人もいるであろう。しかし,たとえば病院の第一線で働く看護婦にとって,X線写真を見ない日は一日もないはずであり,これらの診断を通して患者の状態を正しく把握しておくことは,日常最も密接に患者と接触し,ケアを行う看護婦にとって不可欠なことであろう。またそのような理解によって,よりインテリジェントな患者への接触と自主的な看護行為,質の高いケアが行われることになると考える。
また,放射線による検査と治療は,患者の理解と協力なしには行うことはできない。したがって,看護婦による患者指導がきわめて大きな役割を果たしており,そのためには診療の目的・内容・方法をよく理解していることが要求される。このような知識をもってなされた適切な前処置や介助は十分な診療情報をもった検査を可能にし,またよりよい治療効果を生み出すものと考える。
1981年11月
著者ら
改訂版の序
放射線医学は画像診断と放射線治療からなる。いずれも放射線を扱うことから,本邦では同じ医学分野として認識されている。しかし,画像診断はできるだけ少ない放射線で最大の情報を得て臨床の現場にその結果を報告し,治療方針の決定に役だてる学問であり,放射線治療は最大の放射線をがん組織に照射して健常組織は温存し,機能温存をはかりながらがんを治療する学問である。学問としても診療内容としても,両者は大きく異なる。
近年の放射線医学の進歩はめざましく,それぞれの分野に大きな変化がおきている。画像診断では,CTは短時間で複数部位を検査するのがあたり前となり,拍動する臓器である心臓のCTはルーチン化した。そのようななか,われわれはつねに放射線被曝に最大の留意を払わなければならない。MRIでは3テスラ高磁場装置が普及し,さらに画像情報が増えることとなった。しかし,装置の高磁場化とMR装置対応植込み型デバイスの出現によって,これまで以上に危険と背中合わせの検査となったことも確かである。放射線治療では,ミリ単位の精度でがん組織を照射できる定位放射線照射が可能となり,自由自在に3次元照射野の設定が可能な強度変調放射線治療が可能になった。その結果,手術成績に匹敵する治療成績が得られるようになった。しかしその一方で,緩和的放射線治療の役割も依然として大きい。
このように,放射線医学には2つの医学領域が包括されていることや,IT技術の進歩が最も反映される変化の激しい分野であることから,学生諸君にとっては取りつきがたい領域と言える。放射線医学の進歩を安全に医療の現場に反映させるには,看護師,医師,診療放射線技師をはじめとする医療チームの緊密な連携が不可欠である。また,前回の改訂以来,2010年と2014年に看護師国家試験の出題基準に改定があった。これらをふまえ,今回の改訂では内容をより充実させるために,これまでの医学科教員に加えて,看護学科教員も執筆陣として参加した。その結果,これまで以上に充実した内容になったと考えている。
また,本書の構成は前版と同様に「画像診断」「放射線治療」「放射線防護」の3部構成とした。前述のように画像診断と放射線治療が放射線医学の2本柱であるが,安全な放射線医療には放射線防護は欠かせない第3番目の柱である。なお,核医学とインターベンショナルラジオロジー(IVR)は第1部「画像診断」に包括した。
本書が放射線医学のテキストとして学生諸君に広く利用されることを祈願している。
2015年9月
著者を代表して 福田国彦 高島尚美
初版の序
放射線医学は基礎放射線医学と臨床放射線医学からなり,臨床放射線医学は従来,X線診断学・核医学・放射線治療学をその鼎〈かなえ〉としてきた。しかし,近年はX線診断・核医学診断に加え,X線CTや超音波診断が目ざましい発展を示し,診療の第一線に欠くことのできない手段として広く普及するにいたった。そのため,これら体内情報を画像として描出し,診断に利用する臨床分野を画像診断学と総称し,体系化する動きが定着しつつある。
一方,放射線治療においては,放射線腫瘍学というさらに広い視野からこれを位置づけ,各治療法の併用による総合的な腫瘍治療が展開されている。すなわち,症例に応じて外科療法・化学療法・ホルモン療法・免疫療法などを適宜選択し,各治療法の特徴をいかした効果的な併用療法によって,著しい治療成績の向上がもたらされている。
