医学界新聞


がんのリハビリテーションに関する専門家育成に向けて

2007.09.17

 

がんのリハビリテーションに関する専門家育成に向けて

「がんのリハビリテーション実践セミナー」開催


 さる8月4-5日の2日間にわたり,平成19年度厚生労働省委託事業による「がんのリハビリテーション実践セミナー」が(財)ライフ・プランニング・センターの実施のもと,国立看護大学校(東京都清瀬市)にて開催された。

 “がんのリハビリテーション”は,がん医療全般の知識が必要とされると同時に,運動麻痺,摂食・嚥下障害,浮腫,呼吸障害,骨折,切断,精神心理などの障害に対する高い専門性が要求される,がん治療の重要な一分野であるといえる。しかしながら,今日までリハビリテーション専門職に対する研修プログラムは存在せず,また,看護の立場からも,がん患者に対するリハビリテーション・ナーシングに関する専門的な教育はなされてこなかった。

 そのような現状に加えて,がん治療の進歩とともに,障害の軽減,運動機能や生活機能の低下予防や改善,介護予防を目的とした治療的介入を行う必要性がこれまでになく高まってきている。そこで,本セミナーでは,がん医療に携わるすべての医療職を対象に,“多職種チーム”でがんのリハビリテーションを実践する際に必要となる知識と技能を修得することを目的に,講義と実習という2つの形式により研修が行われた。

セミナーの実際

 セミナーは,プランナーおよびスーパーバイザーである辻哲也氏(慶大)を中心とした,がんのリハビリテーション現場の最前線に立つリハビリテーション医,整形外科医,コメディカルからなる講師陣により,リハビリテーション医学の展望およびがんのリハビリテーションの概要の講義から開始。臓器別のがん(脳腫瘍,頭頚部がん,乳がん・婦人科がん,肺がん,食道がん,骨・軟部腫瘍,脊髄腫瘍,造血器がん,小児がん)の特徴・治療・リハビリテーションについての講義およびがん患者に対する具体的アプローチ方法やテクニックの修得を目的とした実習,さらには緩和ケアのリハビリテーションの講義と実習に至るまで,がんのリハビリテーション全般に関する展開がなされた。参加者は理学療法士,作業療法士を中心に,看護師,言語聴覚士,医師など60人ほどで熱心に耳を傾けていた。

 今後の展開であるが,11月24-25日に第2回,来年1月下旬には第3回のセミナーを東京で開催予定。また,来年3月には実践的な内容も交えた講演会も開かれる予定である。

開く

医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。

医学界新聞公式SNS

  • Facebook