医学界新聞

2008.09.22

生きる 活きる――いのちを育む看護学
――第20回日本看護学校協議会学会開催


 さる8月1-2日に,第20回日本看護学校協議会学会が千葉県の成田国際文化会館にて開催された。20回の節目となった今回は,協議会会長の山田里津氏(二葉看護学院;写真)自ら学会長を,企画委員長は協議会副会長の世古美恵子氏(東三河看護専門学校)が務めるという,本部開催による盛大な規模となった。千葉県知事の堂本暁子氏,日本看護協会会長の久常節子氏ら来賓挨拶の後には,山田会長の教え子である衆議院議員の阿部俊子氏が飛び入りで駆けつけ,記念の大会に華を添えた。

 学会テーマは「生きる 活きる――いのちを育む看護学」と題され,人間のいのちを大切に育むという“看護”の第一義に留まらず,看護師は,ひとが“活き活きと生活”できるための援助者でならねばならないという視点がクローズアップされた。従来の学会演題に加えて,シンポジウム「笑いと癒し」や成田山新勝寺寺務長の山崎照義氏による特別講演「慈しみの心」といった,山田会長の唱える人間看護学の理念に基づいた幅広いセッションが企画され,厚労省看護課の野村陽子氏による講演「保健医療福祉行政における看護の役割」のような,新カリキュラム実施を控え各養成施設の関心の深い内容にも参加者の注目が集まった。

 会長講演「いのちを育む看護学」では,nursingの語源が「哺育」にあることなどから,看護師に求められる人間愛の資質が説かれた。カントやオスラーの言葉,またフランスのチェロ奏者エリック・マリア・クチュリエ氏とがん患者の山田泉氏の偶然の出会いから無償の音楽療法が施されるようになった挿話(『看護教育』08年11月号でも紹介)など,古今東西の文化から縦横に教育的な訓話が紹介され,看護の品格の根本となる,人間性の涵養が強調されるものであった。

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