第15回日本災害看護学会開催
2013.09.23
第15回日本災害看護学会開催
第15回日本災害看護学会が8月22-23日,中村惠子大会長(札市大)のもと「災害看護――その多様性への挑戦」をメインテーマに,札幌コンベンションセンター(札幌市)にて開催された。本紙では,日本看護系学会協議会との共催シンポジウム「災害支援の継続的な取り組みと今後の課題」(座長=聖路加看護大/日本看護系学会協議会・麻原きよみ氏,静岡県看護協会/日本災害看護学会・望月律子氏)のもようを報告する。
◆継続支援に向け看護系学会の連携強化を
シンポジウム「災害支援の継続的な取り組みと今後の課題」より |
日本在宅ケア学会の立場から登壇した島内節氏(広島文化学園大)は,東日本大震災後に宮城県石巻市にて学会が主催した在宅看護研修について報告した。同研修事業の研修内容・日程に関しては,現地の看護職ニーズに基づきプログラムを立案。計4日間にわたる講習を実施し,病院,訪問看護ステーション,保健センターらの看護師が,対象者のニーズ把握や社会資源活用方法,診療報酬・介護報酬の取り扱いについて学んだという。
日本創傷・オストミー・失禁管理学会では,東日本大震災の発災5日目に対策委員会を設置。会員の安否確認を行うとともに,WOC領域に関する情報提供を始めた。学会ホームページ上に設置した掲示板では,支援活動を行った看護師が被災地の状況や必要な医療材料・物資の情報を載せ,次の支援者への伝達の役割を果たした。また,被災各県に「キーパーソンWOCナース」を設定し,物資の送付先を一元化した。演者の溝上祐子氏(日看協研修学校認定看護師教育課程)はこれを,「個人の声に複数の団体が応えることで結果的に支援物資が余ってしまう」という過去の震災の教訓を活かしたものであると説明した。
日本災害看護学会の立場から最後に登壇した吉田俊子氏(宮城大)は,「東日本大震災看護プロジェクト」における継続支援活動を報告。仮設住宅で暮らす高齢者の健康支援・交流支援,看護職対象の語りの場の開催などの取り組みを紹介するとともに,「被災地では引き続き多くの健康課題があり,専門的な看護支援がますます重要である」と語った。
討論では,災害支援における看護系学会の連携強化や,調整役として看護系学会協議会の果たすべき役割が確認された。
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