SMARTなプレゼンでいこう!

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プレゼンテーションの目的は、内容を相手に「伝える」こと。本書は著者がこれまで作成してきた豊富なスライド例を提示しながら、「伝わる」スライドづくりの基本、場面・目的別のテクニック、プレゼン成功のコツを解説します。うまく発表ができるようになりたい、どうすればわかりやすい発表ができる?とお悩みの方に。「シンプルで」「見やすくて」「相手に」「楽に」「伝わる」プレゼンの秘訣をお教えします。
前田 圭介
発行 2019年02月判型:A5頁:146
ISBN 978-4-260-03872-0
定価 2,750円 (本体2,500円+税)

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INTRODUCTION

 本書を手にとっていただきありがとうございます.おそらく,プレゼンテーションの機会があり,できるだけ良いプレゼンテーションをしたいという思いを持っている方ではないかとお見受けします.または,先ほど聴講した発表や講演がよくわからなかった,プレゼンテーションに問題があるのではないか? と感じた方なのかもしれません.本書はそういった方を対象にしています.

 「シンプルで」「見やすくて」「相手に」「楽に」「伝わる」ことを重視してスライドをつくり込めば,発表内容をしっかりと伝えることができるプレゼンテーションに仕上がります.
S:シンプルで
M:見やすくて
A:相手に
R:楽に
T:伝わる
 SMARTなプレゼンテーションの秘訣を本書には盛り込みました.

 「わかりやすい発表でとても良かったです」と聴衆の方に言ってもらえるように,プレゼンテーション技術を磨きましょう.「何が言いたいのかわからなかった」なんて思われないように,あなたのプレゼンテーションをサポートさせていただきたいと思っています.

SMARTなプレゼンをする上で大切なこと
伝えることが肝心
 プレゼンテーションの目的は,伝えたい内容を「発表する」ことではなく,伝えたい内容を「伝えること」です.素晴らしい研究を立案し,実施し,結果を出せたとしても,発表の場でその素晴らしさが聴衆に伝わらなかったら,研究協力者・指導者の労力や被験者の生のデータを半分無駄にしたようなものです.あなたのプレゼンテーションは「伝えること」が目的になっていますか? 自分の知識や研究成果を並べて「発表する」ことで自己満足していませんか?
 プレゼンテーションの聴衆は,「何か」を得たいと思っている人です.新しい知識,考え方,手法など発表者が発信する「何か」を得ることで,自身の知識を補強したり,自身の考え方や手法との違いを吟味したりします.発表者が伝わらないプレゼンテーションをしたら,聴衆は落胆するでしょう.そのプレゼンテーションを聞いてよかった,満足した,勉強になったと思ってもらうには,「伝えること」を意識したSMARTなプレゼンテーションが不可欠なのです.

プレゼンテーションには型がある
 プレゼンテーションには大きく分けて研究発表型と講演型の2種類があります.研究成果を発表する場で講演型のプレゼンテーションをしてしまうような大失態は避けなければなりません.それぞれ,押さえておくべき型がありますので,本書で解説します.
 あなたが発表を予定している内容が,研究発表なのか講演なのかをまずは考えてください.研究発表は,主にオリジナルデータを収集して分析し,学会や研究会で発表するものです.一般演題や公募型上級演題にあたります.一方,講演は持論や既報の総まとめをする発表です.レクチャー(講義)という側面も持っています.学会参加で得た知識を職場に持ち帰り,伝達する場合も講演型の発表です.SMARTなプレゼンテーションの第一歩は,プレゼンテーションの型を見分けることです.

本書の構成とねらい
 本書は4つのパートで構成されています.PART 1は,「伝わる」スライドづくりの基本を書きました.どのようにしてシンプルで見やすいスライドをつくればいいのか,具体例を示しながら簡潔にまとめています.PART 2には,発表場面別のテクニックを書きました.研究発表型と講演型でそれぞれどのような点に注意してストーリーを組み立てるのかわかっていただきたいと思っています.PART 3は,プレゼンテーション成功のコツに触れています.聴衆の心をつかむ方法や発表者の緊張をコントロールするノウハウを盛り込んでいます.PART 4では,私が実際に使ったスライドを実例集として載せています.どのような意図でどのようなことに配慮してそのスライドを作ったのか解説しました.
 本書を通して約140点のスライド例を提示しています.すべて,SMARTなプレゼンテーションで使えるスライドサンプルだと思ってください.本書をパラパラめくるだけで,あなたが作ろうとしている新しいスライドのアイデアが生まれてくるかもしれません.

