• HOME
  • 書籍
  • 看護研究の進め方 論文の書き方 第2版


看護研究の進め方 論文の書き方 第2版

もっと見る

ベストセラーの第2版。「研究テーマを探す」「研究を実際に進める」「論文や口頭発表で成果をまとめる」という看護研究の一連のプロセスを、この1冊でしっかりサポート。カラー化し、理解を助ける図表・イラストも豊富に盛り込み、入門書として最適の1冊。基礎教育のテキストとしても活用しやすいよう、基本事項を網羅し、読者に語りかけるような解説で、親しみやすさをめざしました。

本書を活用した指導のポイント
解説:加藤憲司氏 (大阪大学大学院医学系研究科附属ツインリサーチセンター・特任教授,本書共著者) >> PDF (A4・6頁,4.1MB) >> HTML (看護師のためのwebマガジン「かんかん!」へ)

シリーズ JJNスペシャル
編著 早川 和生
発行 2012年10月判型:AB頁:192
ISBN 978-4-260-01683-4
定価 2,640円 (本体2,400円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 序文
  • 目次
  • 書評

開く

はじめに

 看護研究は近年、著しい進歩が見られるようになりました。日常の臨床実践のなかで得られる新しい着想とアイデアを生かした看護研究が増加し、これらの看護研究は患者ケアや人々の健康の保持増進に大変有効です。
 応用科学としての看護学は、実証的な研究データを基に、着実に健康科学の一翼を担う重要な分野として社会的に認識されるようになりました。現代社会では、社会が看護学に期待するニーズは幅広く多様で高度な内容になっています。
 私たち看護職は、社会と国民から期待されるニーズを真摯に受けとめ、科学的基盤に基づいて自らの専門知識と技術を錬磨向上し、真の専門職(プロフェッショナル)として広く国民から信頼されるうえでも、研究活動は必須の専門基盤となるものです。
 本書は、一般に看護研究を行ううえで知っておくべき基礎的知識を全体的に網羅しています。若い看護学生にとってはテキストとして、また新しく看護研究を行う臨床ナースにとっては知識の整理と体系化に役立つような内容をめざしています。
 本書がこれら若いナースの方々が新しく看護研究に取り組むうえで一助となれば、誠に幸いです。

 早川和生

開く

はじめに・執筆者一覧
本書の構成

第1章 ようこそ、看護研究のワンダーランドへ!
 第1節 なぜ、看護研究をするのでしょうか
 第2節 看護研究の歴史とさまざまな看護理論
  column 卒業研究と院内研究の意義

第2章 研究全体の流れを知り、リサーチクエスチョンを決定する
 第1節 研究全体の流れを知る
 第2節 リサーチクエスチョンを立てる
 第3節 リサーチクエスチョンを絞り込む

第3章 文献の探し方・検討の仕方
 第1節 文献検討(検索)の目的
 第2節 文献の種類と活用方法
 第3節 文献検討の基本的な考え方 (1)情報収集の視点で文献を読む
 第4節 文献検討の基本的な考え方 (2)クリティークの視点で文献を読む
 第5節 文献検索の進め方
 第6節 文献入手の方法と整理の仕方
  column 情報リテラシー

第4章 研究デザインと研究手法
 第1節 研究デザインとは
 第2節 研究デザインの大分類
 第3節 研究デザインの種類と選択
 第4節 研究デザインと実施順序性
 第5節 その他の研究デザイン

第5章 具体的な研究の進め方
 第1節 研究計画書の書き方
 第2節 データ収集の仕方
  column 面接法によるデータ収集と分析の方法
 第3節 データの整理と分析
 第4節 妥当性と信頼性
 第5節 倫理的配慮

第6章 具体例で学ぶ研究のポイント
 第1節 事例研究のポイント/レベルIの問い
 第2節 観察研究のポイント/レベルIIの問い
 第3節 実験研究のポイント/レベルIIIの問い
  column よくある相談と回答

第7章 研究成果を発表する
 第1節 研究成果を発表する意義
 第2節 学会に参加しよう
 第3節 研究成果の発表準備
 第4節 効果的なプレゼンテーション
  column 国際学会への参加、発表にチャレンジ!

