第33回日本看護科学学会開催
2014.01.27
第33回日本看護科学学会開催
第33回日本看護科学学会(会長=大阪医大・林優子氏)が,2013年12月6―7日,大阪国際会議場(大阪市)にて,「看護の力で社会が変わる」をテーマに開催された。本紙では,文科省の助成を受けた看護系大学院の人材育成プログラムの報告から,社会を変える看護人材を育成する大学院教育の在り方について議論したシンポジウム「社会に発信できる人材育成――未来をみすえた看護系大学院のあり方」(座長=神戸市看護大・鈴木志津枝氏)のもようを紹介する。
世界で,地域で,チームで,活躍する看護人材を大学院で育成する
シンポジウムのもよう |
沖縄県立看護大の神里みどり氏は,39の有人離島を有する県独自の教育プログラムを紹介。多くの離島で医療者が不足している現状に対し,同大では島民の生活に根ざした看護を提供する島嶼看護専門能力を育成する「島嶼看護の高度実践指導者の育成プログラム」を08年度より導入した。宮古島で現地指導を受ける学生が沖縄本島の授業を遠隔で受けられる環境や,国内外の島々での実習が特徴だ。11年度からは「島嶼における『包括的専門看護師』の養成プログラム」として新たに文科省の助成を受け,「離島医療支援看護師(しまナース)」の育成を続けているという。氏は,離島地区の保健医療福祉の活性化はもちろん,島嶼看護学の確立も図りたいと展望を語った。
「医療の高度化や患者ニーズの多様化が進むこれからの医療において,多職種チームの推進は不可欠」と指摘したのは,聖路加看護大の亀井智子氏。同大では,患者中心のチーム医療を主導する高度看護実践家の育成をめざし,「チームビルディング力育成プログラム」を導入している。チームでさまざまな課題に取り組む演習を通じて,チーム内でのコミュニケーションや自身の役割を認識するスキル等を習得。事後評価では,参加者の「チームへの貢献・自信」が向上し「独断性」が減少するなど,チーム作りに対する意識に有意な変化が生じたという。この結果を受け,氏は,今後は学生がプログラムで得た力を臨床で発揮できるよう長期的なフォローが必要とまとめた。
以上の3氏の報告に対して鈴木氏は,魅力あるプログラムの導入は各大学院の強みにもなり得るとし,大学院での人材育成プログラムの導入に大きな期待を寄せた。
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