シンポジウム「『卒後臨床研修病院における教育方略イノベーション』を考える」開催
2013.09.30
卒後臨床研修の質をどう評価するか
パネルディスカッションのもよう |
必修化10年目を迎えた卒後臨床研修には厚労省の定める「臨床研修の到達目標」が存在するが,到達度をどう評価するかは各研修施設に一任されている状況だ。そこで同機構では,到達目標に即した客観的評価の統一をめざし,米国内科学会の「Internal Medicine In-Training Exam」などを参考に「基本的臨床能力評価試験」を作成。2011年度より卒後1-2年目研修医向けに実施し,今春の第2回試験は約1000人が受験している。
初期研修医教育にどのような工夫が必要か
シンポジウムでは,まず実行委員長の徳田安春氏(水戸協同病院)が第2回試験を総括するとともに,「到達目標」の具体化と,客観的評価の必要性を改めて強調した。
続いて,試験成績上位の施設より5人の演者が登壇。ER重点型でwalk-in外来を重視し,どの科にローテートしても無理なくERにかかわれる体制を構築している熊本赤十字病院(加島雅之氏),日本で初めて設置された総合病棟にて,研修医の主治医制や屋根瓦式の教育制度で問題解決能力を磨く天理よろづ相談所病院(八田和大氏)のほか,八戸市立市民病院(今明秀氏),横浜労災病院(平澤晃氏),湘南鎌倉総合病院(渡部和巨氏)の,それぞれ特色ある研修プログラムが紹介された。
その後,本郷偉元氏(武蔵野赤十字病院)による日米の臨床教育比較・解説に続き,パネルディスカッション(司会=徳田氏)にて上記5演者に本郷氏,塩尻俊明氏(国保旭中央病院)も加わり,研修医教育の在り方について会場も交え議論が展開された。研修で重視される“多くの症例を経験できる”ことについて「こなすだけにならないか?」という懸念には,「現場での即時のフィードバック」「救急外来受診後,帰宅させた患者の経過のチェック」「毎朝のカンファレンスでのプレゼンテーション」など,各施設から学びにつなげる工夫が示された。また「必修化後,研修のプラットフォームとなっている総合診療科が,専門科とうまく協働して教育を進めるには」という問いには「育てた研修医が各科で後期研修を行い,パイプができる」「患者を積極的に引き受け,“入口”としての存在感を高める」「協働には院長のリーダーシップが重要」などの声が聞かれた。表彰制度など学びのモチベーション維持にも話は及び,その一環としての「基本的臨床能力評価試験」の活用にも期待が寄せられた。
※第2回試験の総括はJAMEPのHPより閲覧可能。第3回試験は2014年2月1日,または2日の実施を予定している(問い合わせはinfo@jamep.or.jpまで)。
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