作業療法研究法 第2版

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作業療法を対象とした研究について、その種類・分類を、実例を挙げて平易に解説。研究計画書、研究報告書作成に至る実際の手順を、学部生のレベルでの理解・実用のために示している。誰もが悩む作業療法リーズニング、EBP、ナラティブといったキーワードを解き明かした、最良の入門書。
*「標準作業療法学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 標準作業療法学 専門分野
シリーズ監修 矢谷 令子
編集 山田 孝
編集協力 長谷 龍太郎
発行 2012年08月判型:B5頁:288
ISBN 978-4-260-01483-0
定価 4,180円 (本体3,800円+税)

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第2版 序

 本書の初版は7年前の2005年6月に出版されている.その序で,恩師三島二郎・元早稲田大学教育学部教授の講義についてふれたが,その恩師も5年前にお亡くなりになった.私も2012年3月に首都大学東京を定年退職し,4月から大学院修士課程の新設ということで乞われて,目白大学大学院リハビリテーション学研究科に勤務している.編集者がそのようなことなので,第2版には編集協力者をおくことにした.私に万が一のことがあった場合には,編集協力者である長谷龍太郎が代わりに編集者になるということである.長谷とは,かつての東京都立府中リハビリテーション学院での師弟関係にあり,34年もの付き合いがあり,お願いしたわけである.
 この7年間には,私事でもいろいろなことがあった.子どもたちの結婚と孫たちの誕生で,爺さんになってしまった.また,6年前には脳出血を経験し,急性期から1か月間の入院を体験し,4か月間の休職も体験した.今も,声の出にくさや書痙など,細かな後遺症に悩まされている.教師としては,板書ができないということは致命的なことのように思われたが,最近はパワーポイントを使って講義をすることが増えたために,特に問題はなくなった.しかし,本書の校正は,書痙のために,医学書院の編集担当者にはご迷惑をおかけしたのではないかと思う.最初はミミズの這ったような字で本当に読むのが困難であったと自分でも思ったので,ワープロで打ち出したりしていた.それが校正を続けるうちに,かなり読めるような文字が書けるようになった.校正という作業が私の書痙を治療してくれたようである.
 第2版では,いくつかの点で変更がある.キールホフナーの米国の作業療法の歴史を紹介したものを歴史研究と位置づけたこと,身体機能,精神機能,発達過程,高齢期という各分野の研究の流れと研究者自身の研究を紹介するという章(第5章「臨床研究の実践例と動向」)を立てて,石井良和先生,小林法一先生,小林幸治先生,有川真弓先生に新たに執筆者に加わっていただいた.また,研究計画の手順や論文の構成を示す具体例に,初版では,私の古い研究を用いていたのを,第2版では,若手の研究者の例を用いて説明するために,川又寛徳先生と篠原和也先生にも執筆者に加わっていただいた.
 わが国の作業療法も,ランダム化比較試験が用いられるなど,エビデンスのレベルが高まってきていると同時に,質的研究も増えているように思う.作業療法の研究がますます発展することを祈っている.

 2012年6月
 山田 孝

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序章 作業療法研究法を学ぶ皆さんへ
第1章 研究とは何をするのか
 I 研究は誰が何のためにするものなのか
 II 分野別研究とその流れ:歴史研究と時代背景・研究に関する概観
 III 研究疑問を立てること
 IV 研究疑問を解決するにはどうするか
 V 研究と倫理
第2章 研究にはどのようなものがあるのか
 I 研究の類型
 II 文献レビューと文献研究
 III 調査研究
 IV 実験研究
 V 事例研究:一般
 VI 事例研究:シングルシステムデザイン
第3章 研究にかかわる基礎知識
 I 研究計画の手順と論文の構成
 II 研究とEBMの立証
 III 統計解析(量的研究)にかかわる基礎知識
 IV 質的研究にかかわる基礎知識
第4章 研究論文の発表と手続き
 I 作業療法教育における卒業研究論文の作成とその到達レベル
 II 研究論文発表に関する知識と手続き
第5章 臨床研究の実践例と動向
 I 身体機能領域の研究の実践例と動向
 II 精神機能領域の研究の実践例と動向
 III 発達過程領域の研究の実践例と動向
 IV 高齢期領域の研究の実践例と動向
作業療法研究法の発展に向けて
 さらに深く学ぶために

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