臨床老年医学入門 第2版
すべてのヘルスケア・プロフェッショナルのために

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すべての医療職に向けた老年医学の実践書として好評を博した初版の全面改訂版。現在の老年医学研究の到達点とその臨床応用を平易に解説。医療経済的にも多大な影響を与えるFrailty(脆弱高齢者)をどうケアするかを中心に、集積されたevidence basedのデータを踏まえ、成功加齢への途を探る。第2版では認知症に関する記載を全面改訂している。
監修 日野原 重明
道場 信孝
発行 2013年11月判型:B5頁:292
ISBN 978-4-260-01911-8
定価 3,520円 (本体3,200円+税)
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第2版の序

 本書は筆者が2001年4月より関わっていた帝京平成大学専門学校(理学療法士,作業療法士養成校)において老年医学の講義として行われた内容をもとに執筆した。これらに,筆者が2002年に訪問したBostonのBeth Israel-Deacones Medical Centerとその関連病院,および,New YorkのCornel Medical College関連のBurke Instituteで得られた老年医療に関わる情報,また,2004年Las Vegasで開催されたAmerican Geriatric Societyの年次学術集会への出席,および,New YorkのMount Sinai Medical College, Department of Geriatricsへの訪問を通じて得られた知見に基づき,まとめたものである。
 本書の初版は2005年に出版された。しかし,その後8年を経て老年医療の動向は国内的にも国際的にも広い分野にわたって著しい変化がみられた。特に本書の根幹をなす米国におけるRand研究所が中心となって進めてきたACOVE(Assessing Care of Vulnerable Elderly)の臨床研究におけるエビデンスの蓄積に基づく基準適用も大幅に改訂された。その他,脆弱化の研究の進歩や概念の普及,および臨床での対応の変化,さらに認知症,骨粗鬆症,慢性閉塞性肺疾患などに対するガイドラインの策定,そして,高齢者医療における緩和ケア普及など,著しい高齢化が進む中で本書の改訂の必然性が生じたといえる。また,2009年,2010年,そして2013年に筆者が所属している一般財団法人ライフプランニングセンターで開催された老年医療に関する3回の国際フォーラム,および2002年より2011年の間に当センターで行われた脆弱化の予測に関する前向き単一コホート研究などの知見などをもとに,今回の改訂がなされた。
 高齢者を取り巻く医療の基本は,多くの職種に支えられたチーム医療である。本書が,すべてのヘルスケア・プロフェッショナルにとって,最新の老年医学の概要を知るための入門書として役立てば,著者としてこれに過ぎる喜びはない。

 一般財団法人ライフ・プランニング・センター
 研究教育最高顧問
 道場 信孝

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 第2版の序
 刊行によせて
 プロローグ

第1部 老年医学の理解
 第1章 臨床医学とは
 第2章 健康の捉え方と対応の変化
 第3章 医療への取り組み
  1 問題解決の手順
  2 社会の変化と共に医療も変わる
  3 医療者に求められるもの
 第4章 医療情報の集め方
  1 上手な問診の仕方
  2 コミュニケーションの上手な技術
  3 上手な問診の進め方
  4 高齢者への上手な接し方
 第5章 高齢者の健康問題の捉え方
  1 老年人口増加のインパクト
  2 増加していく医療費
  3 新しい老人像
  4 新しい老人像へのムーブメント
 第6章 老年医療の特殊性とその内包
  1 一般的老年医療
  2 老年医療における緩和ケア(palliative care)
 第7章 高齢者における健康評価:生き方に重点をおくこと
  1 高齢者の健康の新しい評価とは
  2 どのような機能の評価が重要視されるのか:加齢との関連
  3 加齢と健康障害
  4 加齢と薬物の作用
 第8章 高齢者のfrailty(脆弱化)
  1 frailtyがなぜ問題か
  2 問題のとらえかた
  3 脆弱化の診断の意義
  4 脆弱化症候群の新しい考え方と発症の予測
  5 脆弱化の病態生理学
  6 脆弱化の予防
 第9章 健康評価の実際
  1 健康評価の目的と具体的な内容
  2 なにをどのように評価するか
 第10章 高齢者医療における医の倫理
  1 医の倫理の変遷
  2 高齢者医療における医の倫理
  3 尊厳死
  4 多様な終末期の死
  5 高齢者の終末期の問題