第8章 研究成果を論文にまとめる
 第1節 研究成果を論文にまとめる意義
 第2節 伝わる文章、わかりやすい文体とは
 第3節 研究論文の全体構成を考える
 第4節 論文の書き方
 第5節 図表作成の仕方
  column グラフの種類と作成方法
 第6節 論文の仕上げ
 第7節 抄録の書き方
 第8節 雑誌に投稿する

索引

開く

初学者から臨床看護師まで,すべての人の能力を引き出すテキスト
書評者: 久志 篤子 (那覇市医師会那覇看護専門学校 教務部長)
 本校における看護研究の取り組みは,看護実践を客観的,科学的,論理的に検討し論述する基礎的能力を培い,卒業後も看護実践の場で看護を追究する姿勢を育むことを狙いとし,「卒業論文」として設定しています。その狙いを達成させるために数あるテキストの中から本書を選択しました。

 初めて看護研究を学ぶ学生にとって「看護研究は特別なことではない。看護現場で出会う日常の現象を看護学的視点で見つめると,いろいろな疑問が出てくるのだな」という素朴な気付きもきちんと系統立てて整理し,わかりやすく研究へ導いてくれる内容のテキストとなっています。また,看護研究の基本として「研究とは何か」「テーマの見つけ方」「研究の種類」や「事例研究のポイント」「調査研究」「実験研究」「論理的・記述的研究」のポイントから「論文の書き方」まで,学生が研究への親しみやすさを持てるようなカラーイラストを用いて記述されています。

 本書の構成として第1章は,なぜ看護研究をするのか,研究の意義の扉を開いていけるような揺さぶりで始まり,第2章は看護研究を行う上で必要なリサーチクエスチョンの立て方,一般的に知っておくべき基礎的知識が網羅されています。第3章は文献の探し方・検討の仕方,クリティークの視点で文献を読むポイントについて説明され,第4章は初学者の多くがぶつかる壁,研究デザインと研究手法の具体に入り,第5章では具体的な研究の進め方,第6章では事例で学ぶ研究のポイント,第7章では研究成果を発表し,第8章では研究成果を論文にまとめるという論文の書き方の技術説明にまで徹したマニュアルになっています。

 本書の素晴らしいところは,学生が実際に取り組む上で困難さを感じている「研究計画書の書き方」について例を通じてポイントが詳しく解説されている点です。基本的な内容が詳細に記載されているため,学生は自分自身のリサーチクエスチョンを基に,どの研究デザインを選択すればよいのか,それぞれの問いにあった研究計画書の書き方がわかる仕組みになっています。学生だけではなく私たち教員が指導する上でも具体的な内容をシミュレーションできる点で,とても役立ちます。

 本書は,2012年に第2版が発行され,効果的なプレゼンテーションの方法も具体的に解説されています。看護研究の初学者である学生も,熟練した臨床現場の方も,さらに看護教員である私たちも,自分の確認したい内容の箇所から読み進めていくことができる構成となっています。研究の概念やプロセスを理解し,看護基礎教育から専門職業人として看護研究に取り組んでいくために学んできたすべての人の能力を引き出してくれる学習テキストとなっています。

 私自身も研究を進めていく上で迷い,壁にぶつかり,立ち止まることがよくあります。そのようなときに原点へ戻るためのテキストとして活用しています。きっと皆さんの看護研究の扉を開いてくれる1冊となります。
看護研究のテキストとして,授業で活用したい1冊
書評者: 上田 伊佐子 (徳島県立富岡東高等学校羽ノ浦校 看護科・専攻科看護科/専攻科長)
 本書は「看護研究の進め方」「論文の書き方」「プレゼンテーションの方法」がコンパクトに凝縮されており,看護研究のプロセスをこの1冊で理解することができる。これまでも類似の書籍が種々発刊されているが,基礎看護教育に携わる私が,本書を看護研究テキストとして採用したいと思うのは,次の点からである。

●“砂時計モデル”で研究にかかる時間と労力がイメージできる

 第一は,研究のプロセスを10段階に分け,その過程を“研究プロセスの砂時計モデル”として,砂時計の砂の流れで表現したところである。砂時計のくびれ部分にあたる,リサーチクエスチョン(研究上の問い)を絞り込むまでの準備段階をしっかりすること(砂時計の上部にある砂の量を貯めておくこと)が,その後の研究をスムーズに進めていくために重要であることを,砂時計で表現している。初めて研究を行う人がこれをみると,研究ステップの時間と労力をイメージしやすい。

●研究で重要とされるスキルを丁寧に解説

 第二は,研究で重要とされる「リサーチクエスチョンの洗練の仕方」と「研究計画書の書き方」「クリティークの視点で文献を読むこと」が丁寧に解説されていることだ。

 初学者はとかく研究の意義や方向性を明確にしないまま,自分の興味本位で研究をスタートさせてしまいがちである。看護実践のなかから生まれた「答えを見つけたい」と思うテーマを,「意義のある」研究に昇華させるためには,先行文献をしっかり読んでリサーチクエスチョンを絞り込み,研究計画書を練るという緻密な作業が必要である。そして,論理の一貫性や信ぴょう性が確保された研究を進めていくためのベースは,文献をクリティークする力であり,私は,研究の入り口に立つ学生にその力を育てたいと思っている。本書ではこの「クリティークの視点で文献を読む」ツボが,わかりやすく解説されている。

