医学界新聞

寄稿

2009.03.23

【視点】

国を超えた新たな看護の構築をめざす

山本あい子(兵庫県立大学地域ケア開発研究所長・教授)


 世界看護科学学会は,「看護の国際学術交流ならびに共同研究を促進することを通して世界の人々の健康と福祉に貢献すること」を目的とした,国を超えた新たな看護の国際学会です。

 情報・運搬技術の進歩や国際化のなかで,世界の国々は相互に影響し合って存在しています。看護界も同様で,例えば国境を越えて看護職が他国で働くような状況のなかで,免許や労働環境など,検討すべき課題が次々に浮上しています。本学会設立は,他国における看護の最新知識を得,また日本における看護ケアや教育・研究活動に関して他の国々へ発信する機会となります。さらに,共通の関心事を持つ研究者・教育者との出会いにより,情報共有の促進だけでなく,思ってもみなかった価値観や考え方を通して国際協同研究が芽生え,さらなる知識やケア提供体制の構築が期待できます。

 現在,日本看護科学学会が世話役となり,日本をはじめとするアジアの国々,アメリカなど13団体が加盟して設立準備にあたっています。今年9月に学会設立式典ならびに第1回学術集会を予定しており,第1回学術集会は日本看護科学学会が引き受け,学会員である筆者が会長を務めます。

 学会のメインテーマは,「看護知識の新たな領域の創造に向けた挑戦:Towards creating a new domain of nursing knowledge」。看護知識や看護の新領域の可能性を地球規模で模索したいと思っています。基調講演には,看護理論家のAfaf Meleis先生(米国ペンシルベニア大学)をお迎えしています。また2つのシンポジウムでは,研究から産み出された看護知識,ならびにその知識を産み出す研究方法について討議する予定です。

 国を超えた新たな看護の国際学会の設立という歴史的瞬間にぜひ参加し,共に祝っていただきたいと思います。

世界看護科学学会第1回学術集会
 日時:2009年9月19日(土)・20日(日)
 会場:神戸国際展示場
 詳細情報はこちらから

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