医学界新聞

2012.02.27

第17回白壁賞,第36回村上記念「胃と腸」賞授賞式開催


 第17回白壁賞と第36回村上記念「胃と腸」賞の授賞式が,2011年11月16日に笹川記念会館国際会議場(東京都港区)で開催された早期胃癌研究会の席上にて行われた。第17回白壁賞を受賞したのは,八尾建史氏(福岡大筑紫病院消化器内科准教授)ほか「O II bに対する進展範囲度診断――通常内視鏡・境界不明瞭病変に対する拡大内視鏡の有用性と限界:フルズーム派の立場から」[胃と腸,45(1):86-100,2010]。また,第36回村上記念「胃と腸」賞は,江頭由太郎氏(阪医大准教授・病理学)ほか「胃II b型癌の病理組織学的特徴――胃II b型癌のマクロ像と組織像の対比」[胃と腸,45(1):23-37,2010]に贈られた。

分化型癌(単独II b,随伴II b)に対する境界診断の実現

 白壁賞は,故・白壁彦夫氏の業績をたたえ,消化管の形態・診断学の進歩と普及に寄与した論文に贈られる。授賞式では選考委員を代表し,清水誠治氏(大阪鉄道病院消化器内科)が選考経過を説明。「425症例という多数例を対象として,通常観察では境界がわからない病変に拡大観察を行い,そのすべての症例において診断過程が克明に記載されている。所見のディテールを1例1例分析し,診断理論の構築にいかに情熱を傾けてこられたかが伝わってくる。また,この領域のパイオニアとしての自信に裏打ちされた文章にもぐいぐい引き込まれた」と,受賞論文を評した。

 受賞の挨拶に立った八尾氏は,「白壁先生の名前を冠した偉大な賞をいただき,大変光栄。この業績は私ひとりの力でなく,さまざまな先生方のおかげ。解決すべき問題もまだまだあるので,皆さんとディスカッションしながら精進したい」と抱負を述べた。

リスクの高い早期胃癌の病理学的特徴を抽出

 村上記念「胃と腸」賞は,故・村上忠重氏の業績をたたえ,消化器,特に消化管疾患の病態解明に寄与した論文に贈られる。江頭氏らの受賞論文に対し,清水氏は「特に随伴II bを合併するリスクの高い早期胃癌の病理学的特徴を抽出し,それらのマクロ像の特徴を明らかにしたもの。II bのマクロ所見については病理学的背景についても詳細に考察がなされており,微小癌を除く655例を対象にした本検討は説得力があり,臨床における画像診断の向上に貢献するものである」と授賞理由を語った。

 江頭氏は,「もともと消化器内科をしていた私が消化管病理に移り,このような賞をいただけたのは,『胃と腸』誌と早期胃癌研究会の先輩方のおかげ。今後も賞に恥じないよう研鑽を積んでいきたい」と述べた。

八尾建史氏 江頭由太郎氏

*授賞式のもようは「胃と腸」誌(第47巻2号)にも掲載されています。

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