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この30題で呼吸理学療法に強くなる

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エキスパート直伝! 呼吸理学療法の基礎・評価・症例のポイントを網羅した30題で、臨床に自信が持てる。この領域の第一人者である著者が“呼吸”に悩むすべてのPTに贈る“呼吸”マスターのための決定版。エキスパート&ビギナーPTの会話形式で、フローボリューム曲線による疾患予測、胸部X線写真読影のコツ、体表解剖からわかる肺の構造、血液ガスデータによる病態の推測など呼吸理学療法の必須項目を楽しく学ぶことができる。
*「理学療法NAVI」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 理学療法NAVI
高橋 仁美
発行 2017年10月判型:A5頁:252
ISBN 978-4-260-03261-2
定価 3,300円 (本体3,000円+税)

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シリーズ刊行にあたって 「理学療法NAVIシリーズ」のねらい(網本 和)/はじめに(高橋仁美)

シリーズ刊行にあたって
「理学療法NAVIシリーズ」のねらい

New Approach for Various Issues)
 今日,多くの理学療法課程を学ぶ学生が存在し,新人理学療法士もまた急増している.一人ひとりの学生や新人にとってみれば,学ぶべき医学的事項は飛躍的に増加し,膨大化する情報は錯綜している.このような状況においては,真に必要で価値のある基本的な知識と新しい技術の修得が求められる.ここでのNAVIはナビゲーション(航海術)を表しており,情報の大海のなかで座礁することなく海路を拓いてゆくための方略である.
 本「理学療法NAVIシリーズ」は,理学療法,リハビリテーション医療において,きわめて基本的で不可欠な情報を厳選して示すことで,この世界に踏み出そうとするフロンティアのための水先案内人となることを志向している.

 2016年9月
 首都大学東京・教授 網本 和


はじめに

 本書「この30題で呼吸理学療法に強くなる」は,臨床に出たばかりの新人や臨床の魅力や怖さがわかってきた数年目の若手理学療法士の心強い味方となるよう企画された《理学療法NAVI》シリーズの新刊です.
 何事にも通じることですが,筆者は理学療法の臨床において,自分の頭で考え,判断できるようになるには,なぜ? どうして? と深く考え,そして,本当に納得することによって身につく知識が必要と考えています.現代は,インターネット社会ということもあり,情報があふれており,「答え」が欲しければすぐに得られます.そのためか,安直に「答え」のみを欲しがる傾向もあると思います.結論を急ぐことを否定するつもりはありませんが,話をちょっと聞いたり,本をちらっと読んだり,インターネットをちょっと見たりすることで,「わかった」とする解決法は,少し安易ではないでしょうか.これは,「わかった」のではなく,「わかったつもり」であって,知識はあやふやなレベルにあるわけです.「なるほどそうか」などと,「腹の底から納得できた,理解できた」という感覚を得ることが重要と考えます.
 本書は「呼吸の基礎知識」,「呼吸アセスメント」,「呼吸ケア」の3章(各章10項目),30項目で構成されています.項目のすべてを問題形式として,それぞれ前半は筆者の分身ともいえる「エキスパートPT」と入職数年目で呼吸理学療法にいまいち自信のもてない「ビギナーPT」との会話でのやり取り,後半は解説というスタイルにしました.筆者なりの力作で,「腑に落ちる」という感覚に至るまでを丁寧に書いたつもりです.ぜひ,楽しく,おもしろく,読んでいただき,自分の頭で考え,判断できる理学療法士になるための一助にしていただければと思います.
 この本の誕生のきっかけは,医学書院の伍井さゆりさんの「新人や若手の理学療法士向けに,呼吸理学療法の分野について,読み物としてもおもしろい本を単著で作ってみませんか?」という熱心な勧めでした.さらに,一つひとつの作品が完成するまでの間には,伍井さんから「会話のやり取りがおもしろい」,「なるほど,目から鱗です」などといった励ましのお言葉をいただきました.こうしたご協力がなければ,この本が世に出ることはなかったでしょう.ご尽力に心から感謝申し上げます.本当にありがとうございました.
 そして,最後に,いつも暖かく支えてくれる家族,幸子,佳子,朋子にこの本を捧げたいと思います.

