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レジデントのための血液透析患者マネジメント 第2版

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透析を専門としない医師に向け、血液透析の基本的知識と血液透析患者のマネジメント方法を実践的にわかりやすく解説した、好評書の改訂第2版。今版では、最新のガイドラインに基づいた内容にアップデートするとともに、血液透析患者の高血圧症、糖尿病、脂質異常症のマネジメントの解説を追加した。腎臓内科研修中の医師はもちろん、すべてのレジデントにおすすめしたい最良の入門書。
門川 俊明
発行 2014年04月判型:A5頁:216
ISBN 978-4-260-01976-7
定価 3,080円 (本体2,800円+税)

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第2版 まえがき

 2011年に発刊した第1版はたくさんの方に支持していただき,透析関連書のみならず,腎臓内科の書籍としても多くの支持を得て,ベストセラーになることができた.本書では,「レジデントのための」と,対象者をレジデントとして明示しているが,本書で伝えているのは血液透析のコアな知識である.これは,レジデントのみならず,血液透析を理解したいと考えるすべての方に,役立つものであると考えている.そのような意図が伝わったのか,レジデントのみならず,すでに透析専門医の資格をお持ちの方や,先輩方からも,たくさんのお褒めの言葉をいただくことができ,わが意を得たりと思っている.

 本書で語られているのは,時間がたっても古びない血液透析のコアな知識が中心であり,時間の経過にも十分耐えられる内容だと考えている.しかし,2011年以降,ミルセラ®注,キックリン®カプセル,リオナ®,DPP-4阻害薬などの新しい薬剤が出てきた.ガイドラインも『維持血液透析ガイドライン:血液透析導入』『維持血液透析ガイドライン:血液透析処方』『血液透析患者の糖尿病治療ガイド2012』『慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン』などが登場してきた.これらに的確に対応するとともに,新たに血液透析患者の血圧管理,糖尿病管理,脂質異常症の管理の項目も追加して,本書を改訂することにした.

 したがって,改訂第2版は,2011年の初版刊行時以降に発売された薬剤を収載し,ガイドラインに対応するというマイナーアップデート版と考えていただければと思う.今後も,本書が,血液透析を知りたいという多くの読者層に読まれる本であり続けることをのぞんでいる.

 2014年3月
 門川俊明

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本書で用いた略語一覧

第1章 マネジメントに必要な血液透析の基礎知識
 1 血液透析処方=透析量と除水量を決める
 2 血液透析の原理
 3 透析量を決める因子
 4 透析量を表す指標:URR,Kt/V
 5 至適透析量
 6 血液透析のスケジュール
 7 除水量の決め方
 8 ダイアライザ選びのポイント
 9 特殊な血液浄化モード
 10 処方透析(透析液の組成の変更)
 11 抗凝固薬
 12 バスキュラーアクセス
 13 透析中の血圧低下予防
 14 血液透析処方の実際

第2章 保存期→透析導入患者のマネジメント
 1 保存期のマネジメント
 2 3つの腎代替療法
 3 透析導入のタイミング
 4 透析導入の実際
 5 社会的サポート

第3章 維持血液透析患者のマネジメント
 1 維持血液透析患者を受け持ったら
 2 貧血のマネジメント
 3 Ca,P代謝異常のマネジメント
 4 高K血症のマネジメント
 5 かゆみのマネジメント
 6 便秘のマネジメント
 7 透析アミロイドーシスのマネジメント
 8 高血圧症のマネジメント
 9 糖尿病のマネジメント
 10 脂質異常症のマネジメント
 11 維持血液透析患者への薬物投与
 12 維持血液透析患者への輸血
 13 維持血液透析患者の検査
 14 維持血液透析患者の栄養

第4章 急速に腎機能が悪化する患者のマネジメント
 1 急性腎障害(AKI)とは
 2 AKIへのアプローチ
 3 保存的治療
 4 血液透析による治療
 5 持続的腎代替療法(CRRT)

第5章 アフェレシス
 1 総論
 2 血漿交換(PE)
 3 二重膜濾過法(DFPP)
 4 血漿吸着(PA)
 5 アフェレシスの使い分け
 6 直接血液吸着(DHP)
 7 白血球除去療法
 8 アフェレシスの適応疾患

