医学界新聞

2009.02.16

第25回日本国際賞は米国人研究者が受賞


 1月15日,国際科学技術財団は第25回日本国際賞の受賞者を発表した。同賞は,毎年,科学技術の全分野から2分野が選ばれ,各1名が受賞。4月に行われる受賞式典には天皇皇后両陛下や,著名人1000人が出席する科学界のビッグ・タイトルで,「日本のノーベル賞」と呼ばれている。

 今年は,「自然と共生する持続可能な技術社会形成」分野においてデニス・メドウズ氏(ニューハンプシャ-大名誉教授)と,「医学・工学の融合における疾患への技術の展開」分野においてデビット・クール氏(ミシガン大教授)が選ばれた。

 デニス・メドウズ氏の受賞業績は「『成長の限界』報告を基盤とする持続可能な社会形成への貢献」。氏は,1972年発表のローマクラブへの報告『成長の限界』のプロジェクトリーダーを務め,資源・環境・土地などの地球の物理的容量の制約が,人口と経済の拡大との相克により社会に危機的状況を招く可能性を指摘し,人口と消費のゼロ成長実現を提唱した。その後も活動を継続,人類が持続可能な社会への努力を始める端緒を開いた点が評価された。

 デビット・クール氏の受賞業績は「核医学における断層イメージングに対する貢献」。1950年代の後半,氏は世界に先駆けて放射性同位元素の体内分布を断層撮影する実験に着手。60年代後半にSPECT(単光子放出断層撮影装置)を開発,ヒトの体の断層写真の撮影に世界で初めて成功したことなどが評価された。この業績が,後のX線CTやMRI,PETの開発へつながった。

デニス・メドウズ氏 デビット・クール氏

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