医学界新聞

2010.12.06

PC連合学会が生涯教育セミナーを開催


クイズ形式で進められた林寛之氏による講演。
 第1回日本プライマリ・ケア連合学会秋季生涯教育セミナーが11月6-7日,大阪科学技術センター(大阪市)にて開催された。関連3学会の合併後,最初の生涯教育セミナーとなった今回のプログラムは,初日に林寛之氏(福井県立病院),坂根直樹氏(国立病院機構京都医療センター)の2講演,2日目に26題のワークショップという構成。人気指導医が講師陣を務めた本セミナーは,申し込み初日で300人の定員に達する盛況となった。

「愛のあいうえお」,脱HbA1c外来のススメ
 「元気そうに歩いて来る,とんでもない重症例は0.2-0.7%」。林氏は「そんなはずじゃ,なかったぁ……救急地雷回避Tips!」と題した講演でこう語り,心筋梗塞やくも膜下出血,虫垂炎など見逃しやすい疾患のtips & pitfallsを解説した。心筋梗塞に関しては,心臓を中心に30cm以内に痛みがあれば疑うこと。また,痛みのない心筋梗塞は22-35%にみられ,胸痛パターンによる除外ができず,冷や汗は重要な手がかりとなること。高齢,女性,糖尿病が見逃しパターンの3要素であること,などを述べた。講演の最後には,「愛のあいうえお」と銘打ち,あい(アイコンタクト/あいづち),う(うなずき),え(笑顔),お(おうむ返し)の順に,傾聴・共感法を紹介。アイコンタクトが恥ずかしければ鼻の頭をみること,患者の名前を意識して呼んであげることなど,具体的なアドバスを添えて解説した。

 続いて坂根氏が,「楽しくてためになる糖尿病教育」と題して講演した。糖尿病外来がHbA1c値の経過だけをみて評価する"HbA1c外来"になりがちであると指摘。また,効果の少ない指導用語として「体重を減らしましょう」「腹八分目にしましょう」などを例示した。これに対し,糖尿病を駅に例える,HbA1c値を体温に例えるなどの自らの実践を紹介。はや食いの人には細い箸や箸置きを使ってもらうこと,冬場に太りやすい人の場合は住環境をチェックすること(コタツに座ったら動かないような生活習慣の見直し)など,価値観や生活スタイルに沿った運動・食事療法の必要性を説いた。

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