2012年度保助看国家試験合格発表
2013.04.22
2012年度保助看国家試験合格発表
看護師国家試験合格者は14年ぶり5万人超える
厚労省は3月25日,2012年度の第99回保健師国家試験,第96回助産師国家試験および第102回看護師国家試験の合格者を発表した。
写真左 受験者が詰め掛けた合格発表会場/写真右 歓喜の笑顔を見せる合格者ら=いずれも東京・厚労省にて |
合格率は保健師96.0%,助産師98.1%,看護師88.8%で,保健師,助産師は前年を上回る一方,看護師は下回った。看護師国家試験合格者は第88回以来14年ぶりに5万人を超えた。
「設問および選択肢が不十分」という理由により採点対象から除外された問題は保健師国家試験で1問あった。学校区分による合格者状況をこちらに示す。経済連携協定(EPA)により来日したインドネシア人看護師候補者からは20人,フィリピン人看護師候補者からは10人の合格者が生まれ,これまでに合格した候補者数は計96人となった(関連記事)。
合格発表会場のひとつとなった東京・厚労省講堂には受験者やその家族,学校関係者,病院関係者らが集まった。14時の発表時間を迎えると待ちかねた受験者らが一斉に合格者の受験番号が記された資料と自分の受験番号を照合した。会場には歓声があふれ,友人と互いに手を取り合って合格の喜びを分かち合ったり,記念に写真を撮ったりする姿があちこちでみられた。
看護師国家試験合格者に試験の内容について尋ねると,「状況設定問題の言い回しが難しいところもあったが,勉強の成果が出た」という声が聞かれた。また,看護学校の教員は,「過去問題をしっかり解くことが一番の対策になったのでは」と分析。今年から変更となった計算問題の非選択式形式の措置については,「オーソドックスな問題で,思っていたよりも易しかった」と話していた。
表 保助看国試合格者数・合格率の推移 |
第102回看護師国家試験の出題傾向分析
斉藤 由美(東京アカデミー東京校 講師) ◆必修問題について 全体に難化したと言われている必修問題だが,基礎看護学分野の「爪の切り方」を図示した問題のように,実習の知識がものを言う問題が増加している。この傾向は今後も続くだろう。 一方で,今まで出題されていなかった「ヘルシンキ宣言」や「炭坑従事者に起こりやすい職業病」の問題のように,保健師国家試験で問われてきた公衆衛生の問題が出題されており,幅広い知識の整理が求められる。 ◆一般問題および状況設定問題について 一般問題では,「Aさんの家族への対応で最も適切なのはどれか」や「入院中の患者における中心静脈栄養の管理で正しいのはどれか」などの臨床現場を想定した症例形式の状況設定問題が増加している。近年の医療系国試全般に言えることだが,実習でしか扱わないテーマや,実習を通じて得られる知識を問う傾向にある。よって,「国試対策には実習も大切である」と学生に認識させることが必要になるだろう。 また,新たに導入された計算問題は,「BMI指数」と「酸素ボンベ使用時間」の計2問が出題され,予想通りの問題数と内容だった。今後も問題数は2-3問出題され,内容としては現場でよく使用する常識的なものであると予測される。日ごろから,計算能力の向上に努めることが課題となるだろう。 状況設定問題では,予告のあった1状況2連問(現行は1状況3連問)の出題はなかったが,次年度より2連問の出題形式の導入が予想され,それにより,症例数が現在の10症例から12-13症例に増加すると考えられる。全出題数には変化がないため,試験時間の変更はないが,問題文の行数が増加するため,読解のスピードと正確性がより求められるだろう。 全体を通してほとんどの問題が「実際の現場に立ったとき,どのように対応するのか」という,医療人としての常識を問うている。最高学年の国試対策学習で対策を講じるのではなく,低学年から医療人としての常識や振る舞いを教え,身につけさせる教育が必要だと言える。常に自分の行動に疑問を持ち,患者さんのためにどうしたら良いのかを考える臨床現場重視の問題は,これからも増加するであろう。 |
2012年度保助看国試の合格基準 | |
|
■2012年度保助看国家試験合格者状況
第99回保健師国家試験合格状況 |
第96回助産師国家試験合格状況 |
第102回看護師国家試験合格状況 |
いま話題の記事
-
寄稿 2016.03.07
-
連載 2016.07.04
-
人工呼吸器の使いかた(2) 初期設定と人工呼吸器モード(大野博司)
連載 2010.11.08
-
連載 2010.09.06
-
患者のそばで最高のパフォーマンスを発揮する
セル看護提供方式®とは何か寄稿 2019.09.23
最新の記事
-
対談・座談会 2024.03.18
-
重症患者リハビリテーション診療ガイドライン2023
多職種によって作成されたチーム医療のためのガイドライン寄稿 2024.03.18
-
寄稿 2024.03.18
-
サイエンスイラストで「伝わる」科学
[第11回] 生成AIの脅威連載 2024.03.18
-
心の不調に対する「アニメ療法」の可能性
[第9回] 「アニメ療法」を提唱する連載 2024.03.18
開く
医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。