医学界新聞

2009.11.16

在宅医療の醍醐味をいかに伝え,どう学ぶか

日本在宅医学会第1回研修プログラム交流会開催


研修プログラム交流会のもよう
 日本在宅医学会第1回研修プログラム交流会が10月18日,順天堂大学(東京都文京区)において開催された。同学会では2002年に在宅専門医制度を立ち上げ,これまで79人の在宅医療専門医を認定しているが,昨年10月に「在宅医療研修プログラム」の募集を開始し,今年4月から新たな在宅専門医制度を開設した。交流会では,研修プログラムに参加している指導医,研修者が一堂に会し,研修についての議論や情報交換が行われた。

 はじめに,平原佐斗司氏(梶原診療所)が研修開始から半年が経過した研修プログラムの現状を報告。現在のわが国の地域医療の課題として,質の高い標準的な在宅医療の提供を挙げ,質が担保された在宅医をコンスタントに一定人数育成する制度が必要だと述べた。

 続いて行われた研修プログラム交流会では,プログラムに参加している4施設のカリキュラムや現状が報告された。現在研修プログラムは32(研修施設46施設,指導医45人,受け入れ数53人)設けられており,15人が研修を行っている。プログラムでは,指導医が常勤する施設で1年以上研修するだけでなく,他施設交流研修として3施設以上で研修を行うことが定められているため,特定の研修者がいない施設でも短期的に研修者を受け入れ,各施設の特徴を生かした研修機会を提供しているという。 

 また,研修プログラムの特徴として挙げられるのが,ポートフォリオ基盤型学習である。10領域49項目から15項目(1領域1項目)を選択し,ポートフォリオを作成・提出することになっている。専門医試験の二次審査では,作成したポートフォリオを基にした口頭試問も予定されている。講演「ポートフォリオ基盤型学習を用いた在宅医療教育」では,藤沼康樹氏(日本生協連家庭医療学開発センター)がポートフォリオを用いた学習方法について解説。ポートフォリオを単なるファイル作りにしないために,研修医と指導医の共同作業として行うこと,両者の評価基準を合致させるために定期的な検討会を開き,作り直しを繰り返すことの重要性を指摘した。さらに,研修者に対しては「自己評価・振り返り・Next Step」を示すこと,指導者に対しては「指導者やプログラムの評価が可能となるようなポートフォリオの作成」を求めた。

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