角結膜疾患の治療戦略
薬物治療と手術の最前線

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眼科診療のエキスパートを目指すための好評シリーズの1冊。薬物治療・手術ともに変化が著しい角結膜疾患治療の最前線を網羅。治療方針決定に必要な検査の進め方を概説し、主要疾患ごとに治療戦略・治療法を徹底解説。アンチエイジングや再生医療などのトピックスにも触れ、この1冊で角結膜疾患診療の知識がアップデートできる。ビジュアルな紙面に加え、エキスパートの手術手技などが閲覧できるWeb動画付き。眼科臨床の必携書。

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シリーズ 眼科臨床エキスパート
シリーズ編集 𠮷村 長久 / 後藤 浩 / 谷原 秀信
編集 島崎 潤
発行 2016年04月判型:B5頁:424
ISBN 978-4-260-02504-1
定価 18,700円 (本体17,000円+税)

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 この本を手に取るのは,何を求めている人たちであろうか?
・角結膜疾患の治療を一から学びたい
・今困っている症例に役立てたい
・知識をアップデートさせたい
 いろいろな目的があり,各人の知識レベルにも差があるのは当然である.幸い,本書『角結膜疾患の治療戦略―薬物治療と手術の最前線』は,どのようなニーズにも応えることができる内容となっている.「治療」を前面に出しているが,正しく治療を行うためには正しい診断が欠かせない,というコンセプトのもと,「治療方針決定に必要な検査」を第2章に置いた.検鏡・培養などの微生物学的検査や生体染色検査などの基本的な検査のおさらいから,前眼部OCTや生体力学特性といった最先端の技術に基づいた検査法まで,それぞれの分野の第一人者が,図や写真を多用してわかりやすく解説している.
 続く第3章「結膜疾患」,第4章「角膜疾患」は,本書のメインを構成している.角結膜疾患は,内科的治療と外科的治療の双方が重要であり,内科的治療からいつ外科的治療に踏み切るかの見極めが予後を左右する.その判断が角結膜疾患の診療を面白くしている大きな要因である.本書は内科的・外科的治療のいずれにも偏ることなく,「この症例を治すにはどうすればいいか?」という日常診療の疑問に沿って書かれている.さらに文章や図表に加え,可能なかぎり動画も付けるようにした.手術手技は,「百聞は一見にしかず」の典型例であり,動画を併せて参照していただくことで理解が一段と深まるものとなった.お忙しい中,原稿執筆・動画提供にご協力いただいた執筆者の先生方に篤く御礼を申し上げたい.
 ≪眼科臨床エキスパート≫シリーズ においては,すでに 『オキュラーサーフェス疾患—目で見る鑑別疾患』 が刊行されている.同書は細隙灯顕微鏡で見た所見に基づいた診断にフォーカスしているのに対し,本書は機器を用いた検査と治療を主に取り上げている.この2つは,いわば縦糸と横糸の関係となっており,双方を併せて読むことで「正しい前眼部診療の織物」が形作られると期待される.本書が,これを手にとってくださった先生の診療能力の向上に寄与することを心より祈ります.

 2016年3月
 編集 島崎 潤

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第1章 総説
 角結膜疾患の治療概論
    I.角結膜の機能:外界とのバリア
    II.角膜の機能1:透明性の維持
    III.角膜の機能2:光の屈折
    IV.結膜疾患の治療総論

