職員共有編(2)定時採血(横井郁子)
連載
2009.12.14
【Pictogram】
いのちを見守るコミュニケーションデザイン――医療看護支援ピクトグラム
■職員共有編(2)
定時採血
横井郁子(東邦大学医学部看護学科教授)
(前回よりつづく)
大好きなあんぱん,こっそり食べてもわかっちゃうね。
もちろん!
急性期病院では,入院患者さんへの採血をほぼ毎日行っています。病状の経過,治療の評価のためには必須項目です。朝,看護師は日の出とともに採血のために各ベッドを回り始めます。患者さんによっては,採血の成功(一発で採れた!)がその日の善し悪しを決めるかのように,看護師たちに何気ないプレッシャーをかけてきます。そんな朝一番の採血ですが,場合によっては1日に何度も採血を行うことがあります。その代表が血糖値の日内変動測定です。食前や食後に採血をして1日の血糖値とインスリンの分泌量を調べ,適切な治療方法を決めていきます。
他の業務と重なりやすい昼間の採血タイムはうっかり忘れの対象になりがちです。しかし,それだけがピクト作成の目的ではありません。血糖は食べ物,飲み物,運動などの影響を受けます。生活と血糖の関係を患者さんご本人が知ることは,治療と同様に重要なことです。ですから,これも生活支援と考えました。ちょっと憂うつな採血ですが,患者さんと一緒に取り組んでいけたらと思います。
始めは注射器とスピッツをデザインしたのですが,スピッツが一般的ではないこと,「定時」という意味が表現できていないことから時計がデザインされました。「やはりバランスがいいね」と,時計は10時10分を指しています。
「いのちを見守るコミュニケーションデザイン」が2009グッドデザイン賞を受賞しました。
http://www.g-mark.org/award/detail.html?id=35990 ベッドまわりのサインづくり研究会(横井) 医療看護支援ピクトグラム |
(つづく)
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