医学界新聞

2008.10.27

日本の集中治療教育向上をめざして

第1回JSEPTIC総会開催


 第1回JSEPTIC(Japanese Society of Education for Physicians and Trainees in Intensive Care:日本集中治療教育研究会)総会が9月20日,川崎市立多摩病院にて開催された。

 JSEPTICは「世界標準の集中治療を,誰にでも,わかりやすく」をコンセプトとして,聖マリアンナ医大救急医学講座の藤谷茂樹氏らを世話人に,2008年3月に発足した。

 本研究会の目的は,日本におけるGlobal standardな集中治療の普及,および集中治療医学を担う若手医師の育成・支援。米国で集中治療のトレーニングを受けた医師が中心となり,重症患者診療に興味のある若手医師を対象として,これまでメーリングリストによる情報交換(登録者数が700名を超えた)などを行ってきた。今回は初の総会とあって,全国から集中治療に携わる若手医師が参加した。

 「米国式ジャーナルクラブ」では,橋本圭司氏(松江赤十字病院)が論文の探し方や批判的吟味の方法について解説。「レクチャーシリーズ」では藤谷氏が標準的なICU回診について,取りこぼし,見逃しをしないためのsystem basedアプローチを紹介した。また,ICU回診ではバイタルが安定している患者については午前6時から7時までに鎮静剤を一次中止し,覚醒させて神経所見をとることが必要と強調。1日1回覚醒させることで呼吸器の早期離脱,ICUからの早期退院,麻薬使用量減少などの効果があると述べた。

M&Mで医療の質向上を

 「M&M(Mortality and morbidity) conference」では讃井將満氏(自治医大さいたま医療センター)がM&Mとは何か,M&Mの行い方などについて紹介。M&Mとは合併症や失敗例,インシデントなどから学び,それまでの経験に基づく行動や判断を修正,改良するもので,Root cause analysis(RCA:事例要因分析)を用いる。医療の質の改善および医療安全に貢献するものとして米国などでは広く行われているが,日本では方法を知らない医師が多かったり,院内で開かれていないなどM&M文化はいまだ根付いていない。このレクチャーではM&Mの実践的やり方を学ぶとしてRCAの具体的方法や実際の運営方法などが解説された。

JSEPTICについての詳細はHPをご参照ください(URL=http://blog.goo.ne.jp/jseptic)。

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