第2章 角結膜疾患の治療方針決定に必要な検査
 I 病理検査
    I.病理検査の総論
    II.角結膜疾患の病理検査
 II 微生物学的検査
    I.抗原を固定・染色する検査
    II.抗原を増殖・増幅させる検査
    III.血液検査
 III 涙液検査・角膜知覚
    I.涙液検査
    II.角膜知覚
 IV マイボーム腺検査
    I.細隙灯顕微鏡を用いたマイボーム腺の観察
    II.マイボーム腺の機能をみる検査(tear interferometry)
    III.非侵襲的マイボグラフィー
    IV.涙液のホメオスタシス(compensation theory)
 V 生体染色検査
    I.染色色素
    II.観察のポイント
 VI 角膜トポグラファー
    I.角膜形状解析装置
    II.角膜形状異常の診断
    III.治療方針決定のための解析法
 VII 前眼部OCT
    I.OCTの撮影方式
    II.前眼部OCTでみる角膜疾患の観察
    III.前眼部OCTによる角膜移植術前術後評価
    IV.角膜形状解析装置としての前眼部OCT
    V.前眼部OCTでみる涙液
    VI.前眼部OCTでみる結膜
 VIII 角膜厚測定,スペキュラーマイクロスコピー,コンフォーカルマイクロスコピー
    I.角膜厚測定
    II.スペキュラーマイクロスコピー
    III.コンフォーカルマイクロスコピー
 IX 高次収差
    I.波面センサーとは
    II.波面収差解析の原理
    III.測定対象
    IV.検査方法
    V.治療を考えるうえでの臨床使用
 X 角膜生体力学特性
    I.角膜生体力学特性の概念
    II.臨床機器
    III.評価方法

第3章 結膜疾患
 I 感染性結膜炎(細菌・ウイルス・クラミジア)
    I.感染性結膜炎の原因菌
    II.感染性結膜炎の治療薬
    III.原因別結膜炎の特徴と治療
 II アレルギー性結膜疾患
    I.抗アレルギー点眼液の多様性
    II.ステロイド点眼液の功罪
    III.免疫抑制点眼液の登場
    IV.各アレルギー性結膜疾患に対する点眼療法
    V.新しい治療法の可能性
  Topics
   アレルギー性結膜炎に対する免疫療法
 III ドライアイ
  A 薬物治療
    I.眼表面の構造
    II.TFODとは
    III.TFODのポイント
    IV.ドライアイ治療に用いられる点眼
    V.TFODに基づくTFOT
    VI.内服治療
  B 外科的治療
    I.シリコン製涙点プラグ
    II.コラーゲンプラグ(液体涙点プラグ)
    III.手術による涙点閉鎖術
  Topics
   ドライアイに対するアンチエイジング治療
    喫煙によるオキュラーサーフェス障害
 IV GVHDとドライアイ
    I.慢性GVHDによるドライアイの臨床的特徴
    II.ドライアイとNIH慢性GVHDの診断基準
    III.慢性GVHDによるドライアイの治療
    IV.結膜偽膜除去
    V.眼GVHDの最近の基礎的研究
    VI.将来の治療
 V 結膜弛緩症
    I.結膜弛緩症のバリエーション
    II.結膜弛緩症とドライアイ
    III.薬物治療
    IV.外科的治療
    V.外科的治療の適応決定
 VI 翼状片
    I.翼状片の病期分類
    II.翼状片と視機能
    III.翼状片の原因
    IV.翼状片の治療
 VII 角結膜腫瘍
    I.総論
    II.各論
  Topics
   抗がん剤内服によるオキュラーサーフェス障害

