在宅看護論 第3版

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●本教科は、2009年の新カリキュラムにおいて統合分野に位置づけられ、「地域で生活しながら療養する人々とその家族を理解し、在宅での看護実践の基礎を学ぶ内容」「終末期看護も含め、在宅での基礎的な看護技術を身につけ、他職種と協働する中で看護の役割を理解する内容」とすることがうたわれました。また、さらに新カリキュラムでは、「より臨床実践に近い状況を想定した学習ができるよう、演習を強化した内容」とされています。 ●それらの新カリキュラムの趣旨にのっとり、本巻では構成を<総論編>と<実践編>に分けて展開しています。 ●<総論編>では、まず在宅看護の目的や特徴、背景となる対象者や家族、制度、在宅看護過程の展開など、基礎的な知識を学びます。 ●次に<実践編>で、在宅看護で必要とされる技術について学びます。 ●さらに第6章では、臨床場面をイメージできるように在宅看護の臨床場面として特徴的な事例を9つあげて展開しています。これらの事例を通して在宅看護の臨床現場を意識しながら在宅看護に必要な知識や在宅看護の展開が学べるように努めています。 ●また、付章では資料として「実習の手引き」や「保健・医療・福祉の動向と訪問看護の歴史」一覧表などを掲載しています。 *2011年版より表紙が新しくなりました。
本書第3刷(2010年2月1日発行)増刷時変更点についてのお知らせ
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はしがき

発刊にあたって
 少子・高齢社会の到来によって,高齢者や障害者の在宅ケアニーズに対応した訪問看護サービスの拡充や人々のセルフケア能力をたかめる教育的なはたらきかけの必要性がさらにたかまっている。
 人々が健康で生きがいをもち,安心して生涯を過ごせるために,国は高齢者保健福祉推進10か年計画(ゴールドプラン)を策定し,その施策を推進している。訪問看護ステーションの活動も活発化しているなど,保健・医療・福祉の分野でさまざまな改革の動きがみられ,とくに看護に大きな期待が寄せられている。
 このような状況をふまえて,看護基礎教育のカリキュラムが改正され,看護専門分野の7領域の1つとして「在宅看護論」が加えられた。
 今後,ますます増加する在宅ケアニーズに対応しうるため,また施設内・施設外を問わず,看護の援助を必要とするすべての人々に対して看護機能を果たすための学びは必須である。
 地域看護とは人々の地域社会での生活を基盤として,健康への回復,健康の保持・増進のために必要な看護を,その地域内の保健医療福祉機関に属する看護職がそれぞれの役割を担いつつ協力して推進することである。それは単に施設外での実践活動のみでなく,施設内の看護から継続して行う組織的・計画的に実践されるダイナミックな活動である。
 本書では地域保健医療福祉活動の全体像,地域看護の概念枠組み,地域看護の行われる場についての理解を前提として,在宅看護についてまとめた。
 まず在宅看護は地域看護の一分野であり,在宅ケアを支える重要なはたらきとして位置づけた。そして在宅看護独自の機能はなにかを研究的に取り組めるよう,また幅広い,かつ緻密な観察力,的確な判断力とその実践に必要な方法・技術を学び,さらに新たに,それらを創造し開拓していくことができるように配慮した。
 本書が看護学生の参考書として,地域看護およびその一分野である在宅看護の理解に,そして地域で生活し療養している人々に対する看護を学ぶために活用していただければ幸いである。さらに在宅看護に携わる看護職の方々の看護実践にも役だてればと願っている。
 1997年1月

