老年看護 第5版

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高齢者を取り巻く社会と生活の理解をふまえ、生活者としての高齢者の視点から、老年看護の現場で行われている看護技術の内容(実際)を盛り込みました。 高齢者の生活を支える看護の実際について多くの紙面を割き、健康生活の維持、加齢現象と看護、安全と安楽をまもる看護について詳しく解説しました。また、災害時の看護について項目を設けました。 老年看護とかかわりの深い認知症についての知識、およびケアの記述を充実させました。 高齢者と家族を支える保健・医療・福祉制度としくみを紹介し、在宅療養(訪問看護)や施設生活における看護職の役割を解説しました。
シリーズ 新看護学 13
執筆 梶井 文子 / 亀井 智子 / 久代 和加子 / 小林 小百合 / 関 由香里 / 広瀬 幸子 / 森實 詩乃 / 六角 僚子
発行 2013年01月判型:B5頁:260
ISBN 978-4-260-01595-0
定価 2,090円 (本体1,900円+税)
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はしがき

学習にあたって
 長寿・高齢社会という喜ぶべき現実のなかで,その反面として障害を持つ高齢者が増加していることは事実である。2003年に厚生労働省は,2015年の高齢者介護に向け,尊厳を保持する高齢者介護の確立を目標に,4本の柱を提示した。すなわち,第1に「新しいケアモデルの確立――痴呆性高齢者
ケア」,第2に「生活の継続性を維持するための新しい介護サービス体系」,第3に「サービスの確保と向上」,第4に「介護予防・リハビリテーションの充実」である。しかしながらこれらの課題は,掲げられてからおよそ10年を経たいまでも,十分に解決できているとはいえない状況にある。
 高齢者介護の確立は,高齢者や医療・介護者だけの課題ではなく,わが国全体の大きな課題であり,そのなかで看護に求められていることは多い。とくに高齢者の暮らしの場は,自宅・施設・病院と多様化しており,その意味では保健・医療・福祉の各機関の連携の強化も重要である。看護は,そこにおいても大きな役割を担っている。
 これからの高齢者看護には,高齢者が現存能力を発揮し,安全にそして安心してその人らしい生活が継続できるように,地域や家族とともに支援していくことが求められている。そのためには,身体面の正確なアセスメントに加え,心理・社会面や生活習慣などの多角的なアセスメントが必要となる。
 本書は,准看護師教育課程のテキストとして編集されたものである。そのなかでも,とくに高齢者の暮らしを支えることに学習の力点をおいた。本書での学習によって,必要とされる知識・技術・態度を身につけ,私たちの目ざす,高齢者への理想的な看護を実現するための能力を養ってもらいたい。

改訂の趣旨
 本書は,初版の発行から23年が経過している。その間,老年看護に関する教育カリキュラムや社会状況にも大きな変化や進歩がみられた。そこで本書は,必要とされる知識・技術・態度の学習ができるように,以下のような構成へと改めた。
 第1章では,高齢者の理解を目的として,人として成長すること,高齢者の社会での受け取られ方や倫理的な課題,身体的・心理的側面の変化,および発達課題について述べた。
 第2章では,統計資料から高齢者を取り巻く社会と社会システムへの理解を深め,わが国の高齢者の暮らしを支える医療・福祉制度や権利擁護制度,社会資源について述べた。
 第3章では,高齢者を支える看護の視点として,基本的な姿勢や健康増進の考え方,自立支援,観察,コミュニケーションについて述べた。
 第4章では,高齢者の暮らしを支える看護の実際として,日常生活援助とその考え方,高齢者に多い疾患と看護,災害時を含めた高齢者の安全・安楽をまもる看護について述べた。
 第5章では,治療・処置を受ける高齢者の看護として,外来,検査,薬物療法,入退院,手術,救急時それぞれにおける看護・援助について述べた。
 第6章では,高齢者が豊かに生きるためにというテーマで,認知症高齢者の看護,リハビリテーション看護,高齢者のセクシュアリティ,アクティビティケア,ターミナルケアについて述べた。
 第7章では,高齢者の暮らしの場として,在宅での看護,施設での看護,介護を行う家族への看護について述べた。
 また,より一層学びやすく,理解のたすけになるように紙面を全面カラー化し,図・写真・表なども充実させた。記述についても,なるべく簡潔・平易な表現としている。
 なお,編集にあたって,文中での表現の煩雑さを避けるため,特定の場合を除いて看護師・准看護師に共通する事項は「看護師」と表現し,准看護師のみをさす場合には「准看護師」として示した。また,保健師・助産師・看護師・准看護師など看護の有資格者をさす場合には「看護者」あるいは「看護職」としたので,あらかじめご了解いただきたい。
 執筆者は,それぞれが高齢者看護における専門性をいかしながら本書にかかわっており,准看護師教育課程の学習に有用で,活用しやすいテキストとなるように努力していきたいと考えている。積極的で,かつ批判的なご意見をお寄せいただければ幸いである。
 2012年11月
 著者ら

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第1章 高齢者の理解 (六角僚子・久代和加子)
 A.人としての高齢者を理解する
 B.加齢による身体的側面の変化
 C.加齢による心理的側面の変化
 D.高齢者と発達課題
第2章 高齢者を取り巻く社会と社会システム (小林小百合・関由香里)
 A.高齢社会の統計的理解
 B.保健医療福祉のしくみ
 C.高齢者の権利擁護
 D.高齢者にとっての家族
第3章 高齢者の暮らしを支える看護の視点 (亀井智子)
 A.高齢者看護の視点
 B.高齢者と健康増進(ヘルスプロモーション)
 C.高齢者と自立支援
 D.高齢者と障害受容
 E.看護観察と看護記録
 F.高齢者とコミュニケーション
第4章 高齢者の暮らしを支える看護の実際 (六角僚子・梶井文子・久代和加子・小林小百合)
 A.健康生活の維持
 B.加齢による変化と看護
 C.高齢者とリスクマネジメント
 D.高齢者と災害看護
第5章 治療・処置を受ける高齢者の看護 (広瀬幸子)
 A.外来受診をする高齢者の看護
 B.検査を受ける高齢者の看護
 C.薬物療法を受ける高齢者の看護
 D.入退院を必要とする高齢者の看護
 E.手術を受ける高齢者の看護
 F.救急対応を要する高齢者の看護
第6章 高齢者が豊かに生きるために (六角僚子・久代和加子)
 A.自分の世界を生きる――認知症高齢者の看護
 B.高齢者に対するリハビリテーション看護
 C.高齢者のセクシュアリティ
 D.アクティビティケア
 E.別れを迎えるとき――ターミナルケア
第7章 高齢者の暮らしの場と看護 (森實詩乃)
 A.在宅生活と看護
 B.施設生活と看護
 C.家族への看護

 さくいん

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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