君はどんな医師になりたいのか
「主治医」を目指して
経験豊かな著者らが初期臨床研修への取り組み方を詳説
もっと見る
初期臨床研修が必須になった。著者らは,自分達が学生時代に悩み,体験したこと,そして医師となった今,こうすれば良かったと思うこと,さらには著者らが多くの医学生・研修医と卒後研修について話しあった経験をもとに,将来どうしようかと迷っている医学生・研修医のために,初期臨床研修の取り組み方について懇切に解説した。
- 販売終了
更新情報
-
更新情報はありません。
お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。
- 目次
- 書評
- 正誤表
目次
開く
序章 君はどんな医師になりたいのか~医学生の君たちヘ~
1 君はどんな医師になりたいのか
2 医学生の抱く夢と不安
3 “主治医”とは?
第1章 「主治医」たる一般医を目指して
1 専門医
2 一般医
3 専門医と一般医
4 「主治医」たる一般医の醍醐味
5 「主治医」を目指して
第2章 君が卒業前にできること~医学生の君たちへ~
1 医学生にとっての体験の重要性
2 体験を重視した臨床実習-教育カリキュラム改革への流れ
3 専門教育が始まる前の学生のための病院実習
4 基礎医学を学んでいる学生のための病院実習
5 臨床医学を学んでいる学生のための病院実習
第3章 初期臨床研修で何を学ぶのか
1 初期臨床研修で何を学べばよいのか
2 初期臨床研修における必要最小限の知識・技能・態度
3 臨床能力とは
4 臨床能力を身につけるために
第4章 臨床的見識
1 人間関係としての患者-医師関係
2 チーム医療
3 外来治療に際して
4 入院治療に際して
5 薬物治療に際して
6 カルテ記載
7 病状説明
8 悪性疾患と告知
9 緩和ケア
10 贈り物について
11 介護保険と在宅医療
12 エコノミカルな側面への配慮
13 外国籍の患者さんの診療に際して
14 evidence-based medicineについて
第5章 どこで,どんな初期研修をするか
1 あらゆる臨床場面を経験する
2 さまざまな疾患の経験を積み重ねる
3 研修施設の特徴-大学病院と一般病院
4 来るべき研修システム
文献
附録1 研修相談Q&A
附録2 学生実習の倫理的側面
附録3 若手医師の会の初期臨床研修に関する見解
あとがき
索引
若手医師の会研修問題委員会研修相談のご案内
1 君はどんな医師になりたいのか
2 医学生の抱く夢と不安
3 “主治医”とは?
第1章 「主治医」たる一般医を目指して
1 専門医
2 一般医
3 専門医と一般医
4 「主治医」たる一般医の醍醐味
5 「主治医」を目指して
第2章 君が卒業前にできること~医学生の君たちへ~
1 医学生にとっての体験の重要性
2 体験を重視した臨床実習-教育カリキュラム改革への流れ
3 専門教育が始まる前の学生のための病院実習
4 基礎医学を学んでいる学生のための病院実習
5 臨床医学を学んでいる学生のための病院実習
第3章 初期臨床研修で何を学ぶのか
1 初期臨床研修で何を学べばよいのか
2 初期臨床研修における必要最小限の知識・技能・態度
3 臨床能力とは
4 臨床能力を身につけるために
第4章 臨床的見識
1 人間関係としての患者-医師関係
2 チーム医療
3 外来治療に際して
4 入院治療に際して
5 薬物治療に際して
6 カルテ記載
7 病状説明
8 悪性疾患と告知
9 緩和ケア
10 贈り物について
11 介護保険と在宅医療
12 エコノミカルな側面への配慮
13 外国籍の患者さんの診療に際して
14 evidence-based medicineについて
第5章 どこで,どんな初期研修をするか
1 あらゆる臨床場面を経験する
2 さまざまな疾患の経験を積み重ねる
3 研修施設の特徴-大学病院と一般病院
4 来るべき研修システム
文献
附録1 研修相談Q&A
附録2 学生実習の倫理的側面
附録3 若手医師の会の初期臨床研修に関する見解
あとがき
索引
若手医師の会研修問題委員会研修相談のご案内
書評
開く
初期臨床研修の取り組み方について懇切に解説