 2017年10月
 高橋仁美

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I 呼吸の基礎知識
 Question 1 肺の換気でみる効率のよい呼吸とは?
 Question 2 閉塞性疾患の吸気性呼吸困難と呼気性呼吸困難の違いは?
 Question 3 誤嚥性肺炎は左右どちらの肺に起こりやすい?
 Question 4 体表解剖から肺の構造を立体的に理解しよう!
 Question 5 胸部X線写真から無気肺か胸水かを判断しよう!
 Question 6 スパイロメータから換気障害を判定し,呼吸障害の程度を予測しよう!
 Question 7 フローボリューム曲線から疾患を考えよう!
 Question 8 動脈血二酸化炭素分圧は肺胞換気量で変わる?
 Question 9 チアノーゼの際の動脈血酸素飽和度は?
 Question 10 酸素ボンベの使用可能時間を算出しよう!

II 呼吸アセスメント
 Question 11 息切れと呼吸困難に区別はある? 評価はどうするの?
 Question 12 呼吸数とSpO2 から評価しよう!
 Question 13 COPDの気管短縮はなぜ起こる?
 Question 14 吸気時に肋間や季肋部が陥凹する現象を何という?
 Question 15 頸静脈の怒張から病態を考えよう!
 Question 16 聴診の際の背側下肺野の“パリパリ”音の正体は?
 Question 17 打診で下側肺障害の障害領域を推測できる?
 Question 18 動脈血液ガス分析のデータから病態を推測しよう!
 Question 19 酸素吸入下での血液ガスデータ,どう解釈する?
 Question 20 血液ガスデータから酸塩基平衡障害を判定しよう!

III 呼吸ケア
 Question 21 鼻カニュラで酸素吸入,呼吸パターンによって
          吸入気酸素濃度は変化する?
 Question 22 急性増悪のCOPD患者,酸素流量を増やすことでのリスクは?
 Question 23 II型呼吸不全の安定期にある患者の酸素流量は必要最低限が適切?
 Question 24 吸入気酸素濃度100%で,SpO2 98%をどう判断する?
 Question 25 COPDの急性増悪,酸素療法で改善が今ひとつ,どうする?
 Question 26 人工呼吸中の呼吸理学療法はどうする?
          人工呼吸器設定の変更,知識ある?
 Question 27 人工呼吸器からのウィーニング,どのようなアプローチがされる?
 Question 28 横隔膜呼吸ができない患者,どうすればいい?
          呼吸困難軽減のコンディショニング,ほかには?
 Question 29 労作時の息切れの症状が強いCOPD患者,
          運動療法は行ってはいけない?
 Question 30 COPDの治療管理,身体活動性の向上が重要なのはなぜ?

索引

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臨場感にあふれ,わかりやすく,おもしろい呼吸理学療法解説書
書評者: 上月 正博 (東北大大学院教授・内部障害学)
 長年にわたり呼吸リハビリテーションのエキスパートとしてご活躍の高橋仁美先生(市立秋田総合病院リハビリテーション科・技師長)が『この30題で呼吸理学療法に強くなる』を出版された。

 本書は,臨床に出たばかりの新人や数年目の若手理学療法士を対象に企画された《理学療法NAVI》シリーズの新刊である。
 本書は「呼吸の基礎知識」「呼吸アセスメント」「呼吸ケア」の3章,各章10項目,総計30項目の内容で,項目のすべてをQ & A形式として,それぞれ前半は筆者の分身ともいえる「エキスパートPT」(筆者の高橋先生)と入職数年目の「ビギナーPT」との会話でのやりとり,後半は解説というスタイルになっている。「スパイロメータから換気障害を判定し,呼吸障害の程度を予測しよう!」「酸素ボンベの使用可能時間を算出しよう!」「酸素吸入下での血液ガスデータ,どう解釈する?」「COPDの急性増悪,酸素療法で改善が今ひとつ,どうする?」など,「ビギナーPT」のみならず,研修医や看護師にも役に立つ内容になっている。

