医学界新聞

2017.09.25



第43回日本看護研究学会開催


 第43回日本看護研究学会学術集会が8月29~30日,山口桂子大会長(日本福祉大)のもと,「原点回帰――求められる看護研究の成果と教育への還元」をテーマに東海市芸術劇場,他(愛知県東海市)にて開催された。本大会ではテーマに沿って,「何のために研究するのか?」「研究成果を教育や現場にどう還元するか?」という原点に立ち返りつつ,診療報酬上の評価に向けたエビデンス構築など時代の流れをとらえる多様な演題が用意された。

関心がますます高まるクリティークとシステマティックレビュー

研究方法セミナーの様子
 今年は新たに,「研究方法セミナー」が2つ設けられた。「研究論文のクリティークの仕方とコツ」では,かねて論文のクリティークの重要性を発信してきた牧本清子氏(甲南女子大)が,クリティークの高度なプロセスをわかりやすく提示。もう1つの「看護の臨床現場における量的研究へのアプローチ」では気鋭の研究者・加藤憲司氏(神戸市看護大)が登壇し,研究に不可欠な量的研究のイロハを具体的な語り口で解説し,いずれも多くの参加者を集めた。

 EBPという大きな潮流の中,研究の今後の方向性を示すテーマに,クリティークと並んでシステマティックレビュー(SR)がある。学会特別企画では,2015年の第41回学術集会から3年続けて今野理恵氏(関西国際大)が登壇し,「質的研究のシステマティックレビューの実際」について講演を行った。2015年にも触れられた質的研究のSRが,現在エビデンスとしての重要性を高めつつあることを,具体的なSRの方法論とともに示した。また,シンポジウム「エビデンスをもってケアにつなげるための教育」では,臨床薬理学,感染予防,人間工学の視点から,各領域のいま,これからの動きとともに,エビデンスとしての最新の成果が発表された。人間工学の立場から榎原毅氏(名市大大学院)は,近年看護職のシフトワークの研究が増えていることに触れ,交代制勤務と看護職のがん罹患との関係に関する研究のエビデンスを紹介。研究に基づく労働管理や安全管理の重要性とともに,看護学と人間工学との親和性について述べて口演を閉じた。

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