第39回日本POS医療学会開催
2017.09.11
第39回日本POS医療学会開催
岩﨑榮氏 |
POS(Problem Oriented System)は,患者の持つ健康上の問題を明確にすることで全人的なケアをめざすための方法論であり,診療記録,監査,修正の3段階からなる。POSの提唱者であるL. L. Weed氏が今年6月に,さらに,日本におけるPOSの伝道師である日野原重明氏が今年7月に逝去したことを受け,二人をしのぶ大会となった。
POSの精神の伝承とさらなる発展を決意
渡邉大会長の開会あいさつに引き続き登壇したあべ俊子衆議院議員は,「看護記録の標準化について」と題して特別講演を行った。現場の看護師が,7対1看護や看護必要度算定のための記録,さらには看護診断の特定のためにどれほど多大な時間を費やし疲弊しているかに警鐘を鳴らした。また看護師が自らの専門性を追究することで記録が肥大化する現状や,それを固定化している電子カルテの弊害にも言及。患者をケアするという本来の仕事に立ち返るため,今こそ,POSの本来の精神である「患者の問題を共有するための記録」に立ち返り,1患者1カルテを実行し,「看護計画」を「患者計画」とするよう訴えた。
特別講演「日本POS医療学会の歴史」では,岩﨑榮氏(NPO法人卒後臨床研修評価機構)が,長年にわたり同学会の会頭を務めた日野原氏の功績を振り返った。Weed氏により提唱されたPOSは,その意義を見いだしたJ. W. Hurst氏により全米に広まった。米国留学中にHurst氏に出会った日野原氏は,『POS――医療と医学教育の革新のための新しいシステム』(医学書院,1973年)を出版して日本での普及に尽力した。日野原氏は生前,「POSとは,常に全人的ケアをめざして,患者のために,患者の側にあって,患者と共に,サイエンスを身につけた技術をもって,いのちの主体である患者に人間的なケアを実践するシステム」であると語っていたという。岩﨑氏は,こうしたPOSの精神の伝承とさらなる発展を呼び掛けた。
なお,日本POS医療学会は今大会をもって発展的に解消されることが理事会にて決定された。
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