第3版の序
 少子・高齢社会の進展とともに,介護保険法の施行・改正や医療法の改正など,地域や在宅で療養者の生活や介護を支えていくための諸制度が制定・整備されてきた。2007年の医療法の改正においては,「医療機能の分化・連携の推進による切れ目のない医療の提供」「在宅医療の充実による患者の生活の質(QOL)の向上」が厚生労働省より掲げられており,在宅看護はますます重要となってきている。
 また,看護教育においても2008年にカリキュラムが改正され「在宅看護論」は,あらたに設けられた「統合分野」に位置づけられた。
 これらの状況をうけて,このたびの改訂では構成・内容を全面的に見なおし,新カリキュラムの趣旨に即した内容に,また,統合的・発展的に学習できるように全文をあらたに書きおこしている。
 この第3版では,構成を大きく2つに分け,第1章から第4章までを総論編,第5・6章を実践編とした。
 総論編は,在宅看護を展開するうえで必要な知識を学習するものとした。第1章では,在宅看護の目的と在宅看護における看護師の役割について,事例をあげて考察しながら学習できる内容とした。第2章では,療養者に関する諸データと,家族を理解するために必要な知識を掲げ,在宅看護の対象者について学習できる内容とした。第3章では,在宅看護に関する諸制度の知識をまとめるとともに,他国の在宅看護制度を紹介している。第4章では,在宅看護過程の展開や他職種との連携など,在宅看護を展開していくために必要な知識を学習できる内容とした。
 実践編では,在宅で看護を提供するにあたってより実践的な知識をまとめるとともに,在宅看護の流れを学習できる内容とした。第5章では,基礎看護技術を学習済みという前提で,在宅でとくに必要とされる看護技術についてまとめた。第6章では,在宅で看護を提供していく流れを,特徴的な9事例より学ぶものとした。
 なお,在宅において看護を必要とする人々についての表現は,「患者」「療養者」「利用者」「対象者」などがあるが,本書では「療養者」を基本とした。
 今回の改訂によって,在宅看護に関する学習がより効果的に行われ,その知識とともに在宅で看護を提供することへのイメージを読者にもってもらえるよう望むものである。ご活用いただき,読者諸賢の忌憚のないご意見とご叱正をいただければ幸いである。
 2008年12月
 著者ら

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<第1部 総論編>
第1章 在宅看護の目的と特徴 (山田雅子)
 A 在宅看護のめざすもの
 B 在宅看護における看護師の役割と機能
第2章 在宅看護の対象者 (河原加代子・佐藤美穂子)
 A 対象者の特徴
 B 家族
第3章 在宅看護の制度 (佐藤美穂子)
 A 在宅看護のしくみ
 B 世界の訪問看護の動向
第4章 在宅看護の展開 (乙坂佳代・清崎由美子・小山剛・島田珠美・清水準一・高村浩・松下祥子)
 A 在宅看護過程展開のポイント
 B 在宅看護過程
 C 他職種との連携
 D 在宅看護における安全性の確保
 E 対象者(家族も含む)の権利保障

<第2部 実践編>
第5章 在宅看護技術 (乙坂佳代・河原加代子・島田珠美・清水準一・
  高橋美保・長濱あかし・長谷川美津子・堀内園子・松下祥子・和田洋子)
 A 在宅で看護を展開するにあたって
 B 在宅で求められる技術の応用
 C 在宅医療技術
第6章 在宅看護の実際 (秋山正子・小倉朗子・乙坂佳代・島田珠美・
  武田貴子・仲野栄・長谷川美津子・堀内園子)
 A 在宅看護介入時期別の特徴
 B 脳卒中をおこした患者の在宅療養導入の事例展開
 C パーキンソン病の療養者に対する在宅看護の事例展開
 D 認知症の療養者に対する在宅看護の事例展開
 E 小児の療養者に対する在宅看護の事例展開
 F ALSで人工呼吸療法を実施する療養者の在宅看護の事例展開
 G COPDの療養者に対する在宅看護の事例展開
 H 独居の療養者に対する在宅看護の事例展開
 I 終末期(がん)の療養者に対する在宅看護の事例展開
 J 統合失調症の療養者に対する在宅看護の事例展開

付章 資料編 (佐藤美穂子・清水準一・松下祥子)
 A 在宅看護論における実習の手引き
 B 訪問看護倫理要綱
 C 関係法令
 D 保健・医療・福祉の動向と訪問看護の歴史
 E 参考資料

索引

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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