書評者: 市村 公一 (東海大附属病院・研修医)
◆必修化される卒後臨床研修
卒後臨床研修必修化が,いよいよ2004(平成16)年度から導入されます。これにともない,「年間入院患者100人に対し1人の研修医,または病床10に対して1人の研修医」という制度上の制約と,昨年実施された厚生労働省のアンケートでも明らかな医学生側のプライマリ・ケア医,家庭医志向の高まりから,これまで大半の研修医を受け入れてきた大学病院から大量の研修医が市中の研修指定病院にシフトすることが予想されています。しかし,個々の医学生にとって肝腎なことは,「全体の流れはさておき,自分はどこで,どんな研修を受けるか」でしょう。今までは「外に出るといっても様子もよくわからないし,研修後の進路も不安だから」と母校の医局に入局するのが大勢だったものが,ストレート研修が禁止され,大学に残っても外に出てもスーパーローテーションで,プライマリ・ケアの基本的診療能力を身につけることが求められます。
「どこで,どんな研修を受けるか」―卒後臨床研修必修化にともなって研修先の選定という問題に直面し,医学生は従来よりも一層真剣に将来進むべき方向を考えることになるでしょう。それも必修化の大きな副次効果かも知れません。
その研修先の選定について,しかし,現状では各病院の研修内容が情報として十分に提供されておらず,また医学生も日本では参加型臨床実習がやっと導入されはじめたばかりで,卒前において臨床現場に主体的に関わることが少ないため,ともすれば有名研修病院にいくことがすなわちよい研修を受けることだといった短絡的な見方も少なくないように感じます。
◆医師としての1つの理想像(「主治医」)を提言
ここにご紹介するのは,『初期プライマリケア研修』,『学生のためのプライマリケア病院実習』(ともに医学書院)を著し,多くの医学生の研修相談にのってこられた「若手医師の会」の川越正平先生らが,これまでの経験をふまえて,全国の医学生・研修医に「主治医」という医師としての1つの理想像を提言するともに,卒前に体験すべきことを説き,初期臨床研修のあり方とそこで研修医が学ぶべきポイントをまとめられた本です。
ここで「主治医」とは,「人と人とのつながりを大切にし,疾患の種類によらず心身各部の診療の求めに応じ,継続して患者さんの生命と生活に責任を持ち続ける医師」と定義され,家庭医やプライマリ・ケア医にも共通し,かつその本質をなす概念であるとしています。私個人としては,「家庭医」,「プライマリ・ケア医」,「かかりつけ医」そしてこの「主治医」と,そのめざすところの大半はオーバーラップするであろうに,あえて別の旗印をかかげることには,広く市民の理解を得てその輪を拡げる上でマイナスだと考えるのですが,本書に説く「主治医」のあり方に強い共感を抱く医学生が少なくないことは,容易に想像されます。
本書は,第2章から第4章で卒前に臨床現場を経験することの重要性と卒後研修のポイント,そして臨床の場に出る者としてわきまえておくべき常識や心得を説き,第5章「どこで,どんな初期研修をするか」で大学病院と一般病院の特徴,その長所・短所と,きたるべき研修システムの理想像を説いています。プライマリ・ケア医志向か専門医志向かにかかわらず,これから臨床研修を受けるすべての医学生に,最低限この第5章だけは読んで心得ておいて欲しいと思います。研修先選びで後悔しないために。
よき臨床医をめざしての研修の手引き
書評者: 日野原 重明 (聖路加国際病院理事長)
『君はどんな医師になりたいのか』と題した川越,川畑,松岡,和田君などの若手医師による卒前,卒後のよき臨床医をめざしての研修の手引きが医学書院から発刊された。
◆熱意あふれる「若手医師の会」の足跡
私は,今から10年前の1994年に上記の同志たちが「若手医師の会」を作り,研修を受ける側から将来責任ある「主治医」になれる研修のあり方や,医学生時代からの将来よき主治医になるための心得について,忙しい日常の勤務の中に語り合い,また医学生にまじって後輩の学習のための手ほどきに熱中しているのを,時折指導しながら,その働き振りを見守ってきたのである。
