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吸引・排痰ができる [Web動画付]

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新人看護師にとって不安な看護技術の「吸引・排痰」を、虎の門病院看護教育部で撮影・制作した美しい写真+動画付き(スマホ視聴可)で解説。吸引実施に必要な呼吸器周辺のフィジカルアセスメントの流れやポイントから、実施時の事故防止の注意点まで、丁寧なコツと知識が満載。“もう一人の先輩”として、臨床看護技術の習得をサポート。

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【サンプル動画 配信中】
●座位がとれない患者の聴診

●閉鎖式吸引カテーテルの交換

●口腔・鼻腔内吸引

シリーズ できる看護技術
監修 虎の門病院看護教育部
福家 幸子 / 山岡 麗 / 千崎 陽子
発行 2015年07月判型:B5頁:128
ISBN 978-4-260-02390-0
定価 2,200円 (本体2,000円+税)

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  • 序文
  • 目次
  • 書評

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はじめに

 看護師になって誰もが最初に不安を抱くことの筆頭に,看護技術が挙げられると思います.どんなに知識をもち,思いやりのある看護師であっても,看護技術が身に付いていなければ患者さんから真の信頼を得ることはできません.自信を持ってできるようになるには経験を重ねることが必要ですが,学生時代の実習でできることは限られています.
 看護技術は,業務をスムーズに進めるためのものではありません.患者さんのニーズ(回復したい,不調の原因を知りたいなど)を満たすためのものです.そのことをいつまでも忘れずに,患者さんによりよい看護を提供するための技術を練習し,磨いていただきたいと思っています.

 看護技術において最も大切なのは,根拠です.自分が行う行為一つひとつの根拠をしっかり確認しましょう.なお,根拠は唯一無二とは限りません.一つの行為について,異なる複数の根拠が考えられ,どちらが正しいか悩むこともあります.その場合は,時代の要請を考慮したり,みんなで議論したりすることによって,どれを採用するか決定していきます.
 根拠がわかったら,あとは学習と経験あるのみです.まずは施設で作成しているマニュアルや,本書のような手引書でしっかり学習したうえで,先輩の技術を積極的に見学させてもらいましょう.本書でも,実際の動きをイメージしやすいよう,動画を付録としてご用意しました.モデル人形などの練習台が身近にある場合,それらを利用して練習を重ねましょう.練習である程度自信がついたら,次に自分の技術を先輩に見てもらいましょう.先輩のOKが出たら,一人で実施できるようになります.
 一度習得した技術についても,時折点検することが大切です.最新のマニュアルや文献を確認し,自分が正しいと思っている根拠が現在も通用するものであるか調べましょう.特に,感染対策や医療安全に関する知見はどんどん発展しています.根拠そのものを見直すことも,時に必要となってくるでしょう.
 本書で扱っている物品や根拠なども,唯一無二のものではなく,様々な知見や製品が世の中に出回る中,虎の門病院内で議論のうえ,選択しているものです.細かい考え方や状況は施設によって相違もあるかと思いますが,各施設で吟味した結果を大切にしてください.吟味するためのたたき台の一つとして,本書をご活用いただければと思います.

 本書が看護技術に不安を持つ看護師・看護学生を始め,技術に関するマニュアルを整備したいと考える施設や学校など,多くの方々のご参考になりましたら幸いです.

 2015年初夏
 著者一同

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はじめに
本書の構成と使い方
動画目次

吸引・排痰
    吸引・排痰ケアの種類と適応
    痰について知っておきたいこと
    呼吸器の解剖と吸引の対象部位
1 呼吸器のアセスメントができる
    正常呼吸音と異常呼吸音
    吸引をする人が知っておきたい
    パルスオキシメータの知識
2 体位ドレナージができる
    体位ドレナージの種類とそのターゲット部位
3 スクイージングができる
4 咳嗽介助・ハフィングができる
5 口腔・鼻腔内吸引ができる
  ▶口腔内吸引
  ▶鼻腔内吸引
6 気管吸引ができる(閉鎖式)
  ▶閉鎖式吸引
    吸引をする人が知っておきたい人工呼吸器の知識
  ▶閉鎖式吸引カテーテルの交換
7 気管吸引ができる(開放式)
  ▶開放式吸引