本書はこのような現在の放射線診療の動向に即して編集され,系統的に放射線看護を学習しようとする人たちを対象に執筆されたものである。
しかしなかには,画像診断の知識などは,医師の診療には必須であっても,看護婦には不必要なものではないかと考える人もいるであろう。しかし,たとえば病院の第一線で働く看護婦にとって,X線写真を見ない日は一日もないはずであり,これらの診断を通して患者の状態を正しく把握しておくことは,日常最も密接に患者と接触し,ケアを行う看護婦にとって不可欠なことであろう。またそのような理解によって,よりインテリジェントな患者への接触と自主的な看護行為,質の高いケアが行われることになると考える。
また,放射線による検査と治療は,患者の理解と協力なしには行うことはできない。したがって,看護婦による患者指導がきわめて大きな役割を果たしており,そのためには診療の目的・内容・方法をよく理解していることが要求される。このような知識をもってなされた適切な前処置や介助は十分な診療情報をもった検査を可能にし,またよりよい治療効果を生み出すものと考える。
1981年11月
著者ら
改訂版の序
放射線医学は画像診断と放射線治療からなる。いずれも放射線を扱うことから,本邦では同じ医学分野として認識されている。しかし,画像診断はできるだけ少ない放射線で最大の情報を得て臨床の現場にその結果を報告し,治療方針の決定に役だてる学問であり,放射線治療は最大の放射線をがん組織に照射して健常組織は温存し,機能温存をはかりながらがんを治療する学問である。学問としても診療内容としても,両者は大きく異なる。
近年の放射線医学の進歩はめざましく,それぞれの分野に大きな変化がおきている。画像診断では,CTは短時間で複数部位を検査するのがあたり前となり,拍動する臓器である心臓のCTはルーチン化した。そのようななか,われわれはつねに放射線被曝に最大の留意を払わなければならない。MRIでは3テスラ高磁場装置が普及し,さらに画像情報が増えることとなった。しかし,装置の高磁場化とMR装置対応植込み型デバイスの出現によって,これまで以上に危険と背中合わせの検査となったことも確かである。放射線治療では,ミリ単位の精度でがん組織を照射できる定位放射線照射が可能となり,自由自在に3次元照射野の設定が可能な強度変調放射線治療が可能になった。その結果,手術成績に匹敵する治療成績が得られるようになった。しかしその一方で,緩和的放射線治療の役割も依然として大きい。
このように,放射線医学には2つの医学領域が包括されていることや,IT技術の進歩が最も反映される変化の激しい分野であることから,学生諸君にとっては取りつきがたい領域と言える。放射線医学の進歩を安全に医療の現場に反映させるには,看護師,医師,診療放射線技師をはじめとする医療チームの緊密な連携が不可欠である。また,前回の改訂以来,2010年と2014年に看護師国家試験の出題基準に改定があった。これらをふまえ,今回の改訂では内容をより充実させるために,これまでの医学科教員に加えて,看護学科教員も執筆陣として参加した。その結果,これまで以上に充実した内容になったと考えている。
また,本書の構成は前版と同様に「画像診断」「放射線治療」「放射線防護」の3部構成とした。前述のように画像診断と放射線治療が放射線医学の2本柱であるが,安全な放射線医療には放射線防護は欠かせない第3番目の柱である。なお,核医学とインターベンショナルラジオロジー(IVR)は第1部「画像診断」に包括した。
本書が放射線医学のテキストとして学生諸君に広く利用されることを祈願している。
2015年9月
著者を代表して 福田国彦 高島尚美
目次
開く
序章 放射線医学のなりたちと意義 (福田国彦)
A 医療における放射線医学の役割
B 放射線医学の歴史
第1部 画像診断
第1章 画像診断と看護 (高島尚美・福田国彦)