第4章 角膜疾患
 I 細菌性角膜炎
    I.細菌性角膜炎の病態と診断
    II.抗菌薬の種類と特徴
    III.角膜感染症治療におけるPK/PD理論
    IV.細菌性角膜炎の初期治療
    V.原因菌ごとの治療戦略
    VI.細菌性角膜炎に対する外科的治療
 II 真菌性角膜炎,アカントアメーバ角膜炎
   1 真菌性角膜炎
    I.地域ごとの検出菌体
    II.背景ごとの病因
    III.診断
    IV.リスク因子
    V.治療
    VI.外科的治療
   2 アカントアメーバ角膜炎
    I.病因
    II.臨床所見
    III.診断
    IV.治療
  Topics
   毛嚢虫によるオキュラーサーフェス障害
 III ヘルペス性角膜炎
    I.角膜ヘルペス
    II.薬剤耐性HSV株角膜炎
    III.水痘・帯状疱疹ウイルスによる角膜炎
    IV.サイトメガロウイルスによる角膜炎
    V.HSV,VZV,CMV以外のHHVによる角膜炎-HHV-7またはHHV-8陽性の角膜炎
    VI.PCRとヘルペス性角膜炎診断への応用
    VII.ヘルペス性角膜炎との注意すべき鑑別疾患
  Topics
   サイトメガロウイルス角膜内皮炎に対する治療
 IV 遷延性角膜上皮欠損
    I.検査のポイント
    II.原因の検索
    III.問診の重要性
    IV.治療
 V 再発性角膜上皮びらん
    I.疾患概念
    II.所見・検査
    III.原因
    IV.鑑別疾患
    V.治療
 VI 糸状角膜炎・上輪部角結膜炎
    I.瞬目時の摩擦亢進
    II.糸状角膜炎
    III.上輪部角結膜炎(SLK)
 VII 兎眼性角膜炎,神経麻痺性角膜炎
   1 兎眼性角膜炎
    I.兎眼の原因
    II.治療
   2 神経麻痺性角膜炎
    I.三叉神経障害の原因
    II.病期分類と病態
    III.角膜知覚検査
    IV.治療
 VIII 角膜ジストロフィ,角膜変性
   1 角膜ジストロフィ
    I.顆粒状角膜ジストロフィと類縁疾患
    II.膠様滴状角膜ジストロフィ
    III.格子状角膜ジストロフィ
    IV.斑状角膜ジストロフィ
    V.Schnyder角膜ジストロフィ
   2 角膜変性
    I.Salzmann角膜変性
    II.続発性アミロイドーシス
    III.帯状角膜変性
    IV.角膜脂肪変性
    V.角膜血染症
   3 角膜変性・ジストロフィの手術治療
    I.表層角膜切除術
    II.エキシマレーザー治療的表層角膜切除術(PTK)
    III.Automated lamellar therapeutic keratoplasty(ALTK)
    IV.深層表層角膜移植
    V.全層角膜移植
  Topics
   角膜浮腫に対する薬物治療
 IX 角膜穿孔
    I.角膜穿孔の診察
    II.角膜穿孔の原因
    III.角膜穿孔の治療
    IV.角膜切迫穿孔の診察と治療
 X 周辺部角膜潰瘍
    I.周辺部角膜潰瘍の診断
    II.薬物療法
    III.手術
 XI 水疱性角膜症
    I.角膜内皮障害の原因
    II.水疱性角膜症の保存的治療法
    III.水疱性角膜症の外科的治療法
  Topics
   Boston Keratoprosthesis
   フェムトセカンドレーザーを用いた角膜手術
   偽落屑症候群による角膜障害
   角膜内皮の再生医療
 XII 熱傷・化学外傷(急性期・瘢痕期)
    I.受傷原因
    II.症状・所見と重症度
    III.治療
 XIII 瘢痕性角結膜症
    I.眼表面再建術
    II.眼表面の評価と適応の決定
    III.手術の実際
    IV.術後管理
    V.合併症
  Topics
   OOKP
 XIV 円錐角膜
    I.円錐角膜の病期分類
    II.円錐角膜と視機能
    III.円錐角膜の屈折矯正法

和文索引
欧文・数字索引

付録Web動画一覧
動画-1 結膜弛緩症に対する余剰結膜切除縫合法
動画-2 結膜扁平上皮癌に対する腫瘍切除+MMC塗布+羊膜移植+輪部移植
動画-3 薬物治療への抵抗性を示したアカントアメーバ角膜炎症例に対する全層角膜移植
動画-4 Demodexに対するtea tree oil治療
動画-5 遷延性角膜上皮欠損に対する羊膜カバー
動画-6 角膜切迫穿孔に対する深層層状角膜移植
動画-7 周辺部角膜潰瘍に対するkeratoepithelioplasty(KEP)
動画-8 穿孔部に対する表層角膜片によるパッチ術
動画-9 マイクロケラトームを用いたDSAEKドナーの作製
動画-10 DSAEK
動画-11 Boston KProの作製
動画-12 Boston KProの手術
動画-13 フェムトセカンドレーザーを用いた全層角膜移植
動画-14 フェムトセカンドレーザーを用いた表層角膜移植
動画-15 瘢痕結膜組織の切除
動画-16 自家輪部移植
動画-17 他家輪部移植
動画-18 培養上皮シート移植
動画-19 OOKP Stage 1
動画-20 OOKP Stage 2
動画-21 Artisanレンズ移植手術
動画-22 ICL移植手術
動画-23 フェムトセカンドレーザーを用いた角膜内リング移植手術