私は,日本の医学教育や卒後研修のあり方が英,米,カナダの研修システムに比べて目立って遅れていることに注目し,これは,若手の医師のモデルになる先輩の姿の影が薄いことと、若者の目標に向かっての達成のエネルギーが欠如しているためだと私は思っていた。
この4名の同志は,試行錯誤の道を,情熱をもって進み,医学生や研修医が責任をとる主治医となり,全人的なプライマリ・ケアを修得する方法を体験的に証した。それがこの本である。
◆日本における家庭医を模索
日本には,本当の家庭医がいない。幅広い医学の能力を持ち,内科の主治医になるにはどのようにして認定医や専門医になれるのか,またどこでどんな研修が期待できるのかが具体的に本書に書かれている。
またここには初期臨床研修のエッセンスとチーム医療,カルテの記載,緩和ケア,介護保険と在宅医療などの実状がよく描かれている。
医学生や卒業直後の若い医師が特にどこで,どんな研修をするのかということに対しては,この本の中にはいきとどいたデータが示され,最後に付録として,研修相談Q&Aが30項目もあげられている。また学生実習の倫理的側面も述べられている。日本の医学生や研修医には,またとないよい指導書と思い,広く読まれることを期待したい。
医師の未来像の根幹を問う
書評者: 田中 雄二郎 (東医歯大病院教授・総合診療部)
◆誰にでもある医師像の自問自答
学生時代「どんな医師になりたいのか」と自問自答した覚えは,医師であれば誰にでもあるだろう。そして,その明確な解を見出せないまま医師になっていく場合が多いのではないだろうか。実は,私もそうであった。医師になったあともさまざまな転機があり,その都度この「どんな医師になりたいのか」の問いが再浮上してくるのである。
東京医科歯科大学では一昨年初めての試みとして,入学したばかりの学生を対象に「多様な医師像について」,「医学の未来像」をテーマにした連続講義を行なった。基礎医学研究,臨床医学研究,医療行政,国際医療など,さまざまな分野で活躍する人を講師に迎え,医師の多様な可能性を示すとともに医学の将来の姿を見せることが「どんな医師になりたいのか」について考える参考になればというねらいだった。このシリーズの最後の講師が,この本の著者の1人である和田忠志先生であった。先生はその講義においても,本書に述べられる「主治医」すなわち「継続して患者の生命と生活に責任を持ち続ける医師」のあり方について熱を込めて話され,多数の新入生がシリーズ終了後に回収した感想文に大きな感銘と共感を記していた。
そのような背景もあり,本書の上梓を心待ちにしていたわけであるが,実際に紐解くと,その内容は想像以上に幅広く奥深いものであった。
◆医学生,研修医の視線での現実的アドバイス
「どんな医師になりたいか」というこの問いかけに対し,「主治医」の尊さに関する明確なメッセージの提示はあるが,本書はそれに止まらず,読者が自らこの問いに対する解を見出すことができるように,若手医師4人から明日を担う医学生・研修医への多彩な提案が散りばめられている。「卒業前にやっておいたほうがよいことは何か」,「医師として患者の前に出るようになった折に求められることは何か」など,あたかも先輩が後輩に助言をするように書かれている。4人の著者はいずれも三十代であり,しかも日ごろから医学生,研修医との接触を心がけているだけのことはあって,医学生,研修医の視線で,誰もが抱く不安,ためらいなどを十分に踏まえた現実的なアドバイスとなっている。
「継続して患者の生命と生活に責任を持ち続ける」と心を決めても,その責任の重さに呆然とする日もあるかもしれない。医学は日進月歩であり,社会が医師に求めるものも時代により変化する。本人および周りの環境の変化もあるであろう。それゆえ,医学部入学後(あるいは医学部を志願する段階から)本書を手元におき,在学中,初期臨床研修,ひいてはその後にいたるまで「どんな医師になりたいか」を自らに問いかけつつ,折に触れて読んでいくのがよいのではないか,またそれに値する好著と思われる。
書評者: 市村 公一 (東海大附属病院・研修医)
◆必修化される卒後臨床研修
