医学界新聞

2012.02.20

第1回日本在宅看護学会開催


 第1回日本在宅看護学会が,2011年12月11日,川村佐和子会長(聖隷クリストファー大大学院)のもと,「安心をつむぐ在宅看護」をテーマに首都大学東京荒川キャンパス(東京都荒川区)にて開催された。同年7月に設立された同学会初の学術集会には,全国から200人を超える参加者が集まった。

地域に受け入れられる在宅看護の姿を模索

シンポジウムのもよう
 シンポジウム「地域に根ざす在宅看護」(座長=慶大・小池智子氏,悠の木株式会社・青木悠紀子氏)では,住民のニーズに応え,地域に受け入れられるために,在宅看護はどのように在るべきかが模索された。

 初めに登壇したのは,Accommo. Care Service株式会社の松木満里子氏。氏が2009年に神奈川県小田原市にて単身で起業した同社は,訪問看護を中心に,療養通所介護や保険外サービスとして療養者の外出支援を行うなど,多角的な在宅看護事業を展開している。講演においては,起業までの経緯やその後どのように周囲の関係機関と連携体制を構築したかについて語り,小田原市の地域特性を生かした実践例を報告した。

 萩原正子氏(オフィス萩原)は,ケアマネジャーのケアマネジメントの現状や医療ニーズの高い利用者の訪問看護導入に関する研究報告書を基に,ケアマネジャーと訪問看護師間の連携について考察した。利用者の訪問看護の導入はケアマネジャーが窓口となるケースが多いことから,ケアマネジャーが訪問看護の重要性を認識できるよう,訪問看護師が自身の役割や効果について言語化・可視化することが必要と指摘。重要性を共有し,連携を強化していくことが,地域住民の安心で安全な在宅療養の実現につながると訴えた。

 行政の立場から発言したのは,福岡県保健医療介護部の鎌田久美子氏。氏は,同県保健所が中心となって進めたがん末期の在宅療養者のための在宅緩和ケアシステムを紹介した。公的な立場にある保健所がシステムの核となることで,住民への啓発や,在宅療養支援診療所,訪問看護ステーション,薬局といった関係機関への呼びかけが行いやすく,地域全体で取り組む体制がスムーズに構築できたと語った。

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