保健医療職のための質的研究入門
質的研究の全体像をわかりやすく解説した入門書
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保健医療職を対象に,代表的な質的研究の方法の理論と実際を初心者にも理解できるようにわかりやすく解説。哲学や社会学,心理学などの流れのなかでの,それぞれの研究法の位置づけが理解できる。また情報の収集の仕方,データの解釈・分析・発表については,1章を割いて丁寧に解説。
著 | キャロル・ガービッチ |
---|---|
訳 | 上田 礼子 / 上田 敏 / 今西 康子 |
発行 | 2003年07月判型:B5頁:272 |
ISBN | 978-4-260-33292-7 |
定価 | 3,520円 (本体3,200円+税) |
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- 目次
- 書評
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開く
第1部 理論とデザイン
第1章 質的研究:序論
第2章 研究における理論:理論的視点の利用法
第3章 研究デザインをめぐる問題
第2部 データ収集の技法
第4章 面接
第5章 観察
第3部 方法論的アプローチ
第6章 図書館に拠点をおく研究方法
第7章 フィールドに基礎をおく研究方法
第8章 行動に基礎をおく研究方法
第4部 データの解釈,分析,発表
第9章 データの解釈と分析
第10章 データの発表
おわりに
文献
索引
第1章 質的研究:序論
第2章 研究における理論:理論的視点の利用法
第3章 研究デザインをめぐる問題
第2部 データ収集の技法
第4章 面接
第5章 観察
第3部 方法論的アプローチ
第6章 図書館に拠点をおく研究方法
第7章 フィールドに基礎をおく研究方法
第8章 行動に基礎をおく研究方法
第4部 データの解釈,分析,発表
第9章 データの解釈と分析
第10章 データの発表
おわりに
文献
索引
書評
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質的研究入門に最適の一冊
書評者: 村嶋 幸代 (東京大学大学院教授)
◆質的研究を体系的に学ぶために
訳者代表の上田礼子先生は乳幼児の発達研究の第一人者である。日本版デンバー式発達スクリーニング検査の仕事(翻訳・改訂・標準化)はよく知られており,現在も活用されている。乳幼児の家庭環境評価法の開発という仕事もある。その上田礼子先生と「質的研究」とは直接的には結びつきにくい。しかし,「人間の行動とその変容」にかかわる学問としての発達研究には,量的研究の側面と同時に質的研究としての側面があるのであろう。質的研究は量的研究の限界を感じる者にとっては魅力的なアプローチの1つであり,近年特に発展してきた。
しかし,質的研究をはじめるには,しっかりとした教科書が見当たりにくいのも事実である。とくに体系的に知識を得ることが難しい。また,具体的な研究手法を身につけることも難しい。その意味で,この本は大変参考になる。というのは,「なぜ質的研究が必要か? 質的研究の意味・歴史,質的研究に存在するアプローチの違いとそれらの利用法,妥当性と信頼性,客観性と主観性」など素朴な疑問に答える理論から導入し,質的研究の資料収集,方法論,データの解釈分析,提示の仕方などの実践までを取り扱っているからである。また,引用されている事例は看護並びに保健医療関係の実践でも日々直面する事柄が多く,身近な健康上の問題を解決するに際して質的研究法を利用できることを学ぶことができる。
◆読みやすい構成でよく理解できる
本書は4部11章から成り立っており,第1部から第4部まで,通常の研究プロセスの順に論じられている。第1部「理論とデザイン」では,さまざまな理論的・概念的枠組みについて述べ,これらが研究デザインにどうかかわってくるのかを述べている。第2部「データ収集と技法」と第3部「方法論的アプローチ」は,データ収集に用いられる主要な技法や最近開発された技法について検討し,こうした技法を特徴づける方法論的アプローチがますます多様化している点について論じられている。第4部「データの解釈と分析,発表」では,データ収集の段階に入ってからの,データの分析の方法や適切な解釈の仕方について検討されている。また,発表・呈示という最後の重要な課題も取り上げられている。必ずしも順序立てなくても,どの部から読みはじめてもよい。
翻訳は読みやすく,質的研究の位置づけに戻って基本から学びたい方,すでに保健医療関係職者としてこれらの領域で働いておられる方々に役に立つだろう。また,人間の行動とその変容にかかわる学問,看護学のみならず教育学,心理学,社会学,人類学などの学問領域で学びつつある学生や大学院生にお薦めできる本である。
書評者: 村嶋 幸代 (東京大学大学院教授)
◆質的研究を体系的に学ぶために
訳者代表の上田礼子先生は乳幼児の発達研究の第一人者である。日本版デンバー式発達スクリーニング検査の仕事(翻訳・改訂・標準化)はよく知られており,現在も活用されている。乳幼児の家庭環境評価法の開発という仕事もある。その上田礼子先生と「質的研究」とは直接的には結びつきにくい。しかし,「人間の行動とその変容」にかかわる学問としての発達研究には,量的研究の側面と同時に質的研究としての側面があるのであろう。質的研究は量的研究の限界を感じる者にとっては魅力的なアプローチの1つであり,近年特に発展してきた。
しかし,質的研究をはじめるには,しっかりとした教科書が見当たりにくいのも事実である。とくに体系的に知識を得ることが難しい。また,具体的な研究手法を身につけることも難しい。その意味で,この本は大変参考になる。というのは,「なぜ質的研究が必要か? 質的研究の意味・歴史,質的研究に存在するアプローチの違いとそれらの利用法,妥当性と信頼性,客観性と主観性」など素朴な疑問に答える理論から導入し,質的研究の資料収集,方法論,データの解釈分析,提示の仕方などの実践までを取り扱っているからである。また,引用されている事例は看護並びに保健医療関係の実践でも日々直面する事柄が多く,身近な健康上の問題を解決するに際して質的研究法を利用できることを学ぶことができる。
◆読みやすい構成でよく理解できる
本書は4部11章から成り立っており,第1部から第4部まで,通常の研究プロセスの順に論じられている。第1部「理論とデザイン」では,さまざまな理論的・概念的枠組みについて述べ,これらが研究デザインにどうかかわってくるのかを述べている。第2部「データ収集と技法」と第3部「方法論的アプローチ」は,データ収集に用いられる主要な技法や最近開発された技法について検討し,こうした技法を特徴づける方法論的アプローチがますます多様化している点について論じられている。第4部「データの解釈と分析,発表」では,データ収集の段階に入ってからの,データの分析の方法や適切な解釈の仕方について検討されている。また,発表・呈示という最後の重要な課題も取り上げられている。必ずしも順序立てなくても,どの部から読みはじめてもよい。
翻訳は読みやすく,質的研究の位置づけに戻って基本から学びたい方,すでに保健医療関係職者としてこれらの領域で働いておられる方々に役に立つだろう。また,人間の行動とその変容にかかわる学問,看護学のみならず教育学,心理学,社会学,人類学などの学問領域で学びつつある学生や大学院生にお薦めできる本である。
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