医学界新聞

2013.11.11

『驚きの介護民俗学』第2回日本医学ジャーナリスト協会賞受賞


六車由実氏
 『驚きの介護民俗学』(医学書院)が第2回日本医学ジャーナリスト協会賞・書籍部門の大賞を受賞し,贈呈式が10月22日,日本記者クラブ(東京都千代田区)にて開催された。同賞は2012年,同協会設立25周年を記念し,質の高い医学・医療ジャーナリズムを日本に根付かせることを目的に創設され,「オリジナリティ」「社会へのインパクト」「科学性」を選考基準に,新聞部門,書籍部門,映像部門のそれぞれに大賞を贈り,顕彰する。

 『驚きの介護民俗学』は,《シリーズ ケアをひらく》の一冊で,大学准教授から老人ホームの介護職員に転職した民俗学研究者の六車由実氏が,民俗学の手法である「聞き書き」を用いて介護の広がりや可能性についてまとめたもの。同協会が発表した受賞理由では「本書は,認知症の人を"支援する対象"とだけ見ていては到達できない事実を明らかにした。増えていく認知症に対応するためには,今まで認知症にかかわっていなかった分野からもヒントを得ていく必要性を示唆している」と評された。

 表彰式の後,受賞者らによるプレゼンテーションのなかで氏は,「聞き書きを通して,利用者のこれまでの人生や経験が自分自身に継承され,さらにそれを家族や若い世代に受け継いでいく"記憶の継承"こそが,介護現場での敬意を持ったかかわり方になるのではないかと考えた」と執筆に至る経緯を語った。また,現在,デイサービスの施設に勤務しながら取り組んでいる聞き書きの様子について,映像を用いて紹介し,会場の注目を集めた。

 「さまざまな人との幸せな出会いによって,私の予想をはるかに超えて介護民俗学の意義が,広く伝わっていったように思う。支えてくださった多くの方々に感謝したい」と結んだ。

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