卒後臨床研修必修化が,いよいよ2004(平成16)年度から導入されます。これにともない,「年間入院患者100人に対し1人の研修医,または病床10に対して1人の研修医」という制度上の制約と,昨年実施された厚生労働省のアンケートでも明らかな医学生側のプライマリ・ケア医,家庭医志向の高まりから,これまで大半の研修医を受け入れてきた大学病院から大量の研修医が市中の研修指定病院にシフトすることが予想されています。しかし,個々の医学生にとって肝腎なことは,「全体の流れはさておき,自分はどこで,どんな研修を受けるか」でしょう。今までは「外に出るといっても様子もよくわからないし,研修後の進路も不安だから」と母校の医局に入局するのが大勢だったものが,ストレート研修が禁止され,大学に残っても外に出てもスーパーローテーションで,プライマリ・ケアの基本的診療能力を身につけることが求められます。
「どこで,どんな研修を受けるか」―卒後臨床研修必修化にともなって研修先の選定という問題に直面し,医学生は従来よりも一層真剣に将来進むべき方向を考えることになるでしょう。それも必修化の大きな副次効果かも知れません。
その研修先の選定について,しかし,現状では各病院の研修内容が情報として十分に提供されておらず,また医学生も日本では参加型臨床実習がやっと導入されはじめたばかりで,卒前において臨床現場に主体的に関わることが少ないため,ともすれば有名研修病院にいくことがすなわちよい研修を受けることだといった短絡的な見方も少なくないように感じます。
◆医師としての1つの理想像(「主治医」)を提言
ここにご紹介するのは,『初期プライマリケア研修』,『学生のためのプライマリケア病院実習』(ともに医学書院)を著し,多くの医学生の研修相談にのってこられた「若手医師の会」の川越正平先生らが,これまでの経験をふまえて,全国の医学生・研修医に「主治医」という医師としての1つの理想像を提言するともに,卒前に体験すべきことを説き,初期臨床研修のあり方とそこで研修医が学ぶべきポイントをまとめられた本です。
ここで「主治医」とは,「人と人とのつながりを大切にし,疾患の種類によらず心身各部の診療の求めに応じ,継続して患者さんの生命と生活に責任を持ち続ける医師」と定義され,家庭医やプライマリ・ケア医にも共通し,かつその本質をなす概念であるとしています。私個人としては,「家庭医」,「プライマリ・ケア医」,「かかりつけ医」そしてこの「主治医」と,そのめざすところの大半はオーバーラップするであろうに,あえて別の旗印をかかげることには,広く市民の理解を得てその輪を拡げる上でマイナスだと考えるのですが,本書に説く「主治医」のあり方に強い共感を抱く医学生が少なくないことは,容易に想像されます。
本書は,第2章から第4章で卒前に臨床現場を経験することの重要性と卒後研修のポイント,そして臨床の場に出る者としてわきまえておくべき常識や心得を説き,第5章「どこで,どんな初期研修をするか」で大学病院と一般病院の特徴,その長所・短所と,きたるべき研修システムの理想像を説いています。プライマリ・ケア医志向か専門医志向かにかかわらず,これから臨床研修を受けるすべての医学生に,最低限この第5章だけは読んで心得ておいて欲しいと思います。研修先選びで後悔しないために。
よき臨床医をめざしての研修の手引き
書評者: 日野原 重明 (聖路加国際病院理事長)
『君はどんな医師になりたいのか』と題した川越,川畑,松岡,和田君などの若手医師による卒前,卒後のよき臨床医をめざしての研修の手引きが医学書院から発刊された。
◆熱意あふれる「若手医師の会」の足跡
私は,今から10年前の1994年に上記の同志たちが「若手医師の会」を作り,研修を受ける側から将来責任ある「主治医」になれる研修のあり方や,医学生時代からの将来よき主治医になるための心得について,忙しい日常の勤務の中に語り合い,また医学生にまじって後輩の学習のための手ほどきに熱中しているのを,時折指導しながら,その働き振りを見守ってきたのである。
私は,日本の医学教育や卒後研修のあり方が英,米,カナダの研修システムに比べて目立って遅れていることに注目し,これは,若手の医師のモデルになる先輩の姿の影が薄いことと、若者の目標に向かっての達成のエネルギーが欠如しているためだと私は思っていた。