 呼吸リハビリテーションをはじめとする内部障害リハビリテーションの対象患者は激増しており,「ビギナーPT」には必須の基本領域になっている。しかし,全国的にみてそれをきちんと伝えられる「エキスパートPT」の数はいまだ十分とはいえず,養成校時代や勤務先で十分な教育を受けられずに,不得意分野になっているPTも少なくない。

 本書は,カリスマPTでありながらいつも優しく親しみやすい高橋先生から,じかに読者が授業を受けているような,臨場感にあふれ,わかりやすく,しかもおもしろい,とてもぜいたくな読み物になっている。これなら「ビギナーPT」でもすんなりと呼吸理学療法に取り組む気になれそうである。また,少しあやふやなレベルだった知識が,“腹の底から納得できた,理解できた”という感覚を得ることができるものと思う。その感覚は,患者・家族への指導や養成校の学生への指導にも役に立つはずである。これまで,「○○理論」「○○の法則」などと難しく(しかも怪しい)講義の多かった昔に比べて,いまの「ビギナーPT」はなんと恵まれているのだろうかと痛感する次第である。

 このように,本書は呼吸リハビリテーションに関して臨床現場ですぐに役立つ本であり,また,過去に呼吸理学療法を学んだ方の知識のブラッシュアップにも参考になる本である。ぜひ多くの方に読んでいただき,楽しく,おもしろく,スマートにビギナーからエキスパートへ脱皮されることを期待したい。
患者さんの呼吸の環境や状態を良好にする「なるほど!」が詰まった一冊
書評者: 伊藤 登茂子 (秋田大教授・臨床看護学)
 日頃,意識もせずに呼吸ができていることは,あらためて考えると幸せなことと思います。呼吸がヒトの生命活動にとって重要であることや,人間としての生活や営みに欠くことのできない基本的ニードの一つであることは,看護基礎教育の初期に学ぶことでもあります。

 ここで紹介させていただく本の新刊案内を初めて目にしたとき,「ついに出されましたね!」と顔がほころびました。なぜなら,著者の高橋仁美先生はこれまで多くの共著本を出版されていますが,今回は単著。また,長年にわたる内部障害リハビリテーションの臨床経験,研究活動,そして研修会などでの教育活動と,枚挙にいとまがないご活躍の中,一度まとめておこうと考えられたのではないかと推察できたからです。「これを読んでくれたら大丈夫。一緒に頑張りましょう」と語っているような表紙(帯)の顔写真から,そうした考えは瞬時に浮かんでまいりました。

 果たして手に取ってみると,呼吸の基礎知識・呼吸アセスメント・呼吸ケアについてQuestionが30設定されており,ビギナー理学療法士(PT)とエキスパートPTとの対話で,その正解を明らかにし,加えて本質的に重要となる写真や図表が理解を助けてくれ,顔写真が語っていると感じた言葉はおおむね当たっていると確信しました。元来ユーモアたっぷりの高橋先生ですが,読者を虜にする対話の展開,「あ,なるほど!」と納得のいく明確な根拠,そして要点のわかりやすさからモチベーションが上がること間違いなしです。どのQuestionから読むこともできるため,興味関心や必要に応じて理解を深めることが可能です。読むにつれて内容はもとより編集の絶妙さも感じるところです。

 本のタイトルからPTに向けた著書と思われるかも知れません。多職種連携の時代にあって,呼吸理学療法の必要な状態にある方への呼吸ケアはPTに依頼すれば済むかも知れません。ところが現実はどうでしょうか。そうした体制が整っていると思える看護職はどれほど存在するでしょうか。

 また,看護職の活躍の場は病院に限らず,在宅療養支援の場にも広がっていることは言うまでもない現実です。そのような中で呼吸に関して「なぜ? どうして? どうする?」といった疑問を覚える看護職の方や学習途上の看護学生さん,フィジカルアセスメントを担当する看護教員の方には特に本書をお薦めいたします。

