医学界新聞

2016.09.12

 シミュレーションで臨床能力を競う
「医学生シムリンピックおおさか2016」開催


写真 競技中の模様
1大学3人のチームで救急蘇生のシミュレーションに臨む。左奥は競技の評価者(写真提供:医学生シムリンピックおおさか2016実行委員会)
 「医学生シムリンピックおおさか2016」(主催=日本医学教育学会)が7月31日,阪医大(大阪府高槻市)を会場に開催された。医学生シムリンピックは,シミュレーション教育の理解と普及を図ることと医学生の臨床能力を客観的に評価するシステムを確立することを目的に,日本医学教育学会大会の翌日に開催されている。3回目を迎えた今回は,全国の医学部から同一大学所属の5,6年生3人一組のチームを募集し,昨年の12組を上回る16組が参加。さらに,チームが取り組む課題競技も6から8に増え,さまざまな形でスケールアップした大会となった。

 医学生チームが挑んだのは,全国の医学部教員が連携して作成した臨床シナリオ課題「腹部診療」「循環器診療」「医療面接と鑑別診断」「救急蘇生」「医療面接と基本手技」「腎・泌尿器診療」「呼吸器診療」「救急患者対応」の8種目。「救急蘇生」のように,チーム3人全員で取り組むものから,「医療面接と基本手技」のようにチームの代表者1人が取り組むものまで,形式はさまざまだ。8つに分けられた部屋には,シミュレータや模擬患者,そして競技の評価者が待機し,アナウンスにより入場したチームは10分間で競技をクリアすることが求められる。そのシチュエーションには工夫が凝らされ,模擬患者がリアルな反応を返すのはもちろん,対象がシミュレータであっても,評価者が「患者役」として処置に反応したり痛みを訴えたりと,絶妙な臨場感を醸し出していた。臨床データの解釈や推論までの数々の難題を突破し,今回金メダルを獲得したのは,琉球大の「やっけーいきがーs」だった。

 楽しくかつ真摯に課題に向き合う学生たちの姿勢はもちろん,課題作成者や評価者の熱心な取り組みで盛り上がったシムリンピックは,学習リソースを活用してリアリティを高めるさまざまな工夫によって,臨床学習に大きな役割を果たすことを示した。第4回大会は来年8月に札幌市での開催が検討されている。

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