この4名の同志は,試行錯誤の道を,情熱をもって進み,医学生や研修医が責任をとる主治医となり,全人的なプライマリ・ケアを修得する方法を体験的に証した。それがこの本である。
◆日本における家庭医を模索
日本には,本当の家庭医がいない。幅広い医学の能力を持ち,内科の主治医になるにはどのようにして認定医や専門医になれるのか,またどこでどんな研修が期待できるのかが具体的に本書に書かれている。
またここには初期臨床研修のエッセンスとチーム医療,カルテの記載,緩和ケア,介護保険と在宅医療などの実状がよく描かれている。
医学生や卒業直後の若い医師が特にどこで,どんな研修をするのかということに対しては,この本の中にはいきとどいたデータが示され,最後に付録として,研修相談Q&Aが30項目もあげられている。また学生実習の倫理的側面も述べられている。日本の医学生や研修医には,またとないよい指導書と思い,広く読まれることを期待したい。
医師の未来像の根幹を問う
書評者: 田中 雄二郎 (東医歯大病院教授・総合診療部)
◆誰にでもある医師像の自問自答
学生時代「どんな医師になりたいのか」と自問自答した覚えは,医師であれば誰にでもあるだろう。そして,その明確な解を見出せないまま医師になっていく場合が多いのではないだろうか。実は,私もそうであった。医師になったあともさまざまな転機があり,その都度この「どんな医師になりたいのか」の問いが再浮上してくるのである。
東京医科歯科大学では一昨年初めての試みとして,入学したばかりの学生を対象に「多様な医師像について」,「医学の未来像」をテーマにした連続講義を行なった。基礎医学研究,臨床医学研究,医療行政,国際医療など,さまざまな分野で活躍する人を講師に迎え,医師の多様な可能性を示すとともに医学の将来の姿を見せることが「どんな医師になりたいのか」について考える参考になればというねらいだった。このシリーズの最後の講師が,この本の著者の1人である和田忠志先生であった。先生はその講義においても,本書に述べられる「主治医」すなわち「継続して患者の生命と生活に責任を持ち続ける医師」のあり方について熱を込めて話され,多数の新入生がシリーズ終了後に回収した感想文に大きな感銘と共感を記していた。
そのような背景もあり,本書の上梓を心待ちにしていたわけであるが,実際に紐解くと,その内容は想像以上に幅広く奥深いものであった。
◆医学生,研修医の視線での現実的アドバイス
「どんな医師になりたいか」というこの問いかけに対し,「主治医」の尊さに関する明確なメッセージの提示はあるが,本書はそれに止まらず,読者が自らこの問いに対する解を見出すことができるように,若手医師4人から明日を担う医学生・研修医への多彩な提案が散りばめられている。「卒業前にやっておいたほうがよいことは何か」,「医師として患者の前に出るようになった折に求められることは何か」など,あたかも先輩が後輩に助言をするように書かれている。4人の著者はいずれも三十代であり,しかも日ごろから医学生,研修医との接触を心がけているだけのことはあって,医学生,研修医の視線で,誰もが抱く不安,ためらいなどを十分に踏まえた現実的なアドバイスとなっている。
「継続して患者の生命と生活に責任を持ち続ける」と心を決めても,その責任の重さに呆然とする日もあるかもしれない。医学は日進月歩であり,社会が医師に求めるものも時代により変化する。本人および周りの環境の変化もあるであろう。それゆえ,医学部入学後(あるいは医学部を志願する段階から)本書を手元におき,在学中,初期臨床研修,ひいてはその後にいたるまで「どんな医師になりたいか」を自らに問いかけつつ,折に触れて読んでいくのがよいのではないか,またそれに値する好著と思われる。
正誤表
開く
本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。
更新情報
-
更新情報はありません。
お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。