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治療戦略を立てるまでのプロセスが詳しく解説
書評者: 白石 敦 (愛媛大教授・眼科学)
 眼表面は細隙灯顕微鏡で最初に観察する部位であるため,誰でも眼表面疾患の異常所見は目にしているはずである。典型的な所見・疾患は,自信を持って診断・治療ができるものの,実際には確定診断に至らない症例も多いのではないだろうか? 眼表面疾患は角膜・結膜という二つの組織の異常状態ではあるものの,その原因はさまざまである。眼表面を覆っている涙液の異常,外界にさらされているための外的要因,感染症,免疫異常,変性症,眼瞼異常など眼表面疾患に及ぼす因子は多岐にわたり,それらが単独または複合的に影響して病態を形成している。眼表面疾患診療の醍醐味は,所見からどのような因子が影響しているか推測しながら治療戦略を立てることにある。

 このたび発刊された,島崎潤先生編集の『≪眼科臨床エキスパート≫ 角結膜疾患の治療戦略-薬物治療と手術の最前線』は,治療戦略との題名があるが,正しい診断をした上で,治療戦略を立てるといったコンセプトで構成されており,治療戦略を立てるまでのプロセスが詳しく解説されている。

 第1章の総説では,角結膜組織の機能についての基本的な説明がなされ,その機能が破綻した場合の病態,そしてその治療概念について解説がなされ,第2章以降がスムーズに理解できる序章となっている。

 第2章は,診断に必要となる検査方法が取り上げられている。近年,眼表面検査機器の発達は目覚ましく,診断能力も飛躍的に向上してきた。本章では各検査のスペシャリストが最新の検査機器,コンセプトを多くの図説を交えて詳しく紹介しており,本書を片手に自らが検査を行い,検査結果が判定できる流れにまとまっている。

 そして第3章では結膜疾患,第4章では角膜疾患を病態別に専門家がその概念を説明し,薬物治療,外科治療についてなぜその治療が必要か,効果があるのか詳細な解説を行っている。日常診療で遭遇する症例に対して,どのような治療戦略を立てればよいか導き出せる構成となっている。項目間には最新の話題が盛り込まれており,新たな疾患概念や治療方法がアップデートできるよう工夫がされている。

 また,手術手技についてはWeb動画が閲覧可能であり,基本的な手術手技から最新の手術手技まで23の動画が掲載されている。そのどれもが手技のポイントが簡潔にまとめられた動画であり,本書を購入すると付いてくる一度で二度おいしい付録となっている。

 編者が「序」で書かれているように,本書は「角結膜疾患を一から学びたい」「治療に困っている角結膜疾患がある」「角結膜疾患の知識をアップデートしたい」と思っている人に最適の書籍ではないだろうか。本書を手にすると,診察台から手放せない一冊になるはずである。
Up to dateな治療選択への道標
書評者: 福島 敦樹 (高知大教授・眼科学)
 治療法を適切に選択するためには,的確な診断が必要である。角結膜疾患の診断に関しては,≪眼科臨床エキスパート≫シリーズで,『オキュラーサーフェス疾患—目で見る鑑別疾患』(2013)が既に出版されており,研修医の先生方から角膜を専門とする先生方まで,幅広く頻繁に利用されていることと思う。本書は≪眼科臨床エキスパート≫シリーズのまさに角結膜疾患治療版である。本書は角膜移植のメッカである東京歯科大学眼科教授の島﨑潤先生が編集されており,実にプラクティカルに構成されている。

 まず,総説を熟読いただくことにより,現時点での角結膜疾患治療の基本的考え方と治療方針を理解できると同時に,本書のコンセプトと流れを把握できる。角結膜に共通の機能は外界に対するバリアとしての働き,角膜に特徴的な機能は透明性の維持と光の屈折であるということを大前提として,治療方針を考えてもらいたいという姿勢が十分に伝わる。読者にフレンドリーなイントロダクションである。

