排泄編(1)ポータブルトイレ/ベッド上排泄(横井郁子)
連載
2009.10.26
【Pictogram】
いのちを見守るコミュニケーションデザイン――医療看護支援ピクトグラム
■排泄編
ポータブルトイレ
ベッド上排泄
横井郁子(東邦大学医学部看護学科教授)
(前回よりつづく)
『もうじき消灯です。トイレは大丈夫ですか。
いま,お願いしようと思っていたところです。』
転倒のきっかけとなる動作の理由のひとつに「一人でトイレに行こうとして」というものが挙げられます。排泄介助が必要である患者さんが一人でトイレに行こうとして,尻もちや膝折れが生じ転倒,ということがしばしばあります。排泄動作というのは実はかなりの重労働です。何度も立ち座りをし,バランス能力,持久力を要する動作です。したがって,排泄動作も段階的に注意深く進めていく必要があります。しかし「トイレに行きたい」と切望している患者さんにとっては,頭では理解できても「それでも一人で」という思いは強いものだと思います。そんな思いを十分考慮して,看護師は患者さんの排泄行動を予測しこちらから声をかけようと計画を立てていますが,常に予測通りというわけにはいきません。そこで排泄に関する表示も検討し,この2種を作成しました。
食後や消灯前,この表示のある患者さんに「トイレは大丈夫ですか」とひと声かけてみてください。内心「助かった」と思われる患者さんも少なくないと思います。すぐに対応できず担当看護師に伝えることになったとしても,「関心を持って見守られている」というメッセージは伝わり,安心感を育むのではないかと思うのです。ただ,排泄に関することが第三者に見えるところに表示されていること自体を恥ずかしいと思う方もいます。医療看護支援ピクトグラムの表示は患者さんの同意を得ることが前提となります。このことが,これまでのピクトグラムとは異なるところです。
「いのちを見守るコミュニケーションデザイン」が2009グッドデザイン賞を受賞しました。
http://www.g-mark.org/award/detail.html?id=35990 ベッドまわりのサインづくり研究会(横井) 医療看護支援ピクトグラム |
(つづく)
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