A 画像診断における看護師の役割
B 安全性の確保
C セーフティマネジメントの原則
第2章 X線診断 (関谷透・高島尚美)
A X線診断の特徴
B X線診断のなりたち
C X線検査の実際
D X線診断
第3章 CT (氏田万寿夫・高島尚美)
A CTの特徴
B CT装置と画像のなりたち
C CT検査の実際
D CT診断
第4章 MRI (尾尻博也・高島尚美)
A MRIの特徴
B MRI画像のなりたち
C MRI検査の実際
D MRI診断
第5章 超音波検査 (中田典生・太田智行・西岡真樹子・高島尚美)
A 超音波検査の特徴
B 超音波像のなりたち
C 超音波検査の実際
D 超音波診断
第6章 核医学検査 (内山眞幸・高島尚美)
A 核医学検査の特徴
B 核医学検査のなりたち
C 核医学検査の実際
D 各種核医学検査の実際と診断
第7章 IVR・血管造影 (貞岡俊一)
A IVR・血管造影の特徴
B IVRのなりたち
C IVRの実際とおもな副作用
D IVRを受ける患者の看護
第2部 放射線治療
第8章 放射線治療総論 (兼平千裕・内山眞幸)
A 放射線治療の原理
B 放射線治療の基礎
C 正常組織の有害反応
D 治癒線量・耐容線量と治療可能比
E 放射線治療の特徴と目的
F 照射法の種類
第9章 放射線治療と看護 (望月留加)
A 放射線治療を受ける患者・家族の特徴
B 放射線治療における看護師の役割
C 放射線治療に伴う有害反応と看護
第10章 放射線治療各論 (兼平千裕・望月留加・青木学)
A 脳腫瘍
B 頭頸部がん
C 肺がん
D 食道がん
E 乳がん
F 直腸がん
G 子宮頸がん
H 前立腺がん
I 悪性リンパ腫
J 骨転移・脳転移・上大静脈症候群
K 骨軟部腫瘍
L 小児がん
第3部 放射線防護
第11章 放射線による障害と防護 (青木学)
A 放射線障害
B 放射線防護
用語解説
索引
A 医療における放射線医学の役割
B 放射線医学の歴史
第1部 画像診断
第1章 画像診断と看護 (高島尚美・福田国彦)
A 画像診断における看護師の役割
B 安全性の確保
C セーフティマネジメントの原則
第2章 X線診断 (関谷透・高島尚美)
A X線診断の特徴
B X線診断のなりたち
C X線検査の実際
D X線診断
第3章 CT (氏田万寿夫・高島尚美)
A CTの特徴
B CT装置と画像のなりたち
C CT検査の実際
D CT診断
第4章 MRI (尾尻博也・高島尚美)
A MRIの特徴
B MRI画像のなりたち
C MRI検査の実際
D MRI診断
第5章 超音波検査 (中田典生・太田智行・西岡真樹子・高島尚美)
A 超音波検査の特徴
B 超音波像のなりたち
C 超音波検査の実際
D 超音波診断
第6章 核医学検査 (内山眞幸・高島尚美)
A 核医学検査の特徴
B 核医学検査のなりたち
C 核医学検査の実際
D 各種核医学検査の実際と診断
第7章 IVR・血管造影 (貞岡俊一)
A IVR・血管造影の特徴
B IVRのなりたち
C IVRの実際とおもな副作用
D IVRを受ける患者の看護
第2部 放射線治療
第8章 放射線治療総論 (兼平千裕・内山眞幸)
A 放射線治療の原理
B 放射線治療の基礎
C 正常組織の有害反応
D 治癒線量・耐容線量と治療可能比
E 放射線治療の特徴と目的
F 照射法の種類
第9章 放射線治療と看護 (望月留加)
A 放射線治療を受ける患者・家族の特徴
B 放射線治療における看護師の役割
C 放射線治療に伴う有害反応と看護
第10章 放射線治療各論 (兼平千裕・望月留加・青木学)
A 脳腫瘍
B 頭頸部がん
C 肺がん
D 食道がん
E 乳がん
F 直腸がん
G 子宮頸がん
H 前立腺がん
I 悪性リンパ腫
J 骨転移・脳転移・上大静脈症候群
K 骨軟部腫瘍
L 小児がん
第3部 放射線防護
第11章 放射線による障害と防護 (青木学)
A 放射線障害
B 放射線防護
用語解説
索引
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