第2部 脆弱高齢者のケア
 第1章 ケアの基本的な考え方
 第2章 高齢者における薬物療法
  1 なにが問題か
  2 処方上留意すべき問題点
  3 薬物療法の管理
  4 特殊な薬物に対するモニタリング
  5 まとめ
 第3章 認知機能障害と認知症
  1 問題の捉え方
  2 変性性認知機能障害の脳における病変
  3 主要な認知機能障害の病態
  4 軽度認知障害(MCI)
  5 認知症における画像診断とバイオマーカー
  6 使用薬物の調査
  7 認知症における一般的な検査の進め方
  8 認知症の薬物療法
  9 介護者への支援と患者の安全
  10 脳血管障害の予防と治療
  11 軽度認知障害(MCI)と自動車の運転
  12 認知症と拘束
 第4章 うつ
  1 なにが問題か
  2 高齢者のうつの特徴
  3 うつの診断
  4 うつの帰結
  5 うつの薬物療法
 第5章 心臓・血管疾患
  1 なにが問題か
  2 虚血性心疾患
  3 腹部大動脈瘤
  4 脳血管障害
  5 高血圧症
 第6章 心不全
  1 心不全に関する一般的事項
  2 高齢者の心不全
  3 ACOVEの評価基準
  4 まとめ
 第7章 呼吸器疾患
  1 なにが問題か
  2 老人性肺炎
  3 高齢者のワクチン療法
  4 MRSA感染症
  5 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
 第8章 悪性腫瘍:加齢とともに増える癌
  1 なにが問題か
  2 治療戦略のたて方:化学療法を中心にして
  3 まとめ
 第9章 終末期(end of life)のケア
  1 なにが問題か
  2 どのような死が望まれるか
  3 前もってなされる意志決定
  4 ケア決定への患者の参与と実践
  5 人工呼吸器の装着と取り外し
  6 臨死におけるケアの実際
  7 臨死におけるケアの目標
 第10章 転倒と活動障害
  1 なにが問題か
  2 転倒の疫学
  3 転倒の危険因子
  4 ACOVEの評価基準
  5 まとめ
 第11章 変形性関節症(osteoarthritis:OA)
  1 どのような疾患か
  2 病態生理学
  3 症状と徴候
  4 検査
  5 治療と予後
  6 ACOVEの評価基準
 第12章 骨粗鬆症
  1 骨粗鬆症の病態
  2 症状と徴候
  3 検査
  4 診断
  5 治療と予防
  6 ACOVEの評価基準
 第13章 疼痛
  1 なにが問題か
  2 ACOVEによる評価の指標
  3 効果の再評価
  4 まとめ
 第14章 蛋白質・エネルギー・低栄養状態(PEM)
  1 なにが問題か
  2 体重の減少
 第15章 褥瘡
  1 なにが問題か
  2 褥瘡の予防におけるリスクの評価
  3 予防的対応
  4 褥瘡の評価
  5 褥瘡の治療
 第16章 失禁
  1 なにが問題か
  2 失禁の診断
  3 尿失禁の治療
  補遺 過活動膀胱症候群
  1 なにが問題か
  2 過活動膀胱症候群とは
  3 どのように対応するか
  4 過活動膀胱症候群における尿失禁の基礎的評価
 第17章 視覚の障害
  1 なにが問題か
  2 それぞれの疾患への対応
  3 脆弱高齢者の眼の障害に対する評価と対応
  4 治療
 第18章 聴覚の障害
  1 なにが問題か
  2 病態生理学
  3 難聴の評価
  4 治療
  5 脆弱高齢者の聴覚異常への対応
 第19章 嗅覚と味覚の異常
  1 なにが問題か
  2 障害を生じる要因
  3 栄養保持のための戦略
  4 味覚・嗅覚と口腔の健康
 第20章 睡眠障害
  1 加齢による睡眠構造の変化
  2 高齢者に見られる睡眠障害の特徴
  3 一般的な老年病症候群と睡眠との関連
  4 長期ケアにおける睡眠の確保の重要性
  5 その他の原因による睡眠障害
  6 睡眠障害へのアプローチ
  7 まとめ
 第21章 便秘
  1 なにが問題か
  2 便秘の定義
  3 便秘の診断
  4 治療と教育
 第22章 皮膚に関するプロブレム
  1 なにが問題か
  2 加齢による皮膚の変化
  3 一般的な皮膚の問題

 エピローグ
 付録
  [補遺1]問診票(新老人HRV健診用)
  [補遺2]MINI-MENTAL STATE EXAMINATION
 索引

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