排痰と吸引に関する合併症・事故の予防と対処
    虎の門病院本院 廃棄物分別マニュアル

索引

【動画】
1 呼吸器のアセスメント
 1-1 呼吸器のアセスメント
  1-2 視診
  1-3 触診
  1-4 聴診
  1-5 座位がとれない患者の聴診
  1-6 打診
3 スクイージング
 3-1 スクイージング
  3-2 上葉
  3-3 上葉両側
  3-4 中葉・舌区
  3-5 下葉
  3-6 後肺底区
5 口腔・鼻腔内吸引
 5-1 口腔・鼻腔内吸引
  5-2 襟元のタオルのかけ方
  5-3 吸引器とカテーテルの準備
  5-4 口腔内へのカテーテル挿入
  5-5 カテーテルの消毒・通水(再挿入前)
  5-6 カテーテルの廃棄方法
  5-7 カテーテルの保管
  5-8 口腔内吸引時の内部の様子
  5-9 鼻腔内吸引時の内部の様子
6 気管吸引(閉鎖式)
 6-1 気管吸引(閉鎖式)
  6-2 垂れこみ予防の事前吸引
  6-3 カフ圧の確認・調整法
  6-4 閉鎖式吸引カテーテルの挿入~吸引
  6-5 カテーテル内腔の洗浄
 6-6 閉鎖式吸引カテーテルの交換
  6-7 閉鎖式吸引カテーテルの準備
  6-8 カテーテルの交換(人工呼吸器回路・気管チューブとの再接続)
  6-9 曜日ステッカーの貼り方
7 気管吸引(開放式)
 7-1 気管吸引(開放式)
  7-2 カフ上部の吸引
  7-3 開放式気管吸引の準備(清潔操作)
  7-4 滅菌手袋装着
  7-5 吸引用チューブ・排液処理用バッグの交換

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「吸引」は手技のみにあらず-ケアに膨らみをもたせる一冊
書評者: 古田 恵香 (名古屋大大学院助教・健康発達看護学)
 「吸引」という技術は,ほぼ確実に対象に苦痛を与えると言っても過言ではないでしょう。一方で,「排痰」がうまくいけば痰による苦痛を緩和し,時に病態の改善に大きく貢献します。「苦痛」と「改善」のジレンマ―だからこそ看護師は,対象の苦痛を最小限にしながら最大のケア効果を上げられるよう,常に考えながら吸引というケアを進めています。

 著者の一人が書いたコラムの中で,新人の頃,ある患者さんの呼吸音が毎日聞いていた音とは違うことに気づき,間質性肺炎の急性増悪との診断で,すぐに治療を開始し救命し得た経験が紹介されています。そうした「気づき」を得るには,対象の「いつも」を丁寧に把握することが鍵を握っています。

 本書は,感染予防策をベースに置きながら「呼吸器の解剖」「アセスメント」「体位ドレナージ」「スクイージング」「咳嗽介助・ハフィング」「各種吸引手技」で主に構成され,シンプルで丁寧な手順と根拠,コツの解説がなされています。手技の本でありながら解剖やアセスメントから始まる点からも,「吸引・排痰」が単なる技術ではなく,対象の有している健康を維持する力を査定し,その力を活用しながら「吸引」の侵襲を抑え,効果的な「排痰」につなげるための“思考”を支えたいとする著者の意図がうかがえます。

 私がこの本を手にしたのは,実を言うと『根拠と事故防止からみた小児看護技術』(医学書院)という書籍の改訂に携わり(2015年冬刊行予定),小児の吸引の動画撮影を担当することになったことからでした。小児に関する手技書は他に書籍も少なく,どのように自分の実践を落とし込みながら根拠をまとめるか,“小児らしい”手技の動画はどのように撮影したらよいものかと悩んでいました。

 発達段階を考慮しながら,吸引における本書の視点を新生児・小児分野においても検討していくことで,新たな気付きと検討課題を浮き彫りにさせてくれました。つまり,看護の「手技」というものを多角的に捉えながら,ケアに膨らみをもたせるベースとして本書が助けになってくれたのです。

 また,本書のWeb動画は,自分が行ったことのない手技においても,「行ってみよう」と思うことのできる丁寧な内容となっています。あるいは熟練ナースにとっても,「自分のやり方でいいのかな」と,所属するチームや組織での呼吸器ケアを振り返り,そのケアに膨らみをもたせる一助として活用できる一冊であると言えるでしょう。

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