高齢化時代に対応した新肺炎診療ガイドライン
2017.05.22
高齢化時代に対応した新肺炎診療ガイドライン
第57回日本呼吸器学会の話題より
日本呼吸器学会は成人肺炎診療ガイドライン2017(以下,新ガイドライン)を発表した。第57回日本呼吸器学会(4月21~23日,東京国際フォーラム)では,特別講演「新しい肺炎診療ガイドラインとは」を開催。新ガイドライン作成委員の迎寛氏(長崎大)が作成の経緯や特徴を述べた。
高齢者中心の医療・介護関連肺炎,院内肺炎にどう対応するか
迎寛氏 |
従来のガイドラインではCAP,NHCAP,HAPを問わず重症度に基づく治療方針決定が基本だった。しかし,疾患末期・老衰状態の高齢患者への抗菌薬の使用はQOLの低下をもたらす恐れがある。加えて,抗菌薬の効果よりも寝たきり度や栄養状態など患者の状態が予後をより大きく左右する,誤嚥性肺炎では死亡する危険度が高い,といった報告もあり,高齢患者が中心のNHCAP・HAPには,CAPとは異なる対応が必要だという。
新ガイドラインの診療フローチャートでは肺炎患者をCAPと,NHCAP・HAPの二つに分類。CAPについては,敗血症の有無や重症度に応じて治療の場と使用すべき治療薬を推奨している。一方,NHCAP・HAPについては,易反復性誤嚥性肺炎のリスクが高い,または疾患末期や老衰の場合には患者の意志やQOLを尊重した治療・ケアを選択するよう定めた。
最後に迎氏は,新ガイドライン作成にあたってシステマティックレビューを担当した経験から,成人肺炎診療に関する国内のデータが乏しいことを指摘。新ガイドラインの検証と次期改訂に向けて日本発のエビデンスの創出が望まれるとの見解を示した。
いま話題の記事
-
人工呼吸器の使いかた(2) 初期設定と人工呼吸器モード(大野博司)
連載 2010.11.08
-
忙しい研修医のためのAIツールを活用したタイパ・コスパ重視の文献検索・管理法
寄稿 2023.09.11
-
連載 2010.09.06
-
事例で学ぶくすりの落とし穴
[第7回] 薬物血中濃度モニタリングのタイミング連載 2021.01.25
-
寄稿 2016.03.07
最新の記事
-
医学界新聞プラス
[第3回]人工骨頭術後ステム周囲骨折
『クリニカル・クエスチョンで考える外傷整形外科ケーススタディ』より連載 2024.04.19
-
医学界新聞プラス
[第2回]心理社会的プログラムを分類してみましょう
『心理社会的プログラムガイドブック』より連載 2024.04.19
-
医学界新聞プラス
[第5回]事例とエコー画像から病態を考えてみよう「腹部」
『フィジカルアセスメントに活かす 看護のためのはじめてのエコー』より連載 2024.04.12
-
医学界新聞プラス
[第3回]学会でのコミュニケーションを通して自分を売り込む!
『レジデントのためのビジネススキル・マナー――医師として成功の一歩を踏み出す仕事術55』より連載 2024.04.12
-
医学界新聞プラス
[第1回]心理社会的プログラムと精神障害リハビリテーションはどこが違うのでしょうか
『心理社会的プログラムガイドブック』より連載 2024.04.12
開く
医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。