医学界新聞

2010.11.01

第16回白壁賞,第35回村上記念「胃と腸」賞授賞式開催


 9月15日,笹川記念会館国際会議場(東京都港区)で開かれた早期胃癌研究会の席上,第16回白壁賞と第35回村上記念「胃と腸」賞の授賞式が行われた。第16回白壁賞は松本主之氏(九大大学院医学研究院病態機能内科学)・他「NSAIDs起因性小腸潰瘍と非特異性多発性小腸潰瘍症における小病変」(「胃と腸」44 : 951-959, 2009)に,第35回村上記念「胃と腸」賞は小林正明氏(新潟大医歯学総合病院消化器内科)・他「胃・十二指腸におけるcollagenous colitis類似病変の特徴」(「胃と腸」44 : 2019-2028, 2009)に贈られた。

NSAIDs起因性小腸潰瘍と非特異性多発性小腸潰瘍症の共通性を示唆

 白壁賞は,故・白壁彦夫氏の業績をたたえ,消化管の形態・診断学の進歩と普及に寄与した論文に贈られる。選考委員を代表して細川治先生(横浜栄共済病院)は,「小腸の画像診断が進み,NSAIDsに起因する小腸病変の発生率が予想外に高いことがわかってきた。その点で,丹念な症例の積み重ねに基づいて新たな重要な知見を報告する本論文は,消化管の病変にかかわる医師にとって非常に有益である」と述べ,非特異性多発性小腸潰瘍症とNSAIDs起因性小腸潰瘍を比較し,両疾病の原因における共通性を示唆した本論文を評価した。

 受賞者代表として,松本氏は「非特異性多発性小腸潰瘍症は,九州大学病態機能内科学消化器研究室が長年取り組んできたテーマ。症例数は少ないが重要性の高い疾病であり,今回の論文でこの疾病をもう一度周知できたことに達成感を感じている」と謝辞を述べた。

胃・十二指腸のcollagenous colitis類似病変の臨床・病理学的特徴を探究

 村上記念「胃と腸」賞は,故・村上忠重氏の業績をたたえ,消化器,特に消化管疾患の病態解明に寄与した論文に贈られる。今回の受賞論文は,胃・十二指腸におけるcollagenous colitis類似病変の臨床・病理学的な特徴を内視鏡像,X線像,組織像などによって示したもの。選考委員代表の細川氏は「胃・十二指腸におけるcollagenous colitis類似病変は世界で30例,わが国では6例と症例が少ないと聞いている。そんな中で,診断の肝要にかかわる知見をもたらした著者らの努力を評価したい」と述べた。

 続いて,受賞者代表として小林氏が挨拶。「1例1例をしっかり見ること,と大学院時代から常々指導されてきたが,今回,1症例を突き詰めて検討することの重要性をあらためて学んだ。今後は,本疾患の病因や病態の解明,治療法の開発をめざし努力したい」と今後の抱負を述べた。

松本主之氏 小林正明氏

*授賞式の様子は2010年10月発行『胃と腸』誌(Vol.45 No.11)にも掲載されています。

開く

医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。

医学界新聞公式SNS

  • Facebook