JJNスペシャル No.73
2003年 06月号

シリーズ JJNスペシャル
ISSN 0912-3741
定価 2,420円 (本体2,200円+税)

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編集:鈴木 俊夫 鈴木歯科医院院長  
   迫田 綾子 日本赤十字広島看護大学講師

口腔ケアに取り組むあなたをサポート!
医療や介護の現場における口腔ケアの重要性はますます増しており、関心も高まっています。しかし一方で、最も患者と接する機会が多く、毎日の口腔ケアに携わることも多い臨床の看護職は、自分たちの方法が適切かどうか、またその根拠は、という不安や疑問を抱えているのが実状ではないでしょうか。チームとして組織的に口腔ケアに取り組む際にも、基盤となる知識と技術が不可欠です。

そこで本書では、最新の情報を盛り込みながら、口腔ケアに必要な知識を解説し、実際のケア方法をわかりやすく丁寧に示します。患者の状況によって異なるケア上の留意点についてもきめ細かくポイントを提示。今日からのケアにすぐ生かせます。口腔ケアで迷ったとき、悩んだときに役立ちます!



【CONTENTS】
■I.口腔ケアはなぜ必要か
口腔ケアの概念の広がり/口腔ケアと看護/口腔ケアが必要な理由(1)感染症(特に誤嚥性肺炎)の予防/(2)口腔疾患の予防/(3)QOLの向上/(4)口腔ケアが特に重要な患者とは

■II.知っておきたい口腔の知識
口腔・咽頭のしくみ/加齢による口腔の変化(1)形態の変化/(2)唾液分泌の変化/(3)口腔内の細菌叢の変化/(4)口腔環境の変化と口腔の汚れ

■III.口腔ケアのためのアセスメント、ケア計画、評価
口腔ケアに必要なアセスメント項目とその方法/目標設定とケア計画、評価

■IV.口腔ケアの基本
口腔ケア用具とその選び方・使い方/口腔ケアの基本的な流れ/口腔ケアの基本技術(1)口腔内の清掃と洗浄/(2)義歯の手入れ/口腔ケアの安全と安楽/口腔ケアへのチームアプローチ

■V.口腔ケア応用編
状態別 口腔ケアのポイント(1)急性期(ICU、意識障害)/(2)脳血管障害/(3)痴呆症/(4)気管内挿管中/(5)癌化学療法中/(6)口腔腫瘍/(7)口腔の周手術期/(8)免疫不全状態(HIV感染、移植後など)/(9)出血傾向/トラブルシューティング!こんなときどうする(1)口臭/(2)歯肉炎、歯周炎/(3)口腔乾燥/(4)舌苔/(5)口内炎、口腔内潰瘍/オーラルリハビリテーション/在宅での口腔ケア



【書評】
「口腔ケア」でのとまどいを解決してくれる
長吉 孝子(呉大教授・看護学)

◆口腔ケアは必要不可欠な援助

 これからの高齢社会では,看護師にとって「口腔ケア」は必要不可欠な援助であり,十分な知識が必要とされる。しかし,これまで看護基礎教育における「口腔ケア」は,歯科医療関係者の専門的役割と考えられたためだろうか,多くの看護技術の中で,必ずしもその扱いは大きくなかったように思う。

 また,「口腔ケア」についての知識を与えてくれる「本」はあったが,「口腔ケア」の実践に参考にできる部分は多くなかった。全体のほんの一部に収められていたわずかな知識で「口腔ケア」に対応してきたといっても過言ではない。

 今まで,「口腔ケア」の必要性をなんとなく理解し,義歯の手入れはこんなふうに,歯ブラシの使い方はこのようにと,知識というにはおこがましいような浅い知識で多くの患者さんに援助をしてきたような気がする。

 その結果,患者さんに対して満足な「口腔ケア」ができていないと思いつつ,また,適切な援助とはいえないだろうと感じつつ,そうしたケアしかできなかった。本書を前にして反省せざるを得ない。

◆あらゆる場面に配慮

 そんな看護師のための一冊と言える本書は,「口腔ケアはなぜ必要か」「知っておきたい口腔ケアの基本的知識」「口腔ケアのアセスメント,ケア計画,評価」「口腔ケアの基本」「口腔ケア応用篇」といった構成で,確実な知識で確実な援助ができることをめざしている。

 筆者が本書を手にしたとき,後半にあるオーラルリハビリテーションの項目がまず目についた。最近,老人保健施設において,脳血管障害の後遺症である発語障害に対する「舌」の運動訓練の効果について知ったが,その訓練方法も掲載されていたからである。そのため,この本は「口腔ケア」に関して網羅的に対応している,という実感をもって読み始めた。

 たとえば「口腔ケア応用篇」では,急性期の患者,癌の化学療法中の患者,さらに在宅での口腔ケアなど,さまざまな場面の「口腔ケア」において,看護援助として求められる内容が,わかりやすく解説されている。

 このほかにも,看護の視点に立った患者の見かたから,歯科の専門的な知識までが,日常のケアに応用できるような形で提供されており,口腔ケアにおける「どうしたらいいのだろう?」というとまどいを解決してくれる。

 かつてのような経験による援助ではなく,看護としての自信を持って,患者さんのニーズに適切に応える援助の指針ともなり得よう。

 看護師が必要とするあらゆる場面に配慮した内容であり,「口腔ケア」を行なおうとする時にすぐに役立つ本である。

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