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科学としてのリハビリテーション医学

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本書は,好評を博した「リハビリテーションの思想」の続編として,リハビリテーション医学の科学性について論じたもの。著者がリハビリテーション医になってから今日まで,思考を重ねてきたリハビリテーション医学の科学的本質についての探求を,わかりやすく述べている。リハビリテーション関係者必読の書。
上田 敏
発行 2001年06月判型:A5頁:240
ISBN 978-4-260-24399-5
定価 2,640円 (本体2,400円+税)

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  • 目次
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序章 自立した学問を求めて 
第1章 科学としてのリハビリテーション医療-経験から科学へ 
第2章 リハビリテーション医学研究の論理 
第3章 リハビリテーション医学の教育・研修を考える 
第4章 科学としての倫理 
終章 21世紀のリハビリテーション医学を展望する

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リハビリテーション関係者必携の書
書評者: 眞野 行生 (北大大学院教授・リハビリテーション医学)
◆『リハビリテーションの思想』の姉妹篇

 本書は,日本のリハビリテーション医学の先駆者である上田敏先生の書かれたもので,『リハビリテーションの思想』の姉妹篇として出版された。リハビリテーション医学・医療のユニークな科学性を先生の長年の経験と深い洞察力で書かれたものである。
 リハビリテーション医療が始まった初期にリハビリテーション医学を根づかせようとした努力がひしひしと伝わってくる。経験から出発して常に学問の醍醐味を感じながら,新しい法則を見つけ科学性を探求する取り組みが感じられる。先生はアメリカに留学して,かえって日本独自のリハビリテーション医学が必要であると感じ,作りあげていく過程が,日本のリハビリテーション医学の創成期の像と重なりあって伝わってくる。

◆日本独自のリハビリテーション医学の探究

 上田先生のしっかりとした考え方の基には,臨床での鋭い観察眼があると思われる。しかもこの臨床力はいわゆる神経内科などでの診断学,治療学だけではなく,自立・生活に焦点をあてた障害の診断・評価・障害の予後予測であった。これは今までの医学にないヒトの活動や社会参加を視野に入れた幅広い医療の創成であった。
 障害を持った人の日常活動や社会参加を考える時には,先生の学ばれたアメリカのリハビリテーション医療をそのまま導入することができないことは,当時の日本の家屋状態,生活様式,社会資本の充実度などを考慮すると確かに難しく,アメリカとは異なった日本のオリジナルなリハビリテーション医学を考える必然性があった。そこに先生の片麻痺や筋ジストロフィー症でのグレーディングが生まれたと思う。
 先生は,科学性と同時にリハビリテーションでの倫理を強調されている。リハビリテーションで科学性を探求する時に,常に倫理面を意識することの考えを述べている。しかし,日本におけるリハビリテーション医学の卒前・卒後教育は日本各地で大きく異なり,卒業した大学によってはリハビリテーション医学に関する知識・経験をほとんど教育されることがない場合もある。本書では医師に育つすべての人がリハビリテーション医学の教育を受ける必要性を述べている。これは21世紀の日本の医療が救命の医療だけではなく,生活がうまくできるヒトの医療になるためには,重要な課題である。
 また,介護保険を含めた地域リハビリテーションシステムとリハビリテーション医学との関係についても書かれているが,医療が生活での満足,ヒトの活動や社会参加をも考慮するには,社会システムの確立が重要な要素となる。
 本書は,上田先生の貴重な経験と考え方が書かれており,リハビリテーション医学を学ぼうとする学生,臨床の第一線の医師ばかりではなく,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,看護婦さんも対象として,ぜひ読まれることを勧める本である。

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