医学界新聞

インタビュー

2016.07.25



【interview】

日本看護協会看護研修学校・神戸研修センター
認定看護師対象「特定行為研修」開始

洪 愛子(日本看護協会常任理事)氏に聞く


 2015年10月に「特定行為に係る看護師の研修制度」が開始された。これを受け,日本看護協会(以下,協会)は同年より認定看護師(以下,CN)を対象とした特定行為研修(以下,研修)を開始した。2017~19年は,全21分野のCNを対象に,同会看護研修学校と神戸研修センターで研修を実施する。なお,この3年間は,同施設でのCN教育課程は休講するという。


――まず,協会での研修の対象者を,CNに限定した理由を教えてください。

 看護の基盤と特化した専門性が確立している方に研修を受けてほしいと考えたからです。「特定行為に係る看護師の研修制度」という名前からは,「特定行為を行う」ための研修ということしか伝わりませんが,本制度の目的は「研修で習得したアセスメント力や判断力を発揮し,必要な時には特定行為を行い,地域・社会・患者さんのニーズに応える看護を実現すること」です。CNであれば,現場の課題やニーズをよくわかっていますし,各専門分野での実績もあるので,看護師が特定行為を行えることの意義や成果も検証しやすいです。また,CNや専門看護師(以下,CNS)ができたときと同様に,研修を受けさえすれば,いきなり現場で受け入れてもらえるわけではないと予想されます。活動基盤を自ら築いてきたCNとしての経験を生かせば,研修を受けた看護師としての環境作りもしやすいのではないかと考えています。

――協会でのCN教育課程休講により,新規育成可能数がかなり減少する分野もあります。

 本会以外の教育の場も広がってきており,新規機関からの申請もいくつかあるので,受講希望者数に対する定員に大きな影響はない見込みです。教育機関数がゼロになる分野は,新たな機関に開講の打診をしています。定員割れにより休講となった機関もあるので,e-ラーニングの活用など教育方法を見直す機会にもなると思っています。

――研修の際,CN教育課程で履修済みの科目で免除される科目はありますか。

 CNのカリキュラムも分野ごとに異なるので,厳密に履修状況を確認するのは難しいです。共通科目のうち,臨床薬理学,医療安全学,特定行為実践の教育内容の一部について免除する予定です。また,受講しやすいように,一部e-ラーニングでの受講も可能にします。

――対象となるCNは1万5000人以上いるとはいえ,募集定数100人は多い印象です。

 試行事業実施時,「制度ができたら研修を受けたい,受けさせたい」と言う看護師や管理者も多かったので,興味のある方は少なくないと期待しています。制度開始前,病院・施設によっては特定行為に相当する医行為が行われてきた実態がわずかながらありました。これまではグレーゾーンだったので,安心・安全という面では悩みながらも実施していたのではないでしょうか。これからは,研修を受けることで,安心・安全を担保しながら,より良い医療・看護を患者さんに提供できるようになります。研修を受けた看護師がどのように活躍するかは,組織の管理者や周囲の方々にかかっています。CN,CNS,看護管理者たちには,本人が研修を受ける受けないにかかわらず,この制度を活用し,活躍の場を広げる手助けをしてほしいと期待しています。

(了)

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