 次に角結膜疾患の検査法の章を設けているが,検査法に関しても治療方針決定のための検査ということで,本書が治療に関する本であるというスタンスを貫いている。

 その後,結膜疾患・角膜疾患の順に各論に移る。手術に関しては動画も参照できる点はありがたい。本書の特筆すべきところは,(1)それぞれの疾患について,病態を詳細に解説し,病態から治療を考えていくというサイエンティフィックなスタイル,(2)内科的治療,外科的治療それぞれについて詳細に記述されているにとどまらず,内科的治療から外科的治療に移るべきタイミングなど,治療法の選択基準のロジックを詳述している点,と感じた。島﨑先生が日頃から治療する際に病態の理解を大切に考えておられることを肌で感じることができる。実際,前掲書『オキュラーサーフェス疾患』の書評で島﨑先生ご自身が,「専門医の診断技術の神髄は,その頭の中にあると思う。オキュラーサーフェスは診断や治療に頭を使う分野である。眼で見た所見と病歴を元に,頭の中で病態のストーリーを組み立て,それを元に治療計画を立てる。その過程こそが経験の差であり,単なるデータ量の問題ではない」と書かれており,本書のコンセプトが納得できた。

 本書のもう一つの特徴は各論でトピックスのコーナーを設けている点であろう。現時点では日常の臨床では治療法として用いることができないが,将来的には非常に有望な治療ツールが挙げられている。5年,10年後にこれらの項目が新たに治療手段として加わってくるのだろうと思うとワクワクする。
日常診療の中の疑問に即座に,かつわかりやすく答えてくれる一冊
書評者: 雑賀 司珠也 (和歌山県立医大教授・眼科学)
 医学書院から≪眼科臨床エキスパート≫シリーズに『角結膜疾患の治療戦略——薬物治療と手術の最前線』が加わりました。編集ご担当は日本角膜学会理事長の島﨑潤教授(東京歯科大学市川総合病院)です。手に取ると厚さ2cmで索引を入れると405ページから成るちょっと厚い教科書ですが,ひとたびページをめくると,検査法や疾患ごとに細かく段落が分かれているので,目次を見て関係するページを開くことで,日常診療の中の疑問に即座に,かつわかりやすく答えてくれる構成となっています。それぞれの項目も長文ではなく豊富に図を交え,細分化された項目構成なので,詳細な内容であるものの,多忙な中で効率よく読むことに適していると思います。さらに疾患のページの前に,それぞれに検査法に関する項目別の記載があり,眼科コメディカルの皆さまにも有益な情報が盛り込まれています。

 一方,角膜・眼表面を専門とする眼科医や角結膜専門医をめざす若手にとっては,日々の業務の合間を縫って通読することで,知識・経験の整理や新たな知識の習得に役立つことが大いに期待できる一冊でしょう。

 各項目の執筆者はどなたも角膜・眼表面を専門にして最前線で活躍する旬の眼科医です。私が角膜学会・角膜移植学会(いわゆる角膜カンファレンス)などでいつもお会いする先生ばかりで,執筆者の人選は,この学会で中心的な役割をしておられる島﨑潤教授ならではと思います。角膜学会・角膜移植学会の皆さまは指導層の教授陣と若手の眼科医の極めてフレンドリーな関係の中,国内外の学会などで頻繁に顔を合わせて昼夜を問わず意見交換を行っています。そのため,本書が項目ごとに各執筆者の所属施設が異なるにもかかわらず,施設独自の記載がみられず,スタンダードな記載とアップデートな側面が両立できているのがセールスポイントと思います。また,本に記載されているパスワードでウェブ上の手技動画を閲覧できることも大きなメリットです。

 角膜・眼表面の臨床についての成書は数多くあります。しかし,検査,結膜疾患,角膜疾患という読みやすい三領域の構成で,それぞれも項目ごとに分かれた,しかも,最前線で活躍の眼科医によるスタンダードとアップデートとのバランスの取れた記載ということで,本書は,若手,眼科専門医を問わず,ぜひ手の届く所に置いておきたい一冊だと思います。

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