付録
索引

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血液透析の“幹”の部分を平易に解説した良書
書評者: 横尾 隆 (慈恵医大教授・腎臓・高血圧内科)
 とかく腎臓内科を苦手とする学生,医師の数は残念ながら非常に多い。これは一般の腎臓病学書が生理学や病理学から始まり,少々読み進めても腎臓病学の全体像が見えにくいため,学生や研修医に学ぶ前から敬遠されるか,途中で断念するためだと考えている。その中で,門川俊明先生の『レジデントのための血液透析患者マネジメント』が改訂され第2版となって出版された。初版はすでにベストセラーとなっているが,今回新たなエビデンスをアップデートする形となっており,高い評価を得るのは必至であろう。

 門川先生は,学生に電解質や透析などの腎臓病学のセミナーを定期的に行い,大好評を博していると聞く。そのセミナーの中で学生との対話の上に培われた“わかりやすく教える”という秘訣がこの本には凝集している。ではその秘訣とはなんであろうか。腎臓病学を大きな木に例えるとしよう。その大きな木を描く時に,全体を端から端まで描いていくのは,途中で力尽きてしまったり,いびつな木になってしまったりする。しかしまず幹の部分だけしっかり描いた上で,必要に応じて枝葉あるいは花や実を描き込んでいくと,各個人の能力や興味が違っても全体像が壊れない木が描けるであろう。門川先生の執筆書はこの幹と枝葉をしっかり分別して幹の部分だけをとりあえずまとめて平易に解説しているので,腎臓病を苦手とする学生,若手医師に取っ付きやすいことがうけていると私は考えている。

 本書も例に漏れず,腎臓病の知識がほとんどない学生や研修医にぜひ薦めたい良書である。また,あまり成書で取り扱われないコストの問題や,社会的サポート,経腸栄養のレジメなど,実臨床で真っ先に必要となる情報が非常にコンパクトにまとめられているので実践的な内容となっている。したがってタイトルに“レジデントのための”とあるが,対象はもう少し広く,若手病棟医など透析を専門としない腎臓内科医にちょっとした知識の整理のための参考書として活用されることが薦められる。また,“血液透析患者マネジメント”とあるが,保存期腎不全の管理法についてもかなり詳しくページを割いており,腎不全患者全体のマネジメントの指南書と考えたほうがよいかもしれない。今回のアップデートで,最近のエビデンスに基づいたガイドライン情報もふんだんに盛り込まれており,ぜひ手に取って内容をみていただくことをお勧めする。
かゆいところに手が届く非常に優れた入門書
書評者: 柳田 素子 (京大大学院教授・腎臓内科学)
 わが国の血液透析患者さんは31万人を越えました。併存する疾患の治療,検査や手術のためにさまざまな診療科に入院しておられるため,どの診療科の医師であっても,血液透析と無縁であることはできません。その一方で,血液透析患者さんでは体液管理や血液管理,薬剤の使い方などさまざまな点が異なり,分野外の先生方にとっては敷居が高い分野となっています。

 本書は,若手医師や分野外の先生方が血液透析の基本を初めて理解する上で非常に優れた入門書となっています。本書は通読することが前提となっていますが,一人の筆者が一冊を通じて著述しておられるために各章間で重複がなく,あっという間に通読できます。まず第1章で基礎知識を身につけ,第2章では血液透析導入,第3章では維持透析の管理,第4章では急性腎障害と少しずつ知識を深めていき,第5章では特殊な血液浄化についても知識が得られるようになっています。
 本書の特徴として,随所に優れた比喩が使われており,分野外の先生方や若手医師が血液透析のイメージをつかみやすいという点があります。専門家はともすれば自分が若手医師だった頃のことを忘れてしまいがちで,若手医師が「何がわからないのかがわからない」状態に陥りがちです。本書は著者が所属する慶大病院で腎臓内科をローテートするレジテントたちに配っていた小冊子が下敷きになっているとのことですが,長年医学教育の現場で若手医師と向き合いながらその理解を助けてきた著者でなくてはわからない,かゆいところに手が届くような一冊となっています。
 各章では随所に明確なポイントが挙げられ,さらには要所要所で例題が設定されており,それを解くことでより透析を身近に感じることができるように構成されています。
 さらに第2版では,最新のガイドラインや薬剤に対応するように修正されたほか,高血圧,糖尿病,脂質異常症のマネジメントの3項が加筆され,より情報量が増えています。

 本書を読めば,きっと血液透析に親しみを持っていただけるのではないかと思います。
 若手医師のみならず,分野外の先生方にもお薦めしたい一冊です。

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