●親しみやすいページ構成

 第三に,研究に欠かせない内容がしっかりと書かれているにもかかわらず,サクサク読めるところである。親しみやすい文章表現や,カラー誌面,豊富な図表・イラストが読む人の理解を助けてくれる。コラム「よくある相談と回答」で,初学者が陥りやすいピットフォールを補ってくれていることもありがたい。そして,難解な用語には同じページ内の「NOTE」で解説がされており,さらに詳しいことが知りたい人のために文献を紹介してくれている。意欲が高まった読者は,それをヒントに専門書に手を伸ばし,本書の内容とリンクさせながら次のステップにつなげていくことができるだろう。

 看護師がケアの質を担保するためには,患者のニーズを満たすための質の高いケアを日々創造していく必要がある。看護ケアのエビデンスは,実践の場で生じた疑問を研究し,その成果を蓄積して実践に還元することにより明らかになっていく。その研究の入口では,科学的な態度や考え方を培いながら,研究本来の楽しさを感じられることが大切である。本書は,初学者が「新しい『知』の生産者に自分もなれる」という自信を抱きながら,さらなる研究の楽しさの連鎖反応を創造していくために,最初に手に取るべき1冊である。
「問い」を見つけ,解き明かす方法を解説した初学者に最適の書
書評者: 島袋 香子 (北里大教授・生涯発達看護学/看護キャリア開発・研究センター長)
 臨床現場には多くの「問い」が存在する。本書は,その「問い」を見つけ出し,解き明かす方法をわかりやすく説明してくれる。

 本書は,1991年に初版が刊行されて以来,多くの看護職の研究を導いてきた『看護研究の進め方 論文の書き方』の改訂版である。看護研究はこの20年間で著しく進歩しており,EBN(Evidence-Based Nursing)の普及とともに,臨床現場に根付いてきたと感じる。

 しかし,研究に取り組む臨床現場の看護職の思いは異なるようだ。

 当センターには,看護研究にチャレンジする多くの研修生が訪れる。研究に不慣れなため,その道程は容易ではない。それでも研究成果を発表するころには,研究の大切さを実感していく。しかし,中には途中でくじけそうになり,嫌気が差し,やらされ感に陥る人も出てくる。看護研究には多くのエネルギーが必要となるため,忙しい看護職にとって看護研究は,大切ではあるが,気の重い,面倒な課題ととらえられている。

 本書はその思いを払拭してくれる。看護研究のプロセスをわかりやすく説明しており,説明に添って研究を進めるうちに,研究の楽しさが見えてくるに違いない。特に,研究を始める初学者への入門書として最適である。

 看護研究を進めるには,研究の核となる研究者自身の思いが重要である。初学者にとっては,身近な疑問や課題から,自分が研究したい「問い」を探し出すこと自体,骨の折れる作業である。さらに,その「問い」を基に,設計図である研究計画書を作成することが大きな壁となって立ちはだかる。

 本書は,この最初の壁を乗り越えることにも重点が置かれている。リサーチクエスチョン(研究上の問い)の立て方において,研究上の「問い」とはみなせない疑問や課題を先に提示し,効率よく「問い」を見つけ出す方法や絞り込む方法を説明している。また,面倒だと思われている研究計画書を書くときの要点をわかりやすく説明している。さらに,研究の実際となるデータ収集から論文作成までの要点を具体的に説明しており,初学者の研究を最後まで導いてくれる。

 すでに看護研究に取り組んでいる先輩たちには,本書を活用し,リサーチクエスチョンに立ち戻ることをお薦めしたい。自分が取り組んでいる研究は,何のために行うのか,それは,自分たちの看護にどのように役立てることができるのか。そのために何を明らかにしたいと考えたのか。見失っていたかもしれない看護研究の目的を取り戻すことができる。

 本書は,単なる研究方法を伝えるハウツウ本ではない。看護研究を行う意義について随所に説明がなされており,研究指導を行う者にとっても,指導しなければいけないこと,伝えなければいけないことを教えてくれる一冊である。

 本書の第2章第2節には研究を始める際の心構えが書かれている。「『答えを見つけたい』と思う問いをあなたが持っていないのならば,本書を読んで研究について学ぶ必要もないことになります」。筆者たちの看護研究に対する思いが伝わってくる。この思いを読み解きながら,研究することの喜びを実感してもらいたい。

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。