疾病のなりたちと回復の促進[1]
病理学 第5版

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第1部「病理学総論」は、看護師国家試験出題基準との対応を考え、章構成と配列を見直しました。 臨床で必要となる基本的な病理学の用語をわかりやすく記載し、病気のなりたちや基本的な概念について、図を見ながら順を追って学べるようになっています。 iPS細胞による再生医療の可能性や、分子標的薬によるがん治療など、近年的な話題についても取り上げました。 第2部「病理学各論」では、解剖生理学を復習しながら、各器官の主要な疾患について学べるようになっています。 病理写真(肉眼所見を中心に98点)やメディカルイラストをふんだんに取り上げ、疾患のなりたちと実際の臓器の変化がひと目で分かるように工夫しました。
*「系統看護学講座」は2018年版より新デザインとなりました。
*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 系統看護学講座-専門基礎分野 1
大橋 健一 / 谷澤 徹 / 藤原 正親 / 柴原 純二
発行 2015年01月判型:B5頁:368
ISBN 978-4-260-01986-6
定価 2,640円 (本体2,400円+税)
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はしがき

病理学の位置づけ
 医学は大きく分けて,臨床医学・基礎医学・社会医学から構成されています。臨床医学は,内科学・外科学・小児科学のように病院の診療科に相当する分野の学問です。基礎医学は,解剖学・生理学・生化学などのように,人間の正常構造・機能などを研究する学問で,臨床医学を学ぶ前提として理解する必要があるものです。社会医学は,公衆衛生学・法医学のように,社会との結びつきが強い学問です。
 本書で学ぶ病理学は,基礎医学を構成する学問の1つとされています。文字通り人間の“病気の理(ことわり)”を考える学問,つまり病気の原因,病気の発症・進展の過程,患者に対する影響などを明らかにする学問です。解剖学・生理学・生化学・微生物学など,ほかの基礎医学の知識を土台としつつ,臨床医学を理解するために欠くことのできない学問であることから,病理学は基礎医学と臨床医学を橋渡しするような学問,中間的な学問と位置づけることもできます。
 将来,看護師として働いていくためには多くの病気についての知識を身につける必要がありますが,ただ知識を丸暗記するのではなかなか頭には入りません。病理学を学び,それぞれの病気について本質から理解していくことが重要です。現代において,医師・看護師などが行う医療行為は,個人的な考えや習慣,経験に基づいて行うのではなく,科学的な根拠に基づいて行うことが求められています。病理学はまさに臨床医学に科学的根拠を与える重要な土台となっています。

病理学のなりたち
 病理学は一般的に総論とよばれる部分と各論とよばれる部分から構成されます。総論とは,炎症・循環障害・腫瘍など,臓器の違いをこえて共通にみられる病気について,原因や病気のなりたちなどを中心にまとめたものです。一方,各論とは,各々の器官に生じる病気ごとに,原因や病気のなりたちなどの特徴を理解していくものです。
 たとえば,総論の腫瘍の章では,腫瘍(あるいはがん)とはどのようなものか,正常の細胞・組織との違い,がんの発生原因,がんの進行過程で生じるさまざまな現象,身体への影響を理解し,診断方法・治療に関する基本的な考え方を学びます。一方各論では,同じがんでも,たとえば胃と肺では生じるがんには違いがあるため,それぞれの臓器に生じるがんの種類,それぞれの発生原因や進行過程,各腫瘍に応じた診断・治療について学んでいきます。
 このように,病理学はさまざまな病気について,総論と各論といった2つの方向からながめて,全体像を理解していく構成になっているのです。