 2019年1月
 前田 圭介

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INTRODUCTION

PART 1 「伝わる」スライドづくりの基本
  1 情報はシンプル・ダイレクトに
  2 テンプレートを使わない
  3 基本は4:3
  4 白背景は使いやすい
  5 配色が印象を左右する
  6 フォントの選び方
  7 ガイドを使う
  8 コンテンツは上目に作る
  9 タイトルスライドに入魂
  10 伝えたいことをシンプルに
  11 キースライドはインパクト重視
  12 スペースを制する者がプレゼンを制する
  13 アニメーションはシンプルに
  14 写真上に文字をおく時のテクニック
  15 行間を自在にあやつる
  16 加工のワザにおぼれない

PART 2 発表場面別 使える! テクニック
 研究発表で使える! テクニック
  17 研究の基本の型,「PECO」
  18 「新規性」を見せるケースレポート
  19 活動報告は「独自性」にニーズあり
  20 何がわかったのかを見せる
  21 研究発表はシンプルにつくる
  22 グラフの見せ方
  23 テーブルの見せ方
  24 幅のある結果の見せ方
 講演やミニレクチャーで使える! テクニック
  25 アジェンダを見せる
  26 伝わるストーリーは三段構え
  27 キーワードでバトンリレー
  28 あえてはみ出してみる
  29 事例でさらにダメ押し
  30 根拠論文の引用
  31 パワポで行う画像加工
  32 発表者ツールを使う
 ポスター発表で使える! テクニック
  33 ポスターづくりの基本技
  34 レイアウトに注力する
  35 結果の解釈を書く

PART 3 プレゼンテーション成功のコツ
  1 聴き手の心をつかむ技術
  2 緊張をコントロールする

PART 4 スライドデザイン実例集
 ねらい別・スライドデザイン
  1 言葉を強調したい
  2 会話文を出したい
  3 流れを見せたい
  4 複数の項目を対比させたい
  5 情報を印象でドレスアップしたい
  6 スライドではなく語りで攻めたい

COLUMN
 ・素材の著作権に注意
 ・動画ファイルに要注意
 ・研究発表とレクチャーでは目的が異なる
 ・イラストはなくてもよい
 ・あえて見せない
 ・強いインパクトの画像は少ないほうがよい

INDEX

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プレゼンのワザから研究を考える(雑誌『看護教育』より)
書評者: 林 千冬 (神戸市看護大学教授)
 本書は“プレゼンの本”というより、“プレゼンのためのスライドづくりの本”である。著者の前田圭介氏は、愛知医科大学大学院の講師。高齢者の摂食嚥下障害、栄養障害、チーム医療を専門に研究・教育に従事されている。紹介されるスライド例は、摂食嚥下や栄養障害にまつわる内容が多いので、看護職者にもかなり馴染みやすいだろう。

 本書全体は4つのPartsに分かれている。まず、Part1「『伝わる』スライドづくりの基本」で、スライドデザインのテクニックとして有益なノウハウの大部分が紹介される。「情報はシンプル・ダイレクトに」「アニメーションはシンプルに」「加工のワザにおぼれない」といったアドバイスには、もともとスライド作りのワザなどもっていない評者も、わが意を得たりとニンマリ。けれど、「フォントの選び方」「コンテンツは上目に作る」「行間を自在にあやつる」あたりになると、あわててPCを起動して、わがスライドのダメさ加減を確認することになる。

 続くPart2「発表場面別 使える! テクニック」では、研究報告、ケースレポート、活動報告という種類別に、プレゼンの目的と型の違いが示される。看護学でいえば、後者2つのミックスが「実践報告」になるのだろう。順に読み進めていくと、実践報告のプレゼンの押さえどころが、研究報告のそれとの対比でよりクリアになっていく。

 惜しむらくは、著者の実例は医学研究の、しかも量的研究のものが多い。それゆえ、看護学で少なくない質的研究については触れられていない。また、ポスターに関しては「3列に段組みする」「抄録を最初に載せる」など、目からウロコが落ちかけたまま、いまひとつ解説に物足りなさが残った。この2点については改訂版に期待したい。

 Part3は「プレゼンテーション成功のコツ」。ここではプレゼンターに目を向けて、いかなる語りで聴き手の心をつかむか、自身の緊張をどうコントロールするかという、あたたかくも実践的なアドバイスがなされる。最後のPart4では「スライドデザイン実例集」として、「言葉を強調したい」「会話文を出したい」「流れを見せたい」などのねらい別に、著者自身が作成したスライドの実例を示しながら解説がなされる。

 以上のように、本書はスライド作りとプレゼンのワザを、豊富な実例をもとに明解に解説した書である。他方、「素材の著作権に注意」というコラムや、考察・結論のスライドに何を書くかといった解説からは、研究倫理や研究そのものの意義を改めて深く考えさせられた。

 ワザに関する鮮やかな解説のその底に、実は著者は別の網を仕掛けていたのかもしれない。それを確認するためにも、ぜひご一読を。

(『看護教育』2019年7月号掲載)

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