 本書によって得られる観察の視点と判断の要点や基準は,きっと看護の対象である人々の安楽な姿勢,快適な療養環境,適切な酸素吸入療法,さらに呼吸不全状態をより良好にしていくために必要な生活指導に生かされるものと思います。それにより,呼吸を意識せずにはいられない状態で生活を送っている人々に看護として安楽な呼吸を保証し,その人が望む時間を過ごしていかれることを支援できるものと思います。

 看護学生から現役の看護職の方,そして看護教育に携わる多くの方々に,本書のエキスパートPTとビギナーPTとの対話に入り込み,Questionの課題状況についてディスカッションを楽しんでいただければ幸いです。
熱血漢・アイデアマンの著者による,楽しく学べる呼吸リハビリテーションの入門書
書評者: 塩谷 隆信 (秋田大名誉教授)
 私と高橋仁美先生の出会いは秋田大医学部保健学科(当時秋田大医療技術短期大学部)に着任した20年前の1997年にさかのぼる。当時,日本では,呼吸リハビリテーションは始まったばかりでその認知度は低く,手探りでリハビリテーション・プログラム作成に共に取り組んだことが思い出される。仁美先生は,熱血漢であり,アイデアマンでもある。また,仁美先生の強烈な個性は万人がよく知るところであり,お酒が入るとその人格が180度の変身を遂げるのも彼が皆から慕われるゆえんである。

 2005年に発表した「座ってできるCOPD体操」は彼のオリジナルである。自分の子供さんをモデルにして,簡単なステップ体操を考案したという。運動療法の普及が期待されていたが,冬期間は雪で外出がままならない秋田ではその実施は困難であった。椅子に座ったままかつDVDを見ながら簡単に楽しく行えるCOPD体操は,仁美先生の究極のアイデアであり,秋田県のみならず全国における呼吸リハビリテーションの実践,普及に大いに貢献した。その後,このCOPD体操は英語論文として掲載され,同氏の医学博士論文の一部にもなった。現在,こうしたCOPD体操や呼吸筋トレーニングを取り入れた低強度運動療法を中心とした在宅呼吸リハビリテーション・プログラムは全国展開しているのではないかと自負している。このような呼吸リハビリテーションの普及活動が評価され,同氏は秋田県医師会からの推薦を受けて第41回医療功労賞(県)を受賞している。

 本書は,仁美先生の30年を超える理学療法士としての実臨床における豊富な経験をもとに作成された単著である。呼吸の基礎知識,呼吸アセスメント,呼吸ケアの3章から構成され,前半はエキスパート理学療法士(著者)が新人(ビギナー)理学療法士との会話形式として,実に飽きさせずに深く理解できる内容で示されている。第1章の呼吸の基礎知識では,ともすれば難解になりがちな呼吸器系の解剖や生理学をわかりやすく解説している。第2章の呼吸アセスメントでは,呼吸の理学療法評価に関して,単なる経験からだけではなく呼吸生理学の視点から丁寧に説明している。第3章の呼吸ケアでは,酸素療法,人工呼吸において日常の実臨床で遭遇する問題点に関して具体的に解説している。さらに,近年注目されている筋肉から分泌されるマイオカインと身体活動性の関連など,呼吸リハビリテーションに関係した最新の話題を多く取り上げていることも本書の特徴である。

 本書は,エキスパートとビギナー理学療法士との会話という読みやすいスタイルで記述されてはいるが,通常は数式を駆使して記述される呼吸生理学あるいは人体解剖学書に勝るとも劣らない呼吸理学療法の内容になっていて,かつ「なるほど,そうだったのか」とふに落ちるところまで楽しく学ぶことができる。本書が,これから呼吸リハビリテーションあるいは呼吸理学療法に取り組もうと考えている若手理学療法士のみならず中堅あるいはベテラン理学療法士にも愛される呼吸リハビリテーションの入門書になってくれることを心から祈念するものである。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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