本書の特徴と病理学の学び方
 本書では第1部が病理学総論,第2部は病理学各論となっています。さらに付章として,病院における病理検査について,看護師が知っておくべき最低限の知識をまとめてあります。今改訂においては,総論部分の章立てと配列を見直しました。より順序だてて病理学を学べる展開になったのではないかと考えます。
 病理学を勉強していくなかで,さまざまな病理学の専門用語が出てきます。とくに総論部分ではそれらを1つ1つ理解して覚えていくことが,今後さまざまな病気やその看護を学んでいくうえで重要となります。本書ではこのような医学的な専門用語について,平易なことばを使って解説し,難解な用語については脚注で補足することにより,正しい知識が習得できるようになっています。各論に出てくるさまざまな病気においては,肉眼・組織の写真と,病態を表現したイラストをふんだんに取り入れ,実際の病変を見ながら病気のしくみが理解できるよう,工夫してあります。興味を持って学習を進められるよう,近年話題となっている病気や治療についても,コラムなどで積極的に取り上げました。本書が,さまざまな病気とその病態を理解するのに役だつことを期待しています。
 最後に,本改訂版におきまして,本書初版からご執筆いただいておりました坂本穆彦先生がご降板されました。本書の伝統を培ってこられたことに敬意を表し,これまでのご尽力に心よりお礼申し上げます。
 2014年11月
 著者ら

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第1部 病理学総論
 第1章 病理学で学ぶこと (大橋健一)
  A 看護と病理学
  B 病気の原因
  C 病気の分類と病理学の学び方
 第2章 細胞・組織の障害と修復 (谷澤徹)
  A 細胞の損傷と適応
  B 組織の修復と創傷治癒
 第3章 循環障害 (大橋健一)
  A 循環系の概要
  B 浮腫(水腫)
  C 充血とうっ血
  D 出血
  E 血栓症
  F 塞栓症
  G 虚血と梗塞
  H 側副循環による障害
  I ショック
  J 高血圧症
  K 播種性血管内凝固症候群(DIC)
 第4章 炎症と免疫,移植と再生医療 (谷澤徹)
  A 炎症とその分類
  B 免疫と免疫不全
  C アレルギーと自己免疫疾患
  D 移植と再生医療
 第5章 感染症 (谷澤徹)
  A 感染と宿主の防御機構
  B おもな病原体と感染症
  C 感染症の治療と予防
 第6章 代謝障害 (谷澤徹)
  A 脂質代謝障害
  B タンパク質代謝障害
  C 糖尿病
  D そのほかの代謝障害
 第7章 老化と死 (谷澤徹)
  A 個体の老化と老年症候群
  B 加齢に伴う諸臓器の変化
  C 個体の死と終末期医療
 第8章 先天異常と遺伝子異常 (谷澤徹)
  A 遺伝の生物学
  B 先天異常
  C 遺伝子の異常と疾患
  D 先天異常・遺伝子異常の診断と治療
 第9章 腫瘍 (大橋健一)
  A 腫瘍の定義と分類
  B 悪性腫瘍の広がりと影響
  C 腫瘍の発生病理
  D 腫瘍の診断と治療
  E 腫瘍の統計

第2部 病理学各論
 第10章 循環器系の疾患 (大橋健一)
  A 血管の疾患
  B 心臓の疾患
 第11章 血液・造血器系の疾患 (大橋健一)
  A 骨髄および血液の疾患
  B リンパ系および脾臓の疾患
 第12章 呼吸器系の疾患 (藤原正親)
  A 鼻腔・咽頭・喉頭の疾患
  B 気管・気管支・肺の疾患
  C 胸膜と縦隔の疾患
 第13章 消化器系の疾患 (柴原純二)
  A 口腔・食道の疾患
  B 胃の疾患
  C 腸・腹膜の疾患
  D 肝臓・胆管・胆嚢の疾患
  E 膵臓の疾患
 第14章 腎・泌尿器,生殖器系および乳腺の疾患 (藤原正親)
  A 腎・泌尿器系の疾患
  B 生殖器系の疾患
  C 乳腺の疾患
 第15章 内分泌系の疾患 (藤原正親)
  A ホルモンとホメオスタシス
  B 内分泌器官の疾患
 第16章 脳・神経・筋肉系の疾患 (柴原純二)
  A 脳・神経系の疾患
  B 筋肉系の疾患
 第17章 骨・関節系の疾患 (柴原純二)
 第18章 眼・耳・皮膚の疾患 (柴原純二)
  A 眼・耳の疾患
  B 皮膚の疾患
 付章 病理診断の実際